近年、2つの料理を組み合わせて作られた「ハイブリッドグルメ」が人気を集めています。誰もが知る2つのメニューを組み合わせているため、「店舗独自のメニューを作りたいけど、アイデアがなかなか生まれない……」とメニュー開発でお悩みを抱えている方には新たなヒントとなるかもしれません。ハイブリッドグルメは、話題性のあるグルメを求めているお客様、複数のメニューを一度に食べたいお客様にとっては大きな魅力を持っています。
そこで今回は、ハイブリッドグルメの人気の理由とともに、ハイブリッドグルメの事例を紹介します!
ハイブリッドグルメって?
改めてハイブリッドグルメの基礎知識を押さえておきましょう。「ハイブリッド」とは、「異なった要素を混ぜ合わせたもの・組み合わせたもの」という意味であり、そこから2つの異なる食べ物を組み合わせたものが「ハイブリッドグルメ」です。こちらは世界的に流行しており、2015年あたりからは日本でも新たなハイブリッドグルメが続々と登場しています。
ハイブリッドグルメはなぜ多くの注目を集めるのでしょうか。そのキーワードは「発想力」と「話題性」にあります。それまでは単品で食べていたメニューを合わせることで、「今まで気づかなかったけど、意外と合うのかもしれない」といった驚きが生まれているのです。
そして「今までありそうでなかった」という物珍しさは食べた人にとっては「SNS投稿のネタ」になり、拡散されていく可能性にもつながります。つまり、今までにあるレシピの掛け合わせでありながら、お客様は今までなかったメニューを楽しむことができ、店舗側はその話題性により口コミでの集客を期待できる、というメリットが隠されているのです。
新メニュー開発のヒントに。ハイブリッドグルメの事例
これまで、ハイブリッドグルメの基礎知識や人気の理由を解説してきましたが、実際に2つの異なる食べ物を組み合わせる、といってもいまいちピンとこないかもしれません。以下では、日本でも人気となっているハイブリッドグルメを紹介します。
クロワッサン×ドーナツ=クロワッサンドーナツ
「クロワッサンドーナツ」はもともとニューヨーク発祥。クロワッサンのサクっとした食感と、ドーナツのサックリ食感、さらにもっちりした食感という、お互いの長所が集結した一品です。普通のドーナツと同様に、チョコレートやメープルがかかったもの、カスタードを挟んだものなど、バリエーションが豊富です。ちなみにクロワッサンとベーグルを組み合わせた「クレーグル」もあります。
日本では大手ドーナツチェーンがメニューに取り入れており、一度は聞いたこと、食べたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
フォー×ブリトー=フォーリトー
アメリカのロサンゼルスで大人気のハイブリッドグルメ、「フォーリトー」。こちらは、ベトナム料理のフォーとメキシコ料理のブリトーを組み合わせたもの。国境を越えて2つのグルメが合わさった斬新なメニューといえます。このフォーリトーはサンタモニカ・ベニスビーチの名物メニューであり、すぐに売り切れてしまうほどの人気を集めているそうです。
オムライス×つけ麺=オムつけ麺
「オムつけ麺」は、オムライスとつけ麺が組み合わさったハイブリッドグルメです。メレンゲでふんわり仕上がった卵の中に麺が隠れている仕組みで、このオムと麺をカツオベースのトマトチキンスープに付けて食べるそう。
濃厚なデミグラスソースとスープは一見ミスマッチにも思える組み合わせですが、和洋織り交ぜた味わいが、密かに人気になっているとか。物珍しさ先行のメニューではなく、味にもこだわりを持ったメニューといえるでしょう。
ハンバーガー×ビスケット=ビスケットサンド
「ビスケットサンド」は一見普通のハンバーガーのようですが、バンズがビスケットでできています。一般的なハンバーガーのようにかぶりつくのではなく、フォークとナイフでビスケットを崩しつつ食べる一品です。ジューシーなチキンナゲットとベーコンを挟んだビスケットサンドは、ソースと絡めて食べることで味わい深く楽しめます。
一方、生クリームとフルーツソースを挟んだデザートのビスケットサンドも、コンビニスイーツとして販売されています。挟むもの次第でグルメになったりスイーツになったりと、バリエーション豊かなメニュー開発が可能となることでしょう。
ティラミス×パンケーキ=ティラミスパンケーキ
「ティラミスパンケーキ」はその名の通り、ティラミスとパンケーキのハイブリッドグルメ。パンケーキ生地にはマスカルポーネチーズがたっぷり練り込まれており、ココアパウダーやエスプレッソソースと一緒に食べた際に広がる甘さとホロ苦い味わいが魅力です。
お店によってはパンケーキにマスカルポーネクリームを挟むタイプもあるなど、バリエーションは様々。店舗オリジナルのトッピングなどを用意し、「同じメニューだけど、一味違う」という特徴を持たせるのも良いでしょう。
クロワッサン×たい焼き=クロワッサンたい焼き
日本のスイーツ、たい焼きとクロワッサンを合わせた「クロワッサンたい焼き」は、大手たこ焼きチェーン店が販売しています。クロワッサンと同じくしっかりと層になっているため、サクサクとした食感が楽しめます。
クロワッサンドーナツを生み出したニューヨークでは、たい焼きの中にアイスをいれた「taiyaki」がブームを巻き起こしています。こういった点から見ても、たい焼きはハイブリッドグルメを生みやすいメニューなのかもしれません。
ハイブリッド鍋
鍋料理にもハイブリッド化の波が訪れています。2つのメニューを掛け合わせて楽しむ、つまり「ハイブリッド鍋」は2つの味を1つの鍋で楽しめるのです。肉汁たっぷりのハンバーグが入ったトマト鍋×カレー鍋、その名の通り、すき焼き風のスープにしゃぶしゃぶ用の肉をくぐらせていただく、すきしゃぶ。豚肉と白菜のミルフィーユ鍋も、肉と白菜の間に餃子の皮を挟むだけで美味しさが増すとか。
鍋料理は家庭でも楽しめるものですが、家庭では調理が難しいジビエのほか、ウニやカニといった高級食材を使った鍋料理も人気を集めています。家庭では味わえないハイブリッド鍋の展開を意識してみましょう。
次にブームになるハイブリッドグルメは、明日あなたが作るかもしれない。
ご紹介したもの以外でも、「つけナポリタン」(静岡県富士市)、「ポテト入りやきそバーガー」(栃木県足利市)など、ご当地ハイブリッドグルメまでも生まれています。世界で大流行した新メニューが、日本各地でも独自のスタイルで広まっているのです。
日々進化しているメニューですが、ハイブリッドなメニューは2種類の掛け合わせだけでなく、3種類以上の掛け合わせをした新しいメニューも登場しているそうです。アイデアひとつで、新たな味わいを提供できるハイブリッドグルメ。店オリジナルのメニュー開発に挑戦してみてはいかがでしょうか。