店舗を開業し、アルバイトの採用活動を行っていると、留学生のアルバイト希望者が応募してくることも考えられます。
留学生がアルバイトに応募する理由として、生活費や学費を稼ぐためにはもちろん、アルバイトを通して日本語をもっと習得したい、日本流の接客を勉強したいなどの意欲を持って応募してくる人も多いようです。
まじめに仕事に取り組んでくれる留学生も多いため、積極的に採用していきたいところですが、いざ応募があった場合はどのようなことに注意すべきなのでしょうか。
今回は、外国人の留学生アルバイトを採用するときに、気をつけなければいけないポイントを紹介します。
留学生を採用する前にチェック!気をつけておくべき4つのポイント
留学生アルバイトを雇うとき、違法での採用は重い処罰が科され、罰金や経営者逮捕などの事件につながってしまうおそれもあります。「大丈夫だと思った」では済まされないこともあるため、事前にしっかりと確認しましょう。
1:資格外活動が許可されているか
資格外活動が許可されている留学生は、全員許可証が発行されているか、もしくは「在留カード」の裏面にその旨が記載されています。また、在留資格が留学であること、在留期間や資格外活動期間が超過していないこともあわせて確認しましょう。
留学生によっては、在留カードではなく外国人登録証を持っていることもあります。その場合、パスポートを確認するとスムーズです。
面接時には持っていなくても、採用までに申請し、許可証を発行してもらえれば働くことができます。まずは口頭で確認し、勤務開始までに申請することが可能であるかを確認しましょう。
労働契約を結ぶ時点で資格許可が確認できない場合は、不法就労者を雇ってしまうことを防ぐためにも、採用を見送るようにしてください。
2:留学生が働ける業種と時間に該当しているか
留学生がアルバイトとして働くことができるのは、パチンコ店・麻雀店・ゲームセンター・キャバレー・スナックなどの風俗関連の業種をのぞくすべての業種です。この条件にあてはまらない業種の店舗の場合、留学生をアルバイトとして迎えることは違法となってしまいます。
また、留学生は1週間の労働時間が28時間以内に定められています。もし留学生が28時間を超えて勤務していたことが発覚した場合は、在留資格の更新を行えなくなってしまい、雇用者側も処罰の対象になってしまいますので、注意しましょう。
留学生が在留資格の更新を行うことができなくなってしまうため、学校を退学して帰国せざるをえなくなった、日本の企業に内定していたものの在留が不可能になってしまい、一度帰国し再度手続きをとらなければいけなくなった……という経験談もあるようです。
雇用者と労働者双方の注意が必要ですが、うっかり働きすぎてしまい、「こんなはずじゃなかった」というトラブルにならないよう、留学生の勤務時間はより気をつけるようにしましょう。
長期休暇期間中のみ、1日8時間まで勤務することが可能となり、この場合に限って週28時間以上の労働も認められます。
3:労働条件と労働契約書は、なるべく留学生にもわかる言語で
雇用後に留学生とトラブルになる原因のほとんどが、労働条件や契約内容に関して、お互いの意思疎通がうまくできていなかったということ。
英文の労働契約書を用意する、もしくは簡単な日本語に直した書類や、漢字にふりがなを振った書類を用意するなどの対策をとり、しっかりと確認できてから雇用しましょう。
また、労働契約書に記載する内容や労働条件などは、日本人も留学生も同様の内容です。雇用保険、最低賃金、有給休暇などすべて、外国人留学生であっても、日本の労働基準法に従って契約を結びます。
4:ハローワークに届け出を行う
外国籍の従業員を雇用する場合は、ハローワークに届け出をすることが義務づけられています。これを怠った場合、指導・勧告の対象となり、30万円以下の罰金が科せられてしまいます。
また、留学生の場合は雇用保険には加入せず、労災保険のみ加入が義務づけられています。
こんな場合はどうすればいい?
学校を卒業したあとの留学生を雇う場合
中には、「日本で就職活動をするために、大学卒業後もアルバイトを続けたい」という外国人留学生には審査を経たのちに、最長1年の特定活動ビザがおります。
その場合、資格外活動の許可申請を新たにとる必要があります。また、留学生本人に就職活動の意思がない場合には、滞在が認められません。
もし不法就労の留学生を雇用してしまったら?
気をつけていたのに、雇っていた留学生が不法就労だった……という事態になってしまったときは、本人に確認をとったあと、ただちに出勤停止し、新たに許可取得をしましょう。
もしその時点で不許可通知が出てしまった場合は、残念ながら解雇をするしかありません。
また、雇用していた外国人と連絡がとれなくなってしまった場合は、違反調査で企業名が発覚し、処罰の対象になってしまうのを防ぐためにも、文書で入管当局に連絡しておきましょう。
ルールさえ守れば、お互いにメリットがある留学生採用
留学生は、基本的には就労が認められていない在留資格に当たります。「留学生は本来学業に専念するもの」と考え、無理な労働はさせないように気をつけてください。
必要な基準を満たしていれば、留学生を雇用することは何も難しくありません。お互いの文化を理解し合ったり、外国人客への対応を見直したりすることができる、よいきっかけづくりにもなります。
留学生の雇用を一度見直し、前向きに採用を検討してみてもよいのではないでしょうか?