出店費用が抑えられる、「期間限定」という話題性を集められる点から注目を集めている「ポップアップストア」。ポップアップストアは「突然現れる」という意味の通り、空き店舗や空きスペースにある日突然出店し、ある一定期間が過ぎると消えてしまう「期間限定」の店舗です。日や週単位でスペースを借り、一時的にお店を構えることができます。
今回はこのポップアップストアの歴史やメリットをはじめ、成功させる方法などをレクチャーします!
ポップアップストアとは
ポップアップストアは元々限定商品の話題作りや新商品のアピールなど、広告や宣伝として、比較的に安く出店できるとあって欧米では人気の宣伝手法です。しかし、近年では日本においても各地のイベントスペース、空港の一角、ショッピングモールの通路、カフェの一席など、多くの人で賑わう施設や店舗で行われています。
この形式はポップアップスペース、ポップアップストア、ポップアップリテールとも呼ばれ、ポップアップレストラン(=屋台)、ポップアップ・ギャラリーなど、目的に応じて使い分けられています。出現する場所も様々ですが、売られているものも、ファッション小物や洋服、雑貨や食べ物など多種多彩です。
そもそもポップアップストアは、あくまでも仮店舗。費用をかけずに、出店する期間内で商品のイメージやディスプレイ、装飾などを明確にし、商品をダイレクトに際立たせる手法を取ります。つまり商品にスポットライトを当て、「注目される」ことにフォーカスしているのです。
そもそもポップアップストアが登場したのは、2002年に英国・ロンドンのチェルシーで大手スーパーがクリスマス商戦時に埠頭に船を浮かべて仮店舗を開いたことで注目を集めたのが始まりと言われています。実はポップアップストアはほんの十数年前に始まったばかり。歴史が浅い出店スタイルですが、今では様々な可能性を秘めたものとして注目されつつあるのです。
ポップアップストアのメリット
ポップアップストアの基本情報について押さえたところで、続いてポップアップストア出店のメリットに注目していきましょう。
1.低コストでの出店が可能。
ポップアップストアは、低コストでの出店ができます。営業期間は一定期間だけであるため、コストは出店する場所を借りるためのもの程度。店舗を構えるよりも初期投資が少なく済むだけでなく、上手に運営すれば店舗そのものや商品の認知度アップにも繋がります。
2.SNSへの話題づくりにつながりやすい。
人々は常に新しいものを望みます。皆さんも「期間限定!」というコピーを目にした時、買うつもりがなくてもお店に立ち寄ってしまった経験があるのではないでしょうか。こういったことからもわかるように、「期間限定」の言葉にお客様は「特別感」を抱くことは少なくありません。
また、その「特別感」はSNSへの投稿につながりやすくもあります。ポップアップストアそのものが広告媒体であるため、SNSをきっかけにまだ来店していない潜在層にも興味を持たせることができます。大々的に宣伝にコストをかけずとも、自然と店舗の情報がSNSで拡散されていくのです。
3.お客様の反応を見ることができる
ポップアップストアは新商品のテストにも利用されることが多くあります。実際に店頭に並べ、お客様の反応をもとに改良しながら、より良い商品を作り上げられます。
さらにポップアップストア出店場所の多くは人が多く集まる場所であるため、「人が集まっているな。何だろう?」と思わず足を止めるお客様が増える可能性を大いに秘めています。
4.出店期間をイベントに合わせれば、さらなる売り上げや来店者数アップが見込める
イベントグッズに特化した店舗を運営しようとした際、ポップアップストアをクリスマスやバレンタインデーをはじめとするイベント時期に出店できれば、さらなる売り上げや来店者数アップを見込めます。その時期だからこそ売れるものを、その時期だけに売る……これも、出店期間が短いポップアップストアだからこそ得られるメリットです。
これらのことからわかる通り、ポップアップストアは今までにない情報発信方法を用いることでニーズを掘り起こすほか、お店のイメージを向上させ、既存の商品やサービスの魅力に特化してアピールすることができるのです。
最小限のリスクで商品認知度アップ!
上記で述べたように、ポップアップストアは安く出店できることから、短期間で商品やサービスの認知度を上げるのに最適です。つまり、実店舗を持つ前に、テストとして利用してみてからでも遅くはないのです。テストマーケティングを行うことで、いざ出店をする際により目的に合った商品、お客様の心をつかむ商品を提供することができるはずです。
最近、特に人気を集めているのがECショップによる出店。普段オンラインショップで販売している商品を実際手に取ってもらい、店員とのコミュニケーションを通じて、オンラインショップや取り扱い商品を、より広く深く知ってもらうのが狙いです。
また、ポップアップストアを開くこと自体が一種のイベントになります。期間限定店舗が商品の認知度を広めるメディアとなることで、作り手や売り手、そして買い手が繋がる空間になります。つまり店舗を所有するのではなく、流動的に利用することできるのです。
ポップアップストアを成功させるには、いかにウケる店を出すか、話題を呼べるかにかかっているでしょう。ポップアップストアは手軽にオープンできるものの、販売戦略の重要性はECサイトなどと変わらないのです。
実験販売の場として広まっていくポップアップストア。
米国では、あのamazonがショッピングモールにポップアップストアをオープンさせる予定だと報じられています(記事)。オンラインショップにとって、顧客と交流するオフラインの場として、または実験販売の場として一時的に利用するには、ポップアップストアは最適のメディアとなるのではないでしょうか。
もちろん実店舗を持ちながら、新商品のテストやPRとして利用するブランドやショップも数多くあります。ポップアップストアは、話題性だけでなく、マーケティングや実店舗運営のヒントなど、様々なアイデアや知識を与えてくれることでしょう。