飲食店やサロンなど、さまざまなお店で使われることが当たり前となっている“おしぼり”。お客様に最初にお渡しする、いわばご挨拶のような存在にも関わらず、陰に隠れてしまいがち……。
今回は、おしぼりの種類から渡す際のマナーまでをご紹介します。おしぼりをもとに、お客様へおもてなしの気持ちを伝えられるよう、あらためて復習してみてはいかがでしょうか。
実はよく知らない、おしぼりの種類とメリット。
おしぼりの種類は、大きく言えば、紙と布の2種類。互いにどういったメリットがあるのでしょうか?
たとえば、紙おしぼりは個別で包装されているうえ、使い捨てができるので、衛生面に関して心配する必要がありません。
また、布のおしぼりと比べて長期の保管が可能。そのため、多くの在庫を確保することができます。
大人数で利用されるお客様が多い大型店舗だと、ひとりひとり手渡しでおしぼりを提供するのは難しいもの。そんな時にも、並べて置ける紙のおしぼりは重宝します。
一方、布おしぼりには、触り心地や、高級感が出るといった点の他に、“おもてなし”の選択肢が広がるという大きなメリットがあります。
さっそく、布おしぼりを提供する際に使えるおもてなしの注意点やマナーを、次の章から詳しくみていきましょう。
どのタイミングで渡しに行く?渡す時の注意点やマナーは?
いよいよ、ここからが本番。
お客様が来店された際、どのタイミングでお渡しするのがスマートなのでしょうか?
まず、おしぼりは、お客様が来店し、席につかれたらすぐに提供しましょう。
このとき、おしぼりを丸まったままお渡しするのはNG。必ず、両手で広げてからお渡しするようにしましょう。席が遠いなど、何らかの理由で手渡しが難しい場合は、トレーの上に乗せ、利き手で取り上げやすいようお客様から見て右側に置いておきます。
また、おしぼりをお渡しする順番にも注意が必要です。
飲食店は、取引先の接待や、会社での飲み会で訪れる人も多いもの。そういったビジネスの場面では、上座に座っているお客様から順にお渡しするようにしましょう。
カップルでのデートの場合は、レディーファーストにのっとり、女性からお渡しすればスマートです。
さらに、1回だけではなく、数回お取り替えするとさらに良し。手羽先など、手が汚れるお料理の提供があった際や、食後のデザートやお茶を提供する際に、新しいおしぼりがあると喜ばれるでしょう。
注意するのはたった3点。お客様に喜ばれるおしぼりにしよう
お客様のこころを掴むおしぼりを作るには、以下の3点に気をつけましょう。
清潔なおしぼりを提供しよう
シミや雑菌が繁殖した匂いがついているおしぼりは、お客様の気分を害することとなります。言うまでもありませんが、間違いなく清潔なおしぼりを提供するようにしましょう。
貸おしぼりの業者は、厚生労働省に以下のような衛生基準が決められており、この基準を満たしていれば、「衛生マーク」がつけられます。
おしぼりの衛生基準 (1)変色及び異臭がないこと (2)大腸菌群が検出されないこと (3)黄色ブドウ球菌が検出されないこと (4)一般細菌数は一枚当たり10万個を超えないことが望ましい。おしぼりの消毒方法 (1)塩素剤等による消毒 さらし粉、次亜塩素酸ナトリウムの遊離250ppmの水溶液中に3分間以上浸すこと (2)熱湯等による消毒 80℃以上の熱湯に10分以上浸すか、又は、100℃以上の蒸気に10分間以上触れさせること |
夏は冷たく、冬は温かく。タオルポットを活用しよう
夏は冷たいおしぼり、冬は温かいおしぼりが出てくると、とても嬉しいもの。
そんなおしぼりは、タオルウォーマーの温度調節で簡単に作ることができます。小さいものは数万円から購入できるので、自分のお店の規模に合わせてサイズを決めましょう。
おしぼりはきちんと畳もう
最もポピュラーなたたみ方は、以下の通り。パッと広げることができるので、スタッフとしても渡しやすいというメリットがあります。
1. おしぼりを広げ、三角に折る。 2. 両端を真ん中でたたみます。 3. 四角になっている面から丸めていきます。 4. 完成。 |
毎日洗って、畳む。シミがあれば漂白剤でシミ抜きをし、消臭のために消毒……、といった作業が面倒、またおしぼりの準備に人手を割きたくないのなら、おしぼりをレンタルする業者に頼るのもひとつの策です。1日だけの短期貸し出しを行なっている業者もあるため、まずはお試しで利用するのも良いでしょう。
おすすめおしぼり業者
▼ 東京おしぼりサービス
厚生労働省の衛生基準をクリアした衛生マーク付き。タオルウォーマーの提供も行っているので、おしぼり周りの必需品を一気に揃えることができます。
▼ アールエスエス
アールエスエスのおしぼりは、指定工場の専用ラインで製造されているため、肌触りが良く高級感があります。
アールエスエスホームページ
▼ おたおる
他の業者より、小ロットで対応をおこなってくれるため、小規模の店舗でも導入しやすいでしょう。また、おしぼりのサンプルセットを購入できるので、どのおしぼりが良いか、比較検討することができます。
カラーおしぼりや香り付き…。さらにひと工夫して、他店と差をつけよう
最近では、専用の芳香剤やカラーおしぼりなど、一風変わったおしぼりアイテムが販売されています。
おしぼり専用の芳香剤は、タオルウォーマーに入れるだけで香りをつけることが可能。香りの種類は、ローズマリーやヒノキ、グレープフルーツなどさまざまな種類が揃っています。
香りは、嗅神経を通して大脳に伝わり、リラックス効果をもたらすと言われています。
たとえば、清潔感を大切にしたい飲食店はミントの香り、リラックスできる雰囲気を提供したいエステサロンはグレープフルーツの爽やかな香り……。自身の好みではなく、そんな効能をもとに香りを選ぶのもおすすめです。
また、カラフルなカラーおしぼりは、白いおしぼりと比べて、汚れが目立ちにくいというメリットがあります。カラー剤やヘアオイルのシミがつきやすいヘアサロンに最適です。
おもてなしでお店の印象は変わる
コスト面や衛生面だけを考えると、紙おしぼりのほうが良いでしょう。しかし、”おもてなし”の面で差別化ができるというメリットがあるならば、布おしぼりを使わない手はありません。
いくら料理の味がよかったり、サロンの質が高かったりしても、おもてなしの心がなければ、お客様は不快な気分になってしまいます。
おしぼりのこだわりというものは、本当にささいな部分かもしれません。しかし、そうしたおもてなしに対する小さなこだわりが、お店の印象を左右します。
今回紹介したもののほかにも、さらにこだわれる部分はあるはず。おしぼりを使って、お客様のこころに残るお店にしていきましょう。