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飲食店や美容室や小売店などの店舗で流す音楽(=店舗BGM)は、空間を演出し、お店のイメージを印象づけるために欠かせません。以前は有線放送以外の選択肢がほとんど無かった店舗向けBGMサービスですが、2010年にサービスを開始した「モンスター・チャンネル」を皮切りにインターネットを介した店舗BGMアプリを提供する新規事業者が続々と参入したため柔軟に選べる時代になりました。

今回は店舗BGMを選ぶ際の注意点と共に店舗BGMアプリ7個を比較します。記事の内容を参考にして、自分のお店に合ったサービスを見つけてください。

目次

  1. 店舗でのBGM利用は「著作権」に注意
  2. 幾つかあるBGMを流す方法の◯✕
  3. 店舗BGMアプリの選び方
  4. おすすめの店舗BGMアプリ7選(比較表)
    1. 【モンスター・チャンネル】最もバランスが取れた店舗BGMアプリ
    2. 【FaRao PRO】サイネージやカメラと連携が可能な店舗BGMアプリ
    3. 【OTORAKU】国内最大手のUSENが展開する店舗BGMアプリ
    4. 【Rambling Player】店舗に合わせて選曲してもらえる店舗BGMアプリ
    5. 【Simple BGM】インディーズ楽曲で安価な店舗BGMアプリ
    6. 【BGMC Station】YouTubeチャンネルで人気ある店舗BGMアプリ
    7. 【ナッシュ音楽チャンネル】老舗BGM会社が展開する店舗BGMアプリ
  5. 自分のお店に合ったBGMアプリを探そう

◆ 店舗でのBGM利用は「著作権」に注意

まず、店舗のBGMで避けて通れないのが「著作権」の問題です。

音楽を商用利用する場合、事前に全ての楽曲の著作権者等に許諾を得る必要がありますが、利用者が著作権者等に連絡することは現実的ではないため、多くの著作権者から信託を受けている「JASRAC(日本音楽著作権協会)」が窓口となり手続きをしています。

この手続きは利用する際にJASRACに対して速やかに行わなければなりませんが、手続きを行わずに利用している店舗が少なくありません。JASRACは、そんな店舗に対して法的措置をとり損害賠償請求を行い、事業者名や店舗名等の公表をしています。ニュースなどでも取り上げられるため、マイナスの影響は大きいです。

以下で紹介する店舗BGMアプリでは商用利用ができるように権利処理がされているため安心して利用ができます。ただし、サービス料金内にJASRACとの契約が含まれているケースと含まれていないケースがあり、サービスを選定する際のひとつのポイントになっています。

JASRACとの契約が含まれていない場合、サービス提供会社が権利を所有する楽曲のみで運営されるためバリエーションが不足しがちです。一方、JASRACとの契約があると、楽曲が豊富になり、気分転換にお店で自分の好きなCDを流したり、インターネットラジオradikoを利用したりも出来るようになります。

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◆ 幾つかあるBGMを流す方法の◯✕

次に、店舗でBGMを流す幾つかの方法のメリット・デメリットを見ていきます。

△ テレビ・ラジオ

テレビとラジオは最も簡単な方法です。メリットはサービス料や受信料といったコストが一切かからない点です。デメリットはメディアの特性上、音楽だけを流している番組はほとんど無く、CMやナレーションが入ってしまうことです。内容をコントロールできないので、BGMとしては不向きと言えるでしょう。

△ CD

お店のBGMにはCDもよく使われます。メリットは好きな音楽を使えることですが、デメリットもあります。CD購入のコストが発生することや、JASRACへの申請と支払が必要になることです。また、CDをそのまま使うのは問題ありませんが、パソコンやiPodなどにコピーして利用することは認められていません。コピーして利用したい場合は著作権に加えて「著作隣接権」という別の手続きが必要となります。簡単なようで、実は手間が掛かるのがCDの利用です。

✕ 個人向け音楽配信サービス

Apple Music、Spotify、Amazon Music、AWA、LINE MUSIC、SMART USENなどの個人向け音楽配信サービスは商用利用ができません。著作権フリーのサービスで商用利用が可能な場合もありますが、限られた一部のサービスであるため、必ず各サービスの利用規約を確認ください。商用利用OKと明記されていない場合、店舗での利用には法的リスクがあり損害賠償請求の対象となる可能性があるため止めましょう。

