近年、パン屋やケーキ屋、チョコレート専門店をはじめとする店舗の多くが、イートインスペースを設けています。このイートインスペースとは、買った商品を店内で食べられる場所のこと。ただ、店内スペースの効率化を考えると安易に設置に踏み切るのも難しいのではないでしょうか。
確かに、イートインスペースはただあればいいものではありません。失敗すると、利益を生み出さないどころか、利用者のマナーの悪さが店舗のイメージダウンに繋がることも……。
しかし、お客様にとってイートインスペースは便利で魅力的なもの。今回はイートインスペースをきっかけに変化しつつあるコンビニを例にし、イートインスペースの役割や設置によって得られるメリットについて解説します。
イートインスペースによって変わりつつあるコンビニ。
イートインスペース設置に踏み切る店舗が多い昨今、コンビニの役割が大きく変わろうとしています。
コンビニで買い物をする際には、必要なものだけを買って店を出てしまうことが当たり前でしたが、コンビニ各社は揃ってイートインスペース作りに注力する傾向にあります。
これまでにも一部のコンビニはイートインスペースを設けていましたが、それはカウンターと椅子、電子レンジが置いてあるような簡単なものでした。
しかし各コンビニがイートインスペース作りに参入した結果、最近では居心地の良いソファーが置かれ、無料Wi-Fiやパソコンや携帯電話の充電用コンセントが用意されている場所も珍しくなくなりました。また、コーヒーやスイーツも用意されているため、コンビニをカフェとして利用するお客様も増加しています。
コーヒーについてもクオリティ、値段をめぐって競争が激化しているため、コーヒー専門店やカフェとであっても味わいに大きな差はありません。淹れたての一杯をすぐに味わえることも、来店につながる大きなきっかけです。
イートインスペース設置のメリット・デメリットとは?
では、イートインスペース設置のメリットはどういったところにあるのでしょうか。以下に示した3つのポイントから、改めておさらいしましょう。
1.出来立ての商品を提供できる
イートインスペースがあると、お客様には店舗で調理したメニューを温かいまま提供することが可能となります。テイクアウトでも多くのお客様に商品を味わっていただけますが、やはりお客様が買った直後の商品をすぐに食べられるのはイートインスペース設置のメリットといえるでしょう。
このとき、販売している商品以外にも追加注文できるメニューを用意しておくことが重要です。凝った一品ものでは調理の手間も増えてしまいますが、ドリンクであればすぐに提供もできます。
2.商品のさらなる購入につながる
「気になったあの商品をすぐに食べたい」……イートインスペースがあれば、こんなお客様のご希望も叶えることができます。商品を食べたことをきっかけに、お客様がその場でさらなる購入に至るかもしれません。
試食品を置いて少しずつ味わっていただくことでもお客様と商品をつなぐきっかけは提供できますが、より商品を印象付ける方法としては実際に1つ食べていただくといったことが有効です。
3.お客様にとってコミュニティの場となり、来店者が増える
イートインスペースは1人で利用されるお客様がいらっしゃる一方、時間帯や地域によっては親子連れや学生などグループでの利用も考えられます。お客様がついつい長居してしまっても、その場で食べる場合、帰って食べる場合と追加で商品を購入されることもあり得るのです。
反面、長時間にわたって同じお客様が利用される懸念も生まれます。それを防ぐためには譲り合って利用される注意書きをする、Wi-Fiや充電用コンセントについて1人あたりの利用時間を制限するといった工夫を行いましょう。
イートインスペースの設置で坪効率がアップ?
イートインスペースは、店舗の効率化を最優先にしようとすると、どうしても利益を生み出さない無駄な空間に思えてしまうもの。しかし、実際にはランチタイムにイートインスペースで昼食を済ましていく人のほとんどが10分ほどの短い滞在であるため、座席の回転数は決して悪くはありません。むしろ、イートインが来店のきっかけになり、客層が広がることでさえも予測できるのです。
そして、イートインスペースは「坪効率」の面から見ても無駄ではないのです。家賃に対する売り上げの効率を表す指標である坪効率を上げようとしたとき、店舗の面積を変えることはできません。しかし、空いたスペースを有効活用してさらなる売り上げを獲得する方法は有効です。
メリット・デメリットを認識し、イートインスペースの設置を検討しよう。
メリット、デメリットともに発生するイートインスペース。ただ設置するというよりも、アイデアや戦略を生かすことができれば店舗の個性や武器になり得ます。両方をしっかり見極めたうえで、イートインスペースの設置を考えてみてはいかがでしょうか。