駅から徒歩15分、人通りの少ない路地裏、雑居ビルの中にひっそりとある……そのような立地は、一般的に店舗を開業するときには「立地が悪い物件」とされています。開業資金にあまり余裕のない人ほど賃料の安さに飛びついてしまい、その後のやりくりをうまくできず、最終的に閉店に追い込まれるという場合がほとんどのようです。
しかし、中にはそんな悪条件の立地でも、安定した売り上げを保ち、さらには「話題の店」として、雑誌やテレビなどのメディアに取り上げられる店舗が数多く存在します。
そのようなお店の多くは、人に知られにくい場所にあっても評判が広まっていったり、駅から遠くても「また来たい」と思わせるように、いろいろな工夫をしています。
良条件の立地ではないからと、売り上げの増加を諦めていませんか?立地が悪い環境にも負けない、人気店の仲間入りをするためのコツを紹介します。
1:他の店にはない「オリジナリティ」がある
珍しく上質な食材を使用している、他のお店には売っていない若手デザイナーの作品を売っている、海外レーベルの限定レコードが手に入る……など、お客様に需要があるもので、かつ「そこのお店に行かなければ手に入らない」という商品を置いている店は、どんなに立地が悪くてもわざわざ来客する人はいます。
↑神奈川県大和市にある「そば処 あさひ」は、原価率50%以上の上質な食材を使用しています。
■公式サイト:そば処 あさひ
↑原宿のはずれにあるインディペンデント・レコード・ショップ「BIG LOVE」。オーナーの発信力も強く、国内だけでなく世界中から訪れるインディー・ファンがあとをたちません。
■公式サイト:record shop BIG LOVE
また、商品だけでなく、「イタリアの◯◯大会で優勝したオーナーが経営するピザ屋」「フランス在住の現地スタッフが買い付けを行っている古着屋」「老舗料亭で10年間修行した板前が開いた小料理屋」など、どんな人が経営している店なのかということも、客にとっては重要なポイントです。
子どもといっしょに気楽に食事ができるスペースがある、毎月×日は300円引きなどの「他にはないサービス」も、集客率アップにつながります。
このような店のブランド性は、口コミにも効果が絶大で、店を訪れたいと思わせる最大の売り文句です。
2:内装にこだわっている
よく、潰れたコンビニや喫茶店の跡地をそのまま居抜きとして借り、改装して新しいお店を開いたものの、何年ともたずに閉店しまったというケースを聞きます。
オープン時の内装が不十分で、前に入っていた店舗の面影が色濃く残ってしまい、オープンしたばかりにもかかわらず、どことなくさびれた雰囲気が漂っていることが理由になっているようです。
新規開店の際は、内装費用もゆとりを持って用意し、以前のお店の雰囲気を感じさせることのないようにすることも重要です。
また、置いてある商品やメニューに合った世界観で、お店作りをすることはもっとも大切なことであると言えます。店内の内装やディスプレイしだいで、商品がより素敵なものに見えたり、よりおいしく感じたりする可能性もあります。
↑芸能人・モデルも通う原宿の美容院、Valentine。パリのランジェリーショップやソフィア・コッポラの世界観をイメージした内装も、ファンをつかんでいます。
■公式サイト:Valentine 原宿
小さなところもこだわり抜いて、お客さんの居心地のよいお店作りを心がけましょう。
3:お客さんとのコミュニケーションをこまめにとっている
人気店の多くは、メールマガジンの配信をこまめに行ったり、SNSやブログを使ってお店の情報を頻繁に発信したりしているようです。
ただ新商品や新メニューのお知らせをするだけでなく、
「今日はとりわけ上等な鮪が手に入りました!」
「本日は雨が降っているので、スタンプ2倍にしちゃいます!」
など、毎日のささやかな出来事も話題にして、お客さんと共有してみましょう。
また、福岡にある人気居酒屋「博多地球屋」は、新規のお客さんが数杯飲んだところで名刺交換をし、後日そこに記載されている住所に来店御礼のハガキを送っているとのこと。
■公式サイト:大陸自由国籍料理 世界食堂 地球屋
常連のお客様には、過度にならない程度でサービスをして、特別扱いすることも大切です。
目の前のお客様を大切に接していくことが、口コミで新しいお客様をキャッチすることにもつながっていくでしょう。
4:お店を知ってもらうための営業力がある
新規オープンの場合は、まずはお店の存在を知ってもらうことが大切です。
広告やタウンマガジンなどに掲載してもらうことが一番早く、一時的に集客率も上がりますが、それだけだと広告料が高くリスクも大きいもの。
チラシやショップカードをつくって配ったり、近隣の店舗に置いてもらうなどをすることも、地味なことですが集客につながります。
お店周辺の法人企業への営業や、自治会に積極的に参加するなど、自身のコミュニティを広げていくことも大切です。
最近では、SNSの拡散による集客も効果があるようです。TwitterアカウントやFacebookページを作成し、どんどん情報を広めていきましょう!
5:お店のスタッフが1番の商品
商品や店の雰囲気、味のよさももちろん大切。ですが、人気店の多くに共通して言えることは、スタッフとそのサービスが1番の人気商品であるということ。
お客様の名前を覚えたり、その人の好きなメニューやいつも頼むものを覚えたりして、お客様との関係を深めていくことも、人気店には必要不可欠なポイントです。
↑経堂にある居酒屋「くいものや 楽」は、看板ものれんも出さないのに、お客さまをとことん覚えて親しくなるような接客で、人気を集めています。
まずは自分自身が、最高の商品になるよう、接客に力を入れてみてはいかがでしょうか?
立地よりも「拡散力」が大切!
人気店の条件は、決して立地だけではありません。サービスや商品など、すべてのものを魅力的だと感じさせる力を持っているお店こそ、立地の悪い場所にあっても人気店となりえます。
また、その魅力を伝えるための「拡散力」はとても重要です。
まずはSNSやブログを使ってどんどんお店の情報を発信することと、接客態度を見直してみることからはじめてみませんか?