✕ 個人向け動画配信サービス

YouTube、ABEMA、ニコニコ動画、Netflix、Hulu、U-NEXTなどの個人向け動画配信サービスも商用利用はできません。特にYouTubeに数時間分の音楽が収録された動画が「カフェ用BGM」「ヒーリング用BGM」などのタイトルでアップロードされていますが、認められているのは個人利用だけのため、商用利用となると同様に法的リスクが出てきます。

◯ 有線放送

従来から店舗BGMとして広く利用されてきたのが有線放送です。メリットは音楽専用番組が多数用意されていることと、専用機器があるため利用が簡単なことです。一方、デメリットとしては初期導入の工事が発生すること、月額費用が高いこと、契約年数が長いことです。営業やサポートに重点が置かれているため、費用は掛かっても安心を買いたい方にはオススメです。

◎ 店舗BGMアプリ

そして、現在の主流となっているのが店舗BGMアプリです。メリットは、すぐにスタートできること、料金が安価なこと、アプリ独自の機能が使えることなど多くあります。一方のデメリットは、店舗のインターネット環境や端末の状況次第で音楽の再生に影響が出てくることです。安定した環境を整えることが重要になってきます。特に「モンスター・チャンネル」はパソコン、スマートフォン、タブレットで利用できるので、お店に合った環境で利用ができます。

 

◆ 店舗BGMアプリの選び方

実際に店舗BGMアプリを選ぶときのポイントを見ていきましょう。

① 音楽の質と量

当然ですが自身のお店に合った音楽チャンネルがあることが一番重です。音楽は聞いてみないと分からないことも多いのでトライアル可能な場合はアプリの登録をして実際に聴いてみましょう。「モンスター・チャンネル(試聴ページ)」のようにサイト上で試聴できるところもあります。

また、音楽を一番長く聴くのは店舗で働く皆さんです。同じ音楽が繰り返し流れるだけだと飽きてしまうので、楽曲数が多くバリエーション豊かなチャンネルが揃っているサービスが良いでしょう。

② JASRACとの契約

著作権の段落で述べたとおり、JASRACとの契約を締結しているかも確認しておきましょう。今回取り上げているサービスは全て商用利用には問題ありませんが、JASRAC契約がない場合は自社音源のみになるため楽曲数に制限があり、並行してCDやradikoを利用することもできないため注意が必要です。

③ 対応デバイス

対応デバイスは各サービスでバラバラですが、対応デバイスの種類が多い方が良いでしょう。対応と書かれていてもOSのバージョンが古くて使えない可能性もあるため、トライアル期間中に必ず確認しましょう。

また、BGMアプリを再生する端末は専用で用意するのがオススメです。再生する端末をレジアプリなどの他の業務と併用した場合、操作音が店内に流れたり、再生が止まったりする原因となります。

④ アプリの使いやすさ

アプリの使いやすさは各サービスでかなりの差があります。「モンスター・チャンネル(機能ページ)」のようにスケジュール設定やレコメンド機能など便利な機能を有しているサービスもあれば、繰り返し音楽が流れるだけのシンプルなサービスもあります。トライアル期間中にアプリの使いやすさを確認しましょう。

⑤ 料金

非常に気になるポイントです。店舗BGMアプリは従来の有線放送に比べると総じて金額が安いですが、初期費用・月額費用・契約期間等に違いがあります。サービス内容と金額を吟味して納得のいく決断をしましょう。

⑥ 支払い方法

実際に契約する際に困ることが多いのが支払い方法です。「モンスター・チャンネル(支払ページ)」のようにクレジット決済・口座振替・コンビニ払いなど複数の支払方法に対応しているところは多くありません。希望する支払い方法が可能かどうかを事前にチェックしておきましょう。

まずは無料トライアルを

各サービスともサービス内容や契約条件が異なり、アプリの使い勝手も大きく異なります。しっかり吟味した上で、自分のお店に合ったサービスを見つけましょう。今回取り上げるほとんどのサービスで無料トライアル期間が用意されているため、気になったサービスはとりあえず試してみましょう。

 

◆ おすすめの店舗BGMアプリ8選

店舗BGMアプリ比較表(⇒横スクロールできます)

