店舗やイベントにおいて、BGMは欠かせないものです。しかし音楽を流す際には著作権管理に注意が必要です。店舗やイベントにおけるBGMとしての楽曲の使用は「商用利用」にあたるケースが多く、申請せずにフリー音源以外の曲を使った場合、著作権違反にあたる可能性があります。知らずに無断で使用していると、法的措置に発展することもあるため、安心してBGMを流すためにBGMの商用利用について正しい知識を身につけておきましょう。
楽曲やBGMが商用利用になる条件
楽曲の使用が「商用利用」である場合、楽曲に著作権が発生するため法的に正しく利用をすることが求められます。一方で商用利用に該当しない場合であれば、著作権を気にせず自由に音楽を使用することが認められています。そこでまずは、「商用利用」とみなされるのはどのようなケースなのかを説明していきます。
商用利用に該当するケース
「商用利用」という言葉は、利益を得ることを目的として何かを利用することを指します。つまり楽曲の商用利用とは、利益を得るための活動の一環で楽曲を使用することです。
企業の活動や店舗運営は、ほとんどの場合利益を得るための活動のため、店舗などでBGMを流すことは商用利用とみなされます。他にも、利益を得ることを目的としたコンテンツで音楽を流す場合は商用利用にあたり、広告収入が見込まれるものに楽曲を使用するというケースも、商用利用と見なされます。
商用利用に該当しないケース
上記で紹介した内容に該当しない場合は、商用利用にはなりません。例えば、個人的趣味や娯楽のために音楽を流す場合や、家庭内で音楽を流す場合などです。このように、会社や店舗の業務とは一切関係なく、あくまで個人的な目的で楽曲を使用するというケースであれば、著作権問題には問われません。
BGMを商用利用する際の注意点をケースごとに紹介
商用利用であるとみなされる場合、楽曲の使用には注意が必要となります。ここでは、商用利用の例を挙げながら、具体的にどのようなことに気をつけていけばいいのか紹介します。「これは大丈夫だろう」と思いがちなケースも、案外法律に引っかかる場合があるため、慎重に判断するようにしましょう。
著作権処理が必要な楽曲をYouTube動画のBGMに利用する
動画プラットフォームで、動画にBGMを使用するケースです。他人の楽曲をYouTube動画の素材として使用する場合は、広告収入につながるサイトであるため、許可が必要です。
この「収入につながるかどうか」というのがポイントです。自分で映像作品を制作したり、ゲームを作ったりという場合も、利益が生じるような活動であれば、他人の楽曲を利用するためには著作権問題が発生します。
また、YouTubeでは著作権管理者側が楽曲などに「コンテンツID」というものを登録することができます。そして、IDの楽曲に一致しているとされた場合には下記の中から著作権管理者が対応を決めることができる仕組みとなっています。
1.クリア→何もしない、そのまま投稿された動画は再生が可能
2.トラッキング→動画の視聴状況のデータを確認してもらう
3.マネタイズ→動画に広告を入れて収益を支払う
4.ミュート→コンテンツIDに該当する音声の再生を禁止する
5.ブロック→動画の配信停止
このようにYouTubeでは著作権を持つ作者の権利を守るシステムが組まれているため、著作権が関わる可能性があるものは使用しないよう注意が必要です。もしコンテンツIDに一致した場合には管理者の要望に速やかに従うようにしましょう。
イベントで楽曲を利用する
イベントでの楽曲使用も上記と同様で、入場料や参加料を取るかどうか、出演者に給料が発生するかどうかがポイントになります。少しでも金銭的な収入が発生するイベントであれば、著作権が発生するため手続きが必要となります。
レストランで定額制・音楽配信サービスのBGMを流す
レストランでBGMを流す際も注意が必要です。レストランが基本的に営利目的で運営されているため、商用利用にあたるケースがほとんどでしょう。そのため無断で曲を使用すると、著作権法に該当してしまいます。
また、自分で購入したCDや、サブスクリプションをはじめとする定額制の音楽配信サービスの使用についてです。支払いはしているため、一見すると自由に使う権利があるように考えてしまいがちですが、実際は個人の範囲の利用を前提としたコンテンツです。そのため、商用利用となるシーンでは自由に使うことはできません。しかし、著作権(演奏権)の支払いをJASRACで行なっている場合には購入したCDを流すことができます。
コンテンツに著作権処理が必要なBGMを使用する際には注意
このように、BGMの利用には著作権法に準ずる必要があります。音楽を無断利用してしまった場合、著作権侵害行為として法的措置をとられる可能性があるため、正しい申請手順を踏まえるようにしましょう。
万が一法的措置に発展してしまった場合は、処罰として以下のような民事上の請求や、刑事罰を課せられます。
以下で、民事上の請求として考えられるものを紹介していきます。
・侵害行為の差し止め請求
・権利侵害を金額で換算して請求する損害賠償請求
・不当に獲得した利益に対する返還請求や、謝罪広告を出すなどの名誉回復のための措置の請求
これらは民事上の請求となり、処罰の対象となると重い罰則を課せられます。営業においても不安要素となるため、該当しないように細心の注意を払いましょう。
さらに民事上の請求以外に、悪質だと捉えられた場合には刑事上の罰則が課せられることがあり、被害者が侵害に対して告訴したという場合、もし有罪となれば10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金が課せられます。。また、個人ではなく法人として訴えられたという場合には金額が跳ね上がり、3億円以下の罰金となる可能性があります。
このように、思わぬ窮地に追い込まれることがあるのが著作権管理の怖いところです。楽曲の商用利用の際は、法的な申請について慎重に行うようにしましょう。
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著作権を侵害しない形で安心してBGMを流すためには、基本的には曲の著作権を管理しているJASRACへの申請が必要となります。JASRACへ使用料を支払うか、もしくは有線放送の契約をするというのが主な手法です。しかし、いざ申請をするとなると、時間と手間がかかります。
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今回は、BGMの商用利用について紹介しました。著作権についての正しい知識を身につけて、処罰の対象にならないよう安心してBGMを利用しましょう。
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