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職場のモチベーションを保つためには、スタッフに「やりがい」を与えることが必要。

しかし、飲食業界では昨今、「やりがい搾取」と呼ばれる事態が過労死などの不幸な事件を招き、危惧されていることはご存知ですか?

この記事では、店舗のブラック化が生まれがちなポイントや、職場をホワイト化する意義、そのために出来ることなどを解説します。


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それ、「やりがい搾取」ですよ?

「美味しい!を通じてお客様に笑顔を届けたい」

「感謝されることを通じて、スタッフの成長機会を作りたい」

飲食業の経営者であれば、上記のような「やりがい」を職場作りのゴールとして掲げることがあるでしょう。もちろん、このようなスローガンに大切な思いを込め、お店やチームの士気を保とうとすることは悪いことではありません。

しかし、月の売上目標をなんとか達成しようと、「諦めるな!無理だと思うから無理になるんだ!」「どんなに忙しくても、笑顔と気合で乗り切れ!」といった根性論でスタッフに無理をさせることはありませんか?また、あなたの職場でこのようなことを言っている人はいませんか?

他にも、「精神的な充足感(=やりがい)」という報酬をエサに、従業員に対する金銭的な報酬(給料)を不当に低く抑えていたり、「仕事に熱心に取り組むことは素晴らしい」という精神論を振りかざしてサービス残業や時間外労働を強制していたりすれば、それは立派な搾取です。

 

やりがい搾取がもたらした悲劇

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近年、「やりがい搾取」で問題視された複数の飲食チェーンの中には、従業員を「鬱」や「過労死」にまで追い詰めたケースもあります。これらの企業に共通することの一つに、強制的な長時間労働大幅な残業代のカットがありました。

実際に過労死事件を起こした某大手飲食企業では、初任給に残業代を組み込み、月の残業時間が一定時間を満たしていない場合はその分の時間給をカットをしていたことが報道によって明るみになりました。その上、残業時間を超えていたとしてもプラスの時間給が支払われることはなかったのです。

また、売り上げ不振に陥った他のチェーン店では、従業員に対して実際に働いた時間よりも短い勤務時間を報告するよう強要するなどの騒動がありました。もちろん、短くした分の時間給が支払われることはありません。

これらのチェーン店では、「会社の理念に従うことが仕事がうまくいく秘訣である」と信じられており、休日にも理念の暗記をさせたり、創業者の著書を読ませ感想文を提出させるなどの慣行がまかり通っていたことが報じられています。

これらは各メディアで取り上げられているほんの一例であり、飲食業界を覆う問題の氷山の一角であることを忘れてはいけません。「薄利多売」の精神だけを頼りに店舗運営上の非効率なあれこれを押し通し、「やりがい」や「精神論」だけをスタッフの仕事に対するインセンティブとしているのであれば、あなたのお店は既にブラック化への一歩を踏み出していると言えるでしょう。

 

 

なぜ、飲食業はホワイト化しなくてはならないのか

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飲食業は、本来ならば専門的な知識や経験、そして何よりもサービスに対する熱意が必要とされる職種です。しかし、飲食業の経験のない人を雇うことが当たり前になっていき、「誰にでもできる仕事」というイメージが世間一般に広まってしまったが挙げ句、若者にとっての「憧れの職業」からは遠ざかってしまったという事情があります。

その結果、慢性的な人手不足に悩まされる飲食業界にあっては、従業員満足度を高め、離職率を下げるための取り組みが急がれています。そして、そのために「金銭+α」の報酬として「やりがい」を提示するのは、もちろん悪ではありません。いま見直されるべきは、「やりがい」ばかりを押し付け、長時間労働や残業代未払いに目をつぶったり、従業員を苦境に追い込んでいるという、業界の一部に残っている慣習なのです。

飲食業が「持続可能」で「やりがいのある」職業であり続けるために、経営者である皆さんは、あの手この手の工夫を凝らすことによって、職場の生産性を上げ、それによって増えた利益をきちんと従業員に還元しなくてはなりません。間違っても、「従業員に無理をさせる」ことだけで問題を解決しようとしてはいけないのです。

仮にスタッフに無理をさせながら、120%の力を引き出すための職場環境を作れたとします。しかしその結果、従業員たちが体や心を壊してしまっては、店舗は持続することができなくなることは明白です。体を壊す従業員が出てきて、退職をする。そしてまた新しい人を雇う。そこで体調を崩す人が出てくれば、負の連鎖は延々と繰り返されることになるでしょう。

 

ホワイト化するためにできること

■撮影用に作成したタイムカードです。本物ではありません。

経営陣も従業員も満足出来る職場環境を作るために大切なのは、「業界の常識」 の枠から脱することです。ここで考えるべき事項のひとつとして、長時間労働の見直しと正しい労働時間の申告が挙げられます。

「オープン時間の長い外食業界では長時間働くことが普通だ」と思う経営者の方もいらっしゃることでしょう。しかし、従業員に長時間労働を強いることだけで、ライバル店との競争に勝ったり、また従業員の「夢」を叶えたりするといった目標達成に繋がるとは限らないのです。

記録されたタームカードの改ざんをしないこと、入社時に労働条件をしっかり説明することは、ホワイト化のための大前提の条件であるでしょう。当たり前のことですが、従業員に対して労働に見合った対価を支払うことも大きなポイントです。従業員にとっての「金銭的満足」と「精神的満足」を切り離して考えるのではなく、「金銭」も「やりがい」の一部だという当たり前の認識を持ち、従業員が本当の意味で気持ち良く働くことのできる環境を整えることが重要なのです。

 

まとめ

従業員に夢を語らせるのであれば、その夢を叶えるための環境を待遇面を含めて提供する必要があります。

給与や労働時間の改ざんをしないという当たり前のことをどの従業員にも平等に行った上で「やりがい搾取」を減らし、満足度を上げていくことこそが飲食業界を盛り上げていく上で大事なポイントになるでしょう。

 


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店舗BGMアプリ「モンスター・チャンネル」が運営する店舗運営情報magazineの編集責任者。