近ごろ、世界的なトレンドとして注目を集めているのが「クラフトジン」です。クラフトジンは一般的なジンと違い、独特の風味が楽しめるお酒。醸造所ごとに風味が違うので、様々なテイストのジンが味わえるのが魅力です。
2016年には、国内初のクラフトジン専門の蒸留所が京都で始動。翌2017年は「クラフトジン元年」と呼ばれ、今年に入りより一層注目を集めています。大手メーカーも参入しているこの分野。ネクストウェーブに乗り遅れないために、クラフトジンの知識を入れておくことは重要と言えます。
そこで今回は、「もっと幅広い種類のお酒を提供したい!」と考えている飲食店経営者の方へ、そもそもクラフトジンとは何か、そしてどんな種類があるのかをご紹介していきます。
クラフトジンって何?醸造方法と人気の理由
いま注目のクラフトジン。実は明確な定義はなく、「少量生産でこだわりを持って作られたジン」というのが一般的な解釈です。 クラフトビールの「ジン版」と考えればイメージしやすいでしょう。
また、クラフトジンと一般的なジンの違いは醸造方法にあります。一般的なジンは連続式蒸留(1回で何度も蒸留を行う方法)ですが、クラフトジンは単式蒸留(2〜3回に分けて蒸留する方法)で作られるので、普通のジンより原料の味が強く残るのです。
クラフトジンが人気な理由、それは、産地それぞれの特色を生かした個性的な風味が楽しめることです。作り手の自由度が高いことから、世界には1,000以上のクラフトジンがあると言われ、その中には、養蜂家が造るはちみつの味が強いジンや、フランスのぶどうを活かしたワインのような味わいのジンもあるとか。その飲みやすさとバラエティー豊かな味わいやお洒落なボトルデザインなどもあってクラフトジンが人気を博しています。
これがおすすめのクラフトジン!海外製・日本製どちらも味わい深い
それでは、実際に、どういったクラフトジンが出回っているのでしょうか?ここでは、海外製と日本製それぞれのクラフトジンをご紹介していきます。
▼ 【海外製】MONKY 47
出典:ペルノ・リカール・ジャパン
ドイツで生まれた「MONKY 47」は、47種類の薬草と植物から醸造されたクラフトジンです。クランベリーやエルダーフラワーが原料に含まれており、名人による蒸留技術と伝統的な陶製容器で作られています。
柑橘系の爽やかな風味と、香辛料のピリッとしたアクセントが特徴。クランベリーのフローラルな香りも合わさって、複雑な味が楽しめるクラフトジンです。アルコール度数は47%。ストレートやロック、カクテルのベースとしても楽しめます。
▼ 【海外製】バーヒルジン
出典:Craft Gin(SHOP)
「バーヒルジン」はアメリカのバーモンド州カレドニア郡にある蒸留酒製造所と、バーモンド州の農家から生まれました。ボトルに入れる直前に生の蜂蜜を入れるといった、一風変わった特徴を持つクラフトジンです。
花の香りだけでなく、蜂蜜による甘い風味も楽しめるので徐々に人気が集まってきています。アルコール度数は45%で、こちらもストレートやロック、カクテルとしてなど様々な楽しみ方があるクラフトジンです。
▼ 【海外製】ジンマーレ
出典:GIN MARE
スペインの漁村から生まれた「ジンマーレ」は、地中海で収穫されたオリーブやローズマリー、バジルなどの風味が楽しめるクラフトジンです。柑橘系の原料は300日間、それ以外の原料は24〜36時間漬け込まれています。
ジュニパーベリー(ジンの原料)の味が最も濃いですが、後味はオリーブとタイムが強いので食事との相性も良いです。アルコール度数は42.7%。スペインの雰囲気を味わえるクラフトジンと言えば、「ジンマーレ」の他にないでしょう。
▼ 【日本製】京都蒸溜所 「季の美 京都ドライジン」
出典:京都蒸留所
ジン専門の京都蒸留所で作られている「季の美 京都ドライジン」は、日本らしくお米から作られたクラフトジンです。アルコール度数は45%。お米の他に玉露やゆず、山椒などを原料としています。ジュニパーベリーをベースに、11種類のボタニカルを原料とした、日本独特の風味が楽しめるのがその特徴。
この風情あるクラフトジンは、酒どころとして有名な京都伏見の伏流水を使用。素材にこだわるだけでなく、11種類の原料を6つのグループに分けて蒸留する「雅」製法で醸造しています。和と洋のコラボーレーションを楽しみたい方におすすめのクラフトジンです。
▼ 【日本製】宮下酒造株式会社 「クラフトジン岡山」
出典:アットプレス
岡山県にある宮下酒造株式会社で作られた「クラフトジン岡山」は、自社自慢の米焼酎をベースにしたクラフトジンです。コリアンダー(カレーにも使われるスパイス)やジュニパーベリーなど11種類の原料を使用し、爽やかで味わい深い風味が味わえるのが特徴。
ウイスキー単一式上流器である銅製のポット・スチルで蒸留し、焼酎を貯蔵した樽に入れる手法で醸造されています。アルコール度数は50%。焼酎好きの方に一度試してもらいたいクラフトジンです。
▼ 【日本製】まさひろ酒造株式会社「まさひろオキナワジン」
出典:まさひろ酒造株式会社
沖縄県にある「まさひろ酒造株式会社」で作られている「まさひろオキナワジン」は、沖縄初のクラフトジンです。名産の泡盛やシークヮーサーをふんだんに使い、グァバやローゼルなどと合わせることで南国の風味を感じられるのが特徴となっています。
泡盛の製造で培ってきた技術を使い、縦型と横型の2種類の単式蒸留器を使い分けて「まさひろオキナワジン」は誕生しました。アルコール度数は47%。炭酸系との相性が良いので、ハイボールやトニックと割るのがおすすめです。
▼ 【日本製】サントリースピリッツ株式会社・ビームサントリー社 ジャパニーズクラフトジン「ROKU(ロク)」
出典:サントリー
サントリーグループから販売されているジャパニーズクラフトジン「ROKU(ロク)」は、桜花や玉露、ゆずなど日本の植物6種類と、一般的なジンの材料となる海外の植物8種類を使用しています。
日本の植物は旬の時期に収穫されたものなので香り高く、桜やゆずの香りが楽しめるのが特徴。スパイスには山椒が使われています。アルコール度数は47%。日本の花やお茶の香りを楽しみたい人におすすめのクラフトジンです。
まずは自分自身がクラフトジンのファンになろう
クラフトジンは一般的なジンとは違い、どの蒸留所で作られるかで風味が異なります。その土地や企業独特のこだわりが強くて深いお酒なので、まずは自分自身で色々なクラフトジンを味わうことから始めていきましょう。クラフトジンのファンになり、その味に詳しくなると、お客様に自信を持って提供できるようになるはずです。
ぜひ、クラフトビールのネクストジェネレーションとも言われる、クラフトジンで新しいお客様を獲得していきましょう!