  開始 楽曲関連 アプリ関連 料金・支払 運営会社
チャンネル数 楽曲数 音楽ジャンル レーベル契約 メジャー音源 JASRAC包括契約 対応OS 再生形態 スケジュール機能 初期費用 月額 最低利用期間 支払方法
モンスター・チャンネル 2010年 1,000以上 5,000,000 オールジャンル 複数 Windows / Mac
iOS / Android / Amazon
アプリ 0円 1,880円 1か月 クレジット / コンビニ
口座振替
モンスターラボミュージック
FaRao PRO 2014年 500以上 非公開 オールジャンル 複数 iOS / Android / Amazon アプリ 一部発生 3,000円 2年 非公開 フェイス
OTORAKU 2015年 600以上 9,500,000 オールジャンル 複数 iOS / Android アプリ 3,000円 3,780円 6か月 クレジット
口座振替
USEN
Rambling Player 2015年 10以上 500 クラブ系中心 自社のみ iOS / Android アプリ 一部発生 非公開 非公開 非公開 ランブリング・レコーズ
Simple BGM 2017年 10以上 非公開 インディーズ 自社のみ iOS / Android アプリ 0円 500円 1か月 アプリ内課金 ワールドスケープ
BGMC Station 2017年 10以上 5,000 インスト中心 自社のみ Windows / Mac
iOS / Android
ブラウザ 0円 980円 1か月 クレジット / Paypal CLAP’s
ナッシュ音楽チャンネル 2019年 200以上 30,000 インスト中心 自社のみ iOS / Android アプリ 0円 350/
450円
(税込)
1か月 アプリ内課金 ナッシュスタジオ

※2024年4月 自社調査(情報の修正が必要な場合はお問い合わせよりご連絡ください。)

①【モンスター・チャンネル】最もバランスの取れた店舗BGMアプリ

https://monstar.ch/ (運営会社:株式会社モンスターラボミュージック)

モンスター・チャンネル 14日間無料トライアル

「モンスター・チャンネル」は最もバランスの取れたおすすめできる店舗BGMアプリです。JASRACとの契約もあり、複数のレコード会社と契約しているため利用できる楽曲数が多く、チャンネル数も豊富です。累計で50,000店舗以上に利用されています。

アプリ開発の会社のグループ会社であるためアプリの使い勝手が良く、スケジュール機能の他にも、店舗の業種や天気・時間帯によって音楽のレコメンドをする機能など、お店に合ったBGMを誰でも探しやすいような設計がされています。

対応デバイス数はパソコン・スマートフォン・タブレットと業界最多で、Amazonで格安で購入できるFireタブレットへの対応もしています。デバイスの種類を選ばないので手元にある端末ですぐにスタートできます。

モンスター・チャンネル端末画面

<モンスター・チャンネルをおすすめするポイント>

  • JASRAC契約と複数レーベルとの契約があるため、音楽チャンネルが豊富。
  • 店舗BGMアプリとして必要な機能が備わっていて誰でも使いやすい。
  • 対応デバイス数が業界最多であり、お手元の端末で当日からスタートできる。

初期費用は無料で、月額1,880円からと従来の有線放送に比べると非常にリーズナブル。これより安いアプリもありますが、サービス内容を比較するとコストパフォーマンスが圧倒的です。クレジット・口座振替・コンビニ払いと複数の支払い方法が選べるのも他社にはないメリットで、複数店舗で契約すると割引になる仕組みもあります。

複数レーベルとの契約があるので楽曲ラインナップとしても十分。店舗BGMに特化した1,000チャンネル以上が用意されています。店舗の業種や業態、天気や時間に合わせて音楽をオススメしてくれる機能もついており、時間帯によって音楽を変更できるスケジュール機能もあります。

無料トライアルは14日間あり、メールアドレスだけで登録可能です。他のアプリとの比較の基準とするためにも、まずは登録してみることをオススメします。支払い方法の登録をしない限り、14日後に自動的に課金されることはありません。

モンスター・チャンネル 14日間無料トライアル

 

②【FaRao PRO】サイネージやカメラと連携が可能な店舗BGMアプリ

FaRao PRO

https://www.faraopro.jp/ (運営会社:株式会社フェイス)

複数の音楽事業を展開するフェイスが提供するアプリが「FaRao PRO」です。グループ会社である日本コロムビアの音源以外にも複数のレコード会社と契約をしています。通常のアプリ版に加え、デジタルサイネージや防犯カメラと連携ができるセットトップボックス版の利用が可能です。

<FaRao Proの特徴>

  • 自社音源の他に複数レーベルと契約しているので楽曲数が多い。
  • アプリ版以外にセットトップボックス版という選択肢もある。
  • サイネージや防犯カメラのサービスもある。

