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店舗を運営する際、規模に関わらず必ず経費(原価)がかかります。利益をもっと出したいとき「売上から経費を引いた額が利益なので、売上金額を大きくすれば利益も大きくなるはずだ」という考えは正しいようにも思えますが、これは間違いです。何故なら、どんなに売上が大きくなったとしても経費も大きくなれば利益は変わらず、それどころかマイナスになる可能性すらあるからです。 確実に利益を出すためには、経費をコントロールすることが必要なのです。

今回は、今更聞けない基本的な原価率の出し方をはじめ、原価率を管理するためのポイントをご紹介します。


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◆ 原価率とは

原価率とは、売上に対する原価の比率です。

つまり、販売した商品の価格に対して、作るためにかかった材料費等(仕入れ)の割合のことを指しています。

◆ 原価率の計算式

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原価率を求める式は「原価率 = 原価 ÷ 売上高 × 100」です。

例として計算してみましょう。①80円で仕入れたものを100円で販売した際の原価率、②200円で仕入れたものを500円で販売した際の原価率を求めてみます。

①の原価率…… 原価 80円 ÷ 売上高 100円 × 100 = 80 (%)
②の原価率…… 原価 200円 ÷ 売上高 500円 × 100 = 40 (%)

原価率を求めることにより、店舗のメニューの価格が適正かを見直すことができます。原価率は業種や業態によって異なるものの、飲食店の場合は一般的に25〜30%が目安と言われています。もし今の原価率がこれよりも高ければ、価格を上げるか原価を下げるかして原価率を下げる必要があるかもしれません。

◆ 原価率とロス率

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ロス率とは

店舗を運営するうえで原価率と共に気をつけなければいけないものにロス率があります。 ロス率とはロス高と実際の売上高の差額をパーセンテージで表したものです。ロス高は仕入れミスによる値下げや食材の廃棄などにより発生した損失額のことを指します。

ロス高・ロス率の計算式

ロス高は「販売額 × 廃棄した個数」「値引き額 × 値引きした個数」で求めることができます。

ロス率の計算方法は「ロス高 ÷ 売上高 × 100」です。

例えば、原価1000円の商品が10個あったとします。1つ2000円で8個販売したあと、500円値引きした1500円で1個販売し、売れ残った1個を廃棄した場合のロス率の出し方は以下の通りです。

ロス高…… (値引き分) 500円 × 1個 +(廃棄分) 2000円 × 1個 = 2,500円
ロス率…… ロス高 2,500円 ÷(売上高 2,000円 × 8個 + 1,500円 x 1個) × 100 = 14.3(%)

一般的な飲食店の場合、ロス率の理想は5%以下です。不用意な発注を減らすなどしてロス率もコントロールしたいところです。

◆ 原価率とロス率を下げよう

利益を増やすためには原価率の管理が必要ですが、更に重要なのは、原材料の廃棄やオーバーポーション(分量を超えた盛り付け)を無くすことです。以下に3つのポイントを解説します。

1. 食材は使う分だけ発注する

飲食店のオーナーであれば、「安いから多めに買っておこう」と食材を多く仕入れたものの、最終的に使い切れず廃棄……という経験をしたこともあるのではないでしょうか。お客様が想定以上に多く来店される可能性を考えて在庫を確保しておこうとする「安心在庫」は、使い切れなかった場合のロス率を高くする要因です。 冷蔵庫や棚の奥深くに使わなかった食材が眠っていたり、まだ在庫があるのに追加で注文をしてしまったりという事態もまた、店舗にとって大きな損失となってしまうため、在庫管理をしっかりと行い、使う分だけ発注することを意識しましょう

2. オーバーポーションに気をつける

飲食店のメニューにおいて、想定される分量を超えて盛り付けてしまうオーバーポーションも、原価率を上げる原因となっています。また、オーバーポーションはサービスの印象悪化も招きます。例えば、お客様が2回来訪するとして、一度目にオーバーポーションで料理を出し、二度目に正しい量を出したとすると、お客様は損をしたように感じてしまいます。レシピに、使用する食材の量を明記しておき、オーバーポーションを無くすようにしましょう。

3. 業務効率化を図る

原価率を下げるためには業務の効率化も欠かせません。作業に無駄がないかマニュアルを見直してみることが重要ですが、ITツールを積極的に採用するのも良いでしょう。現在、経済産業省と独立行政法人中小企業基盤整備機構では中小事業主を対象にITツール導入への補助金を支給しています。経産省が指定したIT導入支援事業者による機器のレクチャーやアフターフォローといったサポートを受けることも可能となっているので、この機会にぜひ検討されてみてはいかがでしょうか。

参考リンク:飲食店経営者がいま「DX」に取り組むべき理由

◆ 時には採算度外視の看板メニューも

原価率やロス率を下げることは大事ですが、たとえ原価率が高くてもお客様が満足感を得られるような看板メニューがある方が集客に良い場合もあります。

圧倒的なコストパフォーマンスが感じられるメニューに魅力を感じ、来店するお客様が増えれば店舗の再訪率・新規獲得率が上がり、売上を増やすことができます。お客様を集めるための商品はフロントエンド商品、利益を上げるための商品はバックエンド商品と呼びます。高い原価率のメニューだけが多く注文されると赤字になってしまうため、必ず追加注文されやすく、原価率の低いバックエンド商品のメニューもお勧めするよう心がけましょう。

フロントエンド商品とバックエンド商品を上手に組み合わせることで、バランス良く適切な原価率に収めることが可能になります。フロントエンド商品としてお刺身を安価に提供し、アルコールのような原価率の低いバックエンド商品をオススメすることで全体の原価調整を行っている居酒屋も多く見られます。 お客様を誘導できるようメニューブックでお勧めしたい商品は写真を載せる、太字や色付けをして目立たせる、スタッフからのコメントを載せるとなどの工夫をしていきましょう。

過去記事:うちの居酒屋は一点豪華主義!人気店のド派手な看板メニューまとめ

◆ まとめ

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物価の上昇により原価が上がり、価格を上げざるを得ない状況があります。しかしその一方で、店舗の意識で原価率やロス率を抑えられるのも確かです。 適切な発注作業とレシピの作成と遵守を継続的に行うよう心がけましょう。

◇ 補足:店舗運営のコストを抑える一つの方法

原価率を見直す他にも店舗運営のコストを抑える方法は幾つかあります。その一つが店内のBGMです。安価に済ませたいので、SpotifyやApple MUSICやYouTubeでBGMを流している店舗も見かけますが、著作権侵害にあたります。法的措置がされると店名が公開され損害賠償請求がされるため、かえって高く付くのが実際のところです。

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このような新しいサービスも有効活用し、店舗運営のコスト削減に取り組んでいきましょう。

【参考書籍】 「赤字店を年商20億円に導いた飲食店開業・経営の成功メソッド」/鬼頭宏昌(かんさ出版) 「新版 宇井義行の飲食店運営・経営パーフェクトバイブル」/宇井義行(日本能率協会マネジメントセンター)

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店舗BGMアプリ「モンスター・チャンネル」が運営する店舗運営情報magazineの編集責任者。