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この数年で「ノマドワーカー」という言葉も随分浸透してきました。

もともとは、遊牧民という意味をもつ「ノマド」。現代ではIT業界を中心にフリーランスで働く人々や、PCを持ち運びリモートで作業する人々を中心に、オフィスに囚われない働き方が広まりつつあります。そしてネットでは、その新しい働き方の需要に応える「電源カフェ」というカテゴリーが注目を集めているのです。

ネット時代の到来とともに、カフェに多数出没するようになった「都会の遊牧民」。
今回は、そんなノマドワーカーにアピールするお店作りのノウハウを紹介します!

ノマドワーカーは広告塔!?気になる集客効果と導入法

オフィス外で働くノマドワーカーがカフェにまず期待するのは、店内空間の居心地の良さはもちろん、座席でのPC使用が許可されているかどうか。それに加えて重要なポイントが「電源貸し出し」「フリーWifi」です。

パソコンと携帯が命綱となっているノマドワーカーにとって、気軽に充電できる環境と、インターネット接続はもはやライフライン。

大手チェーンでいえば、スターバックスルノアールは早くからネット環境や電源貸し出しのサービスを採用している企業として知られていました。これらチェーンの収益は誰もが知る通りですよね。

それではそれらのサービスを提供できるのは大手チェーン店だけかといえば、決してそうではありません。居心地の良さやコーヒーの味に拘りたいノマドワーカーにとって、「個人経営店」や「駅近の小規模カフェ」が持っている隠れ家的な要素は、本来ばつぐんに相性がいいのです。

この相性を活かして電源やフリーWifiのサービスを提供することで、ノマドワーカーを呼び寄せ、またネットでの発信力の高いノマドワーカーの口コミを通じて新しい利用客を引き寄せることが可能になります。

驚きの費用対効果、フリーwifiのメリットと導入方法

まずはノマドワーカーが求めるポイントのひとつ、「フリーWifi」について解説します。

セキュリティ管理が厳しいオンラインでの仕事をしているIT業界関係者であれば、カフェに自分のwifiルーターを持ち込むことが殆どですが、そんななかでもライトな接続をする程度ではフリーWifiを求める人がいます。

他にもフリーWifiを導入する大きなメリットとして、「一般ユーザーも活用する」という点を挙げることができます。スマホの普及により、3Gや4Gの電話回線を使ったネット接続を日ごろから多用するヘビーユーザーのなかには、月末近くになると通信の制限対象になってしまう人も多くいるのです。ヘビーユーザーはそれがわかっているので、Wifi接続できるポイントがあれば、そちらを活用したいと考えます。

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つまりカフェでゆっくりしたい人の中には一定数、ひとりでのんびりとスマホのニュースを見たり、趣味の動画を見たりしながら美味しいお茶を楽しみたいと考える人もいるということ。さらにはスマホやタブレット端末を片手に日本を旅する外国人旅行客のような、街中でネット環境から切り離されているユーザーの集客にもつながります。

こうなるとフリーWifiは、ノマドを引き寄せるだけではありません。一般ユーザーにもうれしいサービスとして、大切な「おもてなしポイント」になりつつあるのです。

そこで気になる導入方法ですが、小規模店であれば店舗が使用しているWifiルーターのユーザー名とキーワードをシェアするという方法があります。一定以上の席数があるならば、NTTのサービスDoSPOTやKDDI系列のWi-Fiスクエアなどを契約することで、公衆LANスポットをお店に導入することができます。気になる導入価格も、たとえばNTTのサービスDoSPOTなら月額500円(税抜)ととってもお得です!

