飲食店やサロンの経営をしている方は、現場のスタッフにどんな接客方針を伝えていますか?
「スタッフの常識的な判断に任せているよ!」「アットホームなお店にしたいから、フレンドリーな接客をお願いしているよ!」という経営者の方は要注意です!
あなたが思うフレンドリーさの基準と、スタッフが思うフレンドリーさの基準は違います。もしかしたら、敬語を使わないで話すことがよい接客だと思うスタッフもいるかもしれません。そうだとしたら、あなたが目指すアットホームなお店は、ただの失礼なお店になってしまいます。
それを防ぐために必要なことが、「最低限のマナー」を定めることです。今回は「知らなかった」ではすまされない不快な接客の落とし穴について、接客マナーの基本事項、詳細なチェックポイントに分けてご紹介します。
接客マナーを見直す際の「基本事項」
接客業におけるお客様とのコミュニケーションには決まった正解がなく、個々のお店の裁量による部分が大きいもの。ですが、「お客様がなにを不快に感じるか」に関しては、ある程度決まったパターンがあります。
そのパターンさえ押さえておけば、スタッフに接客の裁量を与えても問題はありません。以下では接客における、心に留めるべき基本事項を見ていきましょう。
▼ スタッフが不潔だと、お店の印象が悪くなる
スタッフの印象が、お店の雰囲気を決めます。
つまりスタッフの見た目、身だしなみがきちんとしていないと、それだけでお客様は不快感を覚え、お店が悪い印象へと変わってしまうのです。「クレンリネス(清潔感)」に関する気配りはサービス業の基本中の基本。
あなたのお店のスタッフは、制服をこまめに洗濯していますか?爪に垢がたまっていませんか?少しでも「ゆるみ」のサインを見つけたら、厳しく注意するようにしましょう。
・髪がぼさぼさに乱れている
・手が荒れている
・爪が長い
・服や靴が汚れている
・香水の匂いが強い
▼ 接客がマニュアル通り過ぎる
たとえマニュアルをしっかり守っていたとしても、気持ちのこもっていない接客は、マイナスの印象に繋がります。また、ひとつひとつのコミュニケーションにおけるお客様への配慮も重要なポイントです。
お客様の気持ちを考えて、必要に応じた返答や、声掛けをするようにしましょう。
・オーダー後、提供まで時間が掛かったのに「お待たせいたしました」と言わない
・「少々お待ちください」だけで、具体的にどのくらい待たせるのか伝えない
・店のルールでできないことを言われた場合に、「できません」と悪びれもなく言う
・たんたんと説明したり、話したりする
▼ 無表情で気持ちは伝わらない。時と場合で表情を変える
いくら丁寧な話し方をしても、無表情だと気持ちは伝わりません。
特に、クレーム対応などの際の表情には気を付けましょう。顔つきによっては、お客様の怒りをさらにかうことになってしまいます。
・無表情でお出迎え、お見送りをする
・謝罪時に、笑顔を見せる、悪びれた様子がみられない
・受け答え時に、お客様の目を見て話さない
▼ 常に見られている意識を持つ
お客様はスタッフの様子を見ています。店頭に立っているときは常にその意識を持ちましょう。
スタッフの店内での立ち振る舞いはお店の印象を大きく左右します。バックヤードとのメリハリをしっかりと保ちましょうね。
・スタッフ同士かたまって話す
・だらだらと歩く
・猫背など姿勢が悪い
細かなNG事項をチェック!
▼ お客様の来店に気が付かない
お客様の来店にスタッフに気がつかないと、「いらっしゃいませ」の声掛けも遅れるばかりか、席へのご案内も遅れてしまいます。
これではお客様は歓迎されていないような気持ちになり、せっかく来店されても帰ってしまうかもしれません。特に初めて来店されたお客様は、どうしていいか迷ってしまいます。店内の動きがどれだけ忙しかったとしても、入り口方面には常に神経を配りましょう。
▼ まるまったままのおしぼりを渡す
お客様の手間を減らす意味も込めて、おしぼりはスタッフが広げて手渡すようにしましょう。
おしぼりを気温に合わせた温度にしておくことも重要なポイントです。
▼ 特定の政党や球団などを持ち上げる/けなす
接客トークの際には、思想や好みがはっきりしている話題は避けましょう。自分とは違う政党を支持していたり、違う球団・チームのファンだったとしたら、そこで対立が起きてしまうかもしれません。
特に美容サロンなど、一対一のコミュニケーション時間が多いお店の場合、顧客を失う直接の要因にもなりかねません。
▼ ネガティブワードを使う
「わかりません」、「できません」という言葉の使用は避けましょう。わからないなりに、きちんと対応しないと、お客様は不満を持ってしまいます。
もしお客様から自分の対応範囲外のことについて尋ねられたら、すぐさま確認したり、担当に引き継いだり、積極的に行動しましょう。
▼ お客様の話を最後まで聞かない
リラックスしたいという思いで来店されたお客様を相手に自分の話ばかりすることはNGです。スタッフに話を聞いてもらいたい、話をすることを楽しみに来るお客様もいらっしゃるのです。話の腰を折ってしまうと、それが叶わず威圧感を与えてしまうこともあります。
また、仕事や恋愛のことなどプライベートなことは自分からは尋ねないようにしましょう。日頃の人間関係から離れた、ちょっとした非日常を楽しみにきているお客様も多いだけでなく、お客様を傷つけてしまう原因にもなりかねません。
▼ 会計時に、無表情でお金の受け渡しをする
ここまでの接客がいくら良くても、レジでの対応が悪いと、お客様に嫌な思いをさせてしまいます。自分たちはお金を払っていただく立場ということを意識しましょう。
お札の受け渡しは両手で素早く行います。また、釣銭の渡し間違いのないようによく確認することも大事なポイントです。
▼ お見送りをせず、すぐに片付け始める
自分では終わったつもりでも、お客様にとってはそのお店を出て帰るまでが、そのお店での体験になります。最後まで気を抜かないようにしましょう。
出口までお見送りをし、お礼をし、「またお待ちしております」など状況に合わせて一言添えましょう。
接客サービスマナー検定を受けよう
接客の基本NGポイントがわかったところで、さらに自分でも自信をつけたい!という方におすすめの検定が接客サービスマナー検定です。
接客の基本から、ビジネスマナーやクレーム対応など、高い知識と技能をもった人材を育成するために、接客サービスの能力を判定する試験です。
これから接客業に就く方はもちろん、経営者の方も自店のサービス見直しの意味を込めて、挑戦するのもいいですね!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
いくら店内がきれいで、スタッフがおしゃれでも、お客様は満足しません。そこに「接客」の要素、つまり「気持ち」が入って初めて、お客様に感動を届けることができるのです。
スタッフ一人一人の自由裁量に任せきりにしないで、もう一度お店の接客方針を見直してみませんか?