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2021年1月末、新型コロナウイルスの感染拡大にともない、東京、神奈川、千葉などの都市を対象とした緊急事態宣言の再発令によって多くの飲食業が時短営業などの制限を受けることになりました。

飲食店の空間は飛沫感染や接触感染のリスクが常にともないますが、店側のささやかな工夫によって、感染リスクを減らすことも可能です。今回は、お店で流すBGMがカギとなる「マスキング効果」について解説していきます。

音と音が打ち消し合って生まれる「マスキング効果」

マスキング効果とは、2つの音が発生したときに同じ周波数(Hz)がぶつかり打ち消し合うことで、一方の音が聞こえなくなる現象を指します。実際に音が消滅しているわけではなく、あくまで人間の耳が感知しなくなるだけですが、この効果によって不快な音を気にせず過ごすことができます。特徴として、周波数が低い音が他方の音をマスキングする効果が大きくなります。

言葉ではあまりピンと来ないかもしれませんが、私たちが暮らす環境において、マスキング効果は無数に存在します。例えば、エアコンが発する音が、テレビを点けた瞬間に聞こえなくなる(気にならなくなる)など、無意識のうちにマスキング効果の恩恵を受けているのです。

飲食店などではBGMを流すことによってマスキング効果が期待できます。具体的にはどのような環境下で効果を発揮するのでしょうか?

マスキングの効果が発揮できる環境

まずは店外の音を遮断できることです。去年から新型コロナウイルス対策の一つとして、定期的に扉や窓を開けての換気が推奨されていますが、車の排気音や群衆が行き交う音など、屋外には店内の雰囲気を台無しにする騒音があふれています。そこでBGMを流すことによって、外から聞こえてくる音を幾分シャットアウトすることができます。

同様に、人の話し声など店内の音を打ち消す効果もあります。美容室やエステなど、リラックスした状態で臨みたいにもかかわらず、隣の施術台の人の話し声が気になるという人も多いのではないのでしょうか? 適度な音量のBGMによって、話し声も聞き取りにくくなります。

また、人の話し声が常に聞こえる狭い空間では、重要な会議の内容などをマスキングできるためセキュリティ面での効果も期待できます。病院や銀行といったプライバシーを気にする場所も同様です。

店舗内でBGMを流す際のポイント

音量は客目線で設定する

BGMを流す際にもっとも気を配りたいポイントは音量です。音量が大き過ぎればスピーカー付近にいる人は不快感を覚え、逆に小さ過ぎれば十分なマスキング効果が期待できないばかりか、店内に響く声や音が目立ってしまい、お客さんがリラックスできません。

まずは開店前などお客さんのいない状態で一定の音量を決め、そこから客の入り具合によって適宜調整するとよいでしょう。ここで一点注意したいポイントは、厨房や従業員控室などバックヤードの声が聞こえないレベルの音量に設定することです。厨房の雑音や控室の私語などは極力お客さんには聞かれたくないものです。音量を調節する人と店舗のあらゆる場所で音の聞こえ具合をチェックする人の2名体制で確認するとよいでしょう。

スピーカーの位置を工夫する

スピーカーが床に直で置くタイプか天井からの吊り下げ式の場合、スピーカーを客が座る場所など人がいる場所にダイレクトに向けないことが基本です。音楽のジャンルにもよりますが、音を直に浴びるとキンキンと耳障りな音が頭の中に残ってしまいます。

こういった場合、スピーカーを壁やカーテンなどの方向に向け、音を吸収、拡散させるようにして、間接的に人の耳に入るように設置しましょう。ただし、壁がコンクリートなどの硬い素材の場合、かえって音が乱反射することもあります。どうしてもBGMにこだわりたいという人は、一度音響の専門家などに立ち会ってもらい、アドバイスを受けるようにしてください。

環境音を利用する

「環境音」とは、街の雑踏の音や自然の音など、私たちを取り巻く日常の中で自然に発生している音を指します。環境音は常に発生している音なので、不思議と人の耳にとってうるさく聞こえないのが特徴です。

例えば、鳥のさえずりや川のせせらぎ、暖炉で薪を燃やす音や真夏の風物詩とも言えるセミの鳴き声、風鈴の音色といったものがあります。これらの音を収録したCDや無料で手に入るストリーミングの音源は簡単に入手できます。耳障りでないがゆえ、音漏れによる近隣からの苦情も心配しなくて済むなど、高いマスキング効果が期待できます。

大きな声での会話を抑制することも

マスキング効果を最大限に発揮できた場合、小さな声でも相手に伝わりやすくなるため、飛沫感染のリスクを低減できます。そのため、今後さらに重要になってくるインフルエンザや新型コロナウイルスといった感染症の予防にも貢献できるのです。

音楽のBGMは元の音源によって音量やイコライジング(音域の均一化)が異なるため、曲が切り替わるたびに聞こえ方も微妙に変わってきます。現在、曲による音量の相違を一定化してユーザーに届ける技術も開発されているため、より精度の高いマスキング効果が実現します。

感染症対策も兼ねてBGMを積極的に活用しよう!

いまや店舗経営者にとって、BGMはお店の雰囲気づくりに欠かせないツールとなっています。

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お店の感染症対策も兼ねて、ぜひBGMの導入を検討してみてください。

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店舗BGMアプリ「モンスター・チャンネル」が運営する店舗運営情報magazineの編集責任者。