カフェの開業を検討している際、「自然豊かな地方で自分の理想のカフェを開きたい!」と思った方も少なくないはず。しかし、いざ開業した後に「こんなはずじゃなかった……」と後悔したケースが多いのも事実です。
多くの人が一度は夢見る「地方でのカフェ開業」ですが、成功と失敗を分ける決め手は一体どこにあるのでしょうか。今回はそんな地方にカフェを開業するメリットとデメリットを解説します。
地方にカフェを開くことのメリットって?
まずは、地方でカフェを開くことのメリットを見てみましょう。
賃料を抑えられる
一般的に賃料は売上高の10%以内に収めるのが望ましいと言われています。例えば賃料が10万円/月であった場合、1ヶ月の売上高の目安は100万円以上となります。
都市部で店舗を設ける場合、賃料が高くなってしまうことは避けられませんが、地方であれば賃料の安い物件が多くあります。さらに1階を店舗スペース、2階を住居スペースとして改築することで、店舗だけでなく住居も格安で得たケースも少なくありません。
近隣に住む方々が集客に協力してくれる
地方には、近隣住人による口コミが根強いという特徴があります。来店された方が「新しくできたお店、なかなか良いよ」と広めることで、新しく訪れる方が増える可能性が期待できるのです。
もちろん、「こちらからは何もしていないものの、やってきてくれたお客様が店舗の良い評判を広めてくれた」なんてことは必ずしも起こらないため、自ら集客のために足を使って挨拶に回ることも忘れてはいけません。オープン前からその地域の観光施設や宿泊施設にパンフレットやチラシを置いてもらえるよう呼びかけたり、近隣に別業態の店舗があれば挨拶をしておきましょう。
地方支援制度を利用できる
地域再生に向けた取り組みとして、地方で開業したい人を対象にした支援が増えています。いわば、地方でカフェを開業したい人にとって追い風の状況になりつつあるのです。
たとえば長野県北西部にある大町市では「商店街の空き店舗を集客に役立つ施設として改修する場合、必要な経費の1/2以内で500万円を限度に補助する」支援を行っています。
また、高知県では空き店舗を活用し、開業したい人を対象に安価な賃料で貸し出す「チャレンジショップ」を積極的に展開しています。県内11ヶ所の商店街内で新規開業する場合、店舗の改装費用についても補助を受けられます。
地域によって支援内容も異なるため、事前にどのような支援が受けられるのか、支援を受けられる条件を満たしているのかを確認しておきましょう。
知らないと危険!地方でカフェを開業するデメリット
ここまで地方でカフェを開業するメリットを紹介しましたが、決していいことばかりではありません。憧れやメリットに気を取られ、いざ開業したらトラブルが続いて閉店せざるを得なかった……なんてことを防ぐためにも、デメリットも知っておきましょう。
都市部よりも来客数が期待できない
地方では電車やバスの本数が都市部よりも少ないため、主に移動手段は自家用車に限られます。
店舗の近隣に観光地や駅があれば他の地域からお客様がやってくることも考えられますが、やはり都市部と比べて多くのお客様を獲得することは難しいといえるでしょう。
だからこそ、自家用車でも来店しやすいよう、駐車スペースを作っておくことが重要です。複数台の自家用車が十分に駐車できるような広さを確保しておきましょう。
提供したいメニューと売れるメニューにギャップが生じやすい
地方には公民館といったコミュニティ施設でお茶やお菓子を持ち寄ることが多い高齢者の方が住んでいます。「わざわざお金を払ってお茶をする」ことが身近ではないため、カフェを開業してもなかなか来店する機会を作りにくいのです。
また、都市部と地方では住んでいる方の年齢層も異なるため、「都市部では目玉賞品になるような、おしゃれなケーキやドリンクを提供したい」と思っても、オーダーにつながらないかもしれません。
カフェで提供するメニューは、その地域に住む方々の需要を踏まえたうえで決めるようにすることが重要です。受け入れてもらいやすいものを揃えつつも、新しいものは少しずつ普及していくといった視点を持ちましょう。
軌道に乗るまでに時間がかかる
都市部と比べ、住人の少ない地方のカフェでは来客数が安定しません。長期のお休みで遠方からお客様がやってきて満席になる日もある一方、オフシーズンで1組もお客様が来店しない日もありえます。利益を出すまで、長期的に計画を練っておきましょう。
メリットとデメリットを知ったうえで多くのお客様に来ていただけるカフェを作ろう。
都市部でも難しいカフェ経営。カフェに行くことが習慣化していない高齢者も多い地方でカフェを始めることは、言うまでもなく困難でしょう。だからこそオープン前から「どの地域を選ぶのか」、「看板メニューは何にするか」、「集客はどうするのか」を入念に考えることが求められています。
憧れだけで始めるのではなく、その地域の人々からいつまでも愛される店舗を目指しましょう。