 

③【OTORAKU】国内最大手のUSENが展開する店舗BGMアプリ

https://otoraku.jp (運営会社:株式会社USEN)

有線放送を展開する国内最大手のUSENが提供している店舗BGMアプリが「OTORAKU」です。国内のメジャーレコード会社との契約があるため、J-POPなどの楽曲が豊富に揃っています。プレイリストという仕組みを採用しており、音楽に詳しい人はオリジナルのプレイリストを作成することも可能です。

営業やサポートの体制が充実しており、機材の販売やレンタル、工事にも対応してくれます。料金は他のサービスに比べて高く、長期の契約も必要となりますが、コストが掛かっても安心を買いたい人にはオススメできるサービスです。

<OTORAKUの特徴>

  • 最新のJ-POPの音源を流すことができる。
  • 音楽に詳しい人はプレイリストを作ることができる。
  • 料金は高いが、営業やサポートの体制が充実している。

 

④【Rambling Player】店舗に合わせて選曲してもらえる店舗BGMアプリ

Rambling Player

http://www.r-bgm.com/ (運営会社:株式会社ランブリング・レコーズ)

アメリカやヨーロッパでリリースされた楽曲を中心に揃えたBGMサービスがランブリング・レコーズの「Rambling Player」です。ブランドやアーティストとのコラボレーションを積極的に行っており、独自性の高い選曲が強みです。店舗のイメージを元に選曲をしてくれるサービスもあるため、こだわり派も納得ができます。

<Rambling Playerの特徴>

  • 独自性の高い楽曲が揃っている。
  • ブランドイメージを重視している。
  • 別途費用で店舗のイメージを元に選曲してもらえるサービスがある。

 

⑤【Simple BGM】インディーズ楽曲で安価な店舗BGMアプリ

Simple BGM

https://bgm.world-scape.net/ (株式会社ワールドスケープ)

主にインディーズシーンで活躍するアーティストの楽曲に特化したサービスが「Simple BGM」です。その名の通り、非常にシンプルな見た目のアプリで、月額500円と安価です。収益の一部は楽曲を提供するアーティストへ還元されるため、社会貢献や文化価値の向上にも寄与します。

<Simple BGMの特徴>

  • 月額料金が500円と安価。
  • 自社で管理している日本のインディーズ楽曲のみ。
  • ボタン一つのシンプルなデザイン。

 

⑥【BGMC Station】YouTubeチャンネルで人気ある店舗BGMアプリ

BGMC Station

https://bgmc-station.com/ (株式会社CLAP’s)

人気YouTubeチャンネル『Cafe Music BGM Channel』の音楽を商用利用できる店舗向けBGMサービスが「BGMC Station」です。ジャズやボサノヴァ、ハワイアンといった楽曲を自社で制作しており、著作権の心配なく利用することが可能です。

<BGMC Stationの特徴>

  • 全楽曲を自社で生演奏で制作している。
  • YouTubeチャンネルで流れる自社制作楽曲のみ。
  • ボーカル入りの楽曲がない。

 

⑦【ナッシュ音楽チャンネル】老舗BGM会社が展開する店舗BGMアプリ

ナッシュ音楽チャンネル

https://nashmusic.jp/ (株式会社ナッシュスタジオ)

1983年よりテレビ向けのBGMや効果音の制作を行ってきたナッシュスタジオが提供する店舗向けBGMサービスが「ナッシュ音楽チャンネル」です。自社音源として3万曲のレパートリーを持ち、200以上からなる再生リストを個別で契約する形を取っています。

<ナッシュ音楽チャンネルの特徴>

  • 放送局向けのプロ用途の音源を利用できる。
  • YouTubeやニコニコ動画でも契約できる。
  • 動画用のBGMが多い。

 

◆ 自分のお店に合ったBGMアプリを探そう

ここまで、店舗BGMアプリのおすすめや、選び方のポイントを解説してきました。

各社で様々な違いがありますので、記事を参考にして自身の店舗に合った店舗BGMアプリを見つけてください。ポイントは「音楽の質と量」「料金」「アプリの使い勝手」です。ほとんどのサービスでトライアルがあるので、気になったサービスの登録をして十分吟味の上で、契約をしてください。

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著者情報
magazine 編集部

magazine 編集部

店舗BGMアプリ「モンスター・チャンネル」が運営する店舗運営情報magazineの編集責任者。