DIYでも出来ちゃう!コンセント付きデスクの導入方法

続いては、電源貸し出しを可能にする「コンセント付きデスク」の導入メリットと設置方法について。

スマホ所有率が高い現在、一般的なスマホユーザーですら当たり前のように予備バッテリーを持ち歩くようになりました。電子機器を何台も持ち歩くようなノマドワーカーには、バッテリーの予備も持ちつつ、充電切れを気にせずに使える場所が外にあるということは非常に大きな魅力です。

例えば、インターネットで「電源 カフェ」と検索してみます。するとトップにヒットするのが、なんと電源があるカフェを検索するポータルサイトなんです!これはまさに、多くの人が電源が貸してもらえるカフェを日常的に求めている証拠として、お店側が意識しておくべき事実です。

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気になるのがコスト面。月々の電気代がかさむことを懸念されるオーナーさんも多いでしょうが、携帯を一度充電するために必要な電気代は、実は0.2円前後です。この電気代と電源貸し出しの集客メリットを天秤にかけてみてください。最初は電源とWifiが目的で入店したお客様でも、サービスがよければ、今度は店に惹かれてリピートしてくれるかもしれません。ローコスト、ハイリターンを目指すためのわかりやすいサービスオプションとして考えてみるべきではないでしょうか。

▼ 導入方法
続いて具体的な導入方法ですが、お店の机にコンセントを設置すればOK!この作業はDIYでもできちゃうんです。

クリップ型やクランプ型のコンセントであれば電源を取り、コードカバーを使用すればローコストでつけることができます。腕に自信があるなら埋込み式を取り付けてもいいでしょう。仕上がりが気になる場合は、施工会社に頼めば、店内の雰囲気を損なわないナチュラルな設置が可能です。スライドカバーが着いたものでも五千円程度で手に入っちゃいます!

スタバに学ぶ!「電源カフェ化」のお役立ちアイデア

「電源」と「フリーWifi」を提供するメリットは明らかでも、オーナーさんが導入をためらってしまう理由。それは、長居しがちなお客様による回転率の低下ではないでしょうか。

いち早く電源やWifiのサービスを取り入れたスターバックスにも、その懸念はありました。それでも推し進めた理由は、スターバックスが提供するものが何かと考えた場合、それはコーヒーではなく、「コーヒーを飲む居場所」であることです。つまりスターバックスは居心地がいい場所でコーヒーを飲むという顧客満足度を優先して考えているのです。

そのためスターバックスは、他のコーヒーチェーン店から見て割高と感じる価格設定でも、「居場所」を求めるお客様に選んでもらえる店になっているのです。また価格設定が高くてもそこで過ごしたいと思ってくれる顧客が増えることこそが、リピーター獲得へと繋がっている理由です。

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しかしそれでもオーナーから見れば回転率の低下が気になるものだと思います。そのための対策として、電源コンセントを利用できる「場所」と「時間」に制限を設定する方法があります。たとえば、窓際のカウンター席に電源コンセントを限定してみれば、テーブル席の確保もできる上に通行者への宣伝にもなるため一石二鳥です。

また、ランチやディナー、ティータイム毎にメニューが入れ替わるタイミングで、新しいオーダーを伺ってみるということもできるでしょう。ノマドワーカーは夢中で仕事をしている時、ついつい時間を忘れてしまうことがあります。そこで追加オーダーをお尋ねすることで、さりげなく時間を把握してもらうのです。それでも心配であれば、あらかじめ使用条件を明確にしておくことでデメリットを回避することができます。ノマドワーカーにとってカフェはオフィスのようなもの。お店側の設定するルールには快く従ってくれるでしょう。

まとめ

具体的なダメージが見えにくい回転率の問題を考えると、「電源カフェ化」に躊躇してしまうのは、オーナーとしては当然の心理です。

しかし、最初は電源とWifiが目的で入店したお客様も、サービスや居心地がよければ、今度はお店のファンとして来店してくださいます。すると今度は電源カフェ情報としてネットでまとめられたり、SNS上で口コミが投稿されたりといったことを通じて、大きな宣伝効果が期待できるのです。

ローコスト、ハイリターンな集客メリットを最大限に活かして、あなたのお店を「街でウワサの電源カフェ」にしてみましょう!

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店舗BGMアプリ「モンスター・チャンネル」が運営する店舗運営情報magazineの編集責任者。