いよいよ2017年4月1日から、消費税が10%にアップします。それに伴い導入されるのが「軽減税率」です。
軽減税率がスタートすると、「酒類や外食を除く食品全般」の税が軽減されます。同じ食べものでも、注文方法や食べる場所によって税率が変わることになりますね。食品を持ち帰りや宅配で注文すれば、軽減税率8%の対象となりますが、店内で食べる場合やケータリングだと、軽減税率の対象外となってしまいます。
ここでは、分かりづらい軽減税率についておさらいするとともに、軽減税率の対象となる宅配サービスなどを導入するメリットなど、飲食店が上手に立ち回る方法をお伝えしたいと思います。
外食扱い?加工品扱い?ややこしい軽減税率案のおさらい
軽減税率8%が適用されるのは「酒類や外食を除く食品全般」です。しかし、外食と加工品の線引きが曖昧なため、混乱している飲食店関係の方も多いのではないでしょうか?
軽減税率の対象外となる「外食」の定義は、「テーブルや椅子など飲食設備を設置した場所で食事を提供すること」とされています。例えば、ハンバーガーを店内で食べると税率10%が適用されます。同じハンバーガーでも、テイクアウトで注文すれば、軽減税率8%が適用されるのです。出前や宅配も同様に、ピザを店内で食べれば税率10%、宅配で注文すれば軽減税率8%が適用されることになります。
・店内での飲食(ハンバーガー、牛丼、寿司、そば、ピザなど)
・ケータリングやルームサービス(客が指定した場所で食事を提供するため)
・商業施設内にあるフードコート(テーブルや椅子などの飲食設備が設置されている場合)
・コンビニのイートインコーナー(返却が必要な食器で食品が提供される場合)
●軽減税率8%(加工食品扱い)
・テイクアウト(ハンバーガー、牛丼など)
・出前(寿司、そばなど)
・宅配(ピザなど)
・コンビニで購入した食品(返却が不要な食器で提供される場合、イートインコーナーでの食事も軽減税率の対象となる)
出前・宅配のメリットと注意点
店内での飲食やケータリングの税率が10%となる一方で、同じ食品を注文しても、出前や宅配だと軽減税率8%が適用されます。顧客側としては、食べる場所が変わるだけで、税率が2%違うことになりますね。出前や宅配であれば、税金も優遇される上、自宅や職場で気軽に外食の味を楽しめるようになります。わざわざお店まで出向く必要がないのも、出前や宅配の大きなメリットです。そのため2017年4月1日からは、出前や宅配の需要が高まることが予想されています。
特にサラリーマンやOLさんのランチスタイルは、大きく変化を遂げるでしょう。食は毎日のことですから、税率2%の違いは大きいですよね。これまで外食でランチを済ませていた方々が、宅配や出前サービスにシフトしていく可能性があります。
お店としても、近くに大きな会社やオフィスビルがあれば、まとまった売り上げが確保できるチャンスです。
ただし、食は毎日のこと。職場の固定客を狙う場合、日替わりランチを提供するなど飽きさせない工夫も必要となります。またランチの時間は集中する上、休憩時間がきっちり定められている職場も少なくありません。決まった時間に宅配できなければ、顧客は確実に離れていきます。
最初は無理をせずに、確実に配達できる注文だけ受けましょう。お店の宅配システムを整えながら、徐々に固定客を増やしていくのが成功の鍵となります。
ライバルはコンビニとスーパー?
軽減税率が導入されると、飲食店にとって一番のライバルとなり得るのが、コンビニやスーパーです。飲食店の店内で食事をすれば、税率10%が適用されます。一方でコンビニやスーパーで購入したお弁当などは、店内のイートインスペースで食べたとしても軽減税率8%が適用されます。
この曖昧な制度には、批判の声も多数寄せられています。しかし、このままの制度で軽減税率が導入されたならば、お店を守るために生き残る道を模索するしかありません。コンビニやスーパーと競争するならば、同じ土俵で戦うのは避けましょう。コンビニと飲食店に求めているものが、そもそも違うからです。コンビニやスーパーのイートインスペースを利用する顧客は、お手軽感を重視しています。始めからセルフサービスを覚悟しており、手早く食事を済ませる人がほとんどです。
コンビニやスーパーでのイートインと差別化を図りたいならば、接客やサービスで顧客満足を得るのも一つの方法です。イートインコーナーでは味わえない細やかな接客やサービスを提供することによって、外食ならではの贅沢な気分を味わうことができます。また前述した通り、出前や宅配サービスもコンビニやスーパーと差別化を図る手段となります。
増税はピンチばかりじゃない。経営見直しのきっかけに
増税に伴う軽減税率の導入によって、日本人のライフスタイルが大きく変化する可能性があります。増税にはマイナス面もありますが、経営を見直す大きなチャンスなのです。
軽減税率が導入されると、食べる場所や注文方法によって税率が変わります。顧客としては、できるだけ安く済ませられる方法を選択するでしょう。だからと言って、コンビニやスーパーのイートインスペースだけが繁盛するわけではありません。自宅や職場まで配達してくれて、ゆったりと好きな場所で食事がとれる、出前や宅配の需要が伸びることが予想されます。外食には、これまで以上に贅沢感や満足感を期待することになるでしょう。
軽減税率が導入されるのは2017年4月から。今からでも決して遅くはありません。お店を構えているエリアの事情に合わせて、早めに顧客のニーズをつかむことが大切です。これからテイクアウトを始めるなら、レジでの対応の仕方も考えなければなりません。事務処理の問題もありますね。いくら料理が美味しくても、レジや接客でもたついていたのでは、お客さんは離れてしまいます。これを機に経営を見直して、早めに対策を練るのが、増税の時代に飲食店が生き延びる方法です。
まとめ
消費税が10%になるなら、飲食産業はピンチに陥るのでは?と考えている関係者も多いと思います。ですが、ピンチはチャンスでもあります。ライフスタイルが変わる今だからこそ、新規客を確保するチャンスでもあるんです。増税の時代に生き残るには、早めに先手を打つことが大切です。ややこしい軽減税率の仕組みを理解して、ピンチをチャンスに変えてしまいましょう!