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世界中の誰もが知っていて、さまざまなシーンで耳にするクラシック音楽。その優雅で壮大な雰囲気から、お店のBGMとして選曲したい人も多いのではないでしょうか?ですが、クラシック音楽にも著作権があり、店舗BGMとして使用する場合は注意が必要です。今回はクラシック音楽に関連する著作権の基礎知識を通じて、安心して使用できる方法をご紹介します。

著作権は作者の死後70年間守られる


現在、クラシック音楽を含めた芸術作品などに付与される著作権は、国によって著作権の保護期間は異なりますが、基本的に作者の著作権は公表から死後70年間保護されます。

かつては死後50年間と決められていましたが、2018年12月30日に採択された「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」を機に、多くの国で70年間に延長されました。著作権保護期間が最も長いのはメキシコで死後100年間。最も短いのはイランで同30年間となっています。

クラシック音楽は著作権フリーで使えない?

有名な「クラシック」と呼ばれる音楽の大半は17~19世紀ごろに作曲され、作曲者は一様に死去しているため、著作権フリーでクラシック音楽を店舗のBGMとして流しても問題なさそうに思えます。

確かに、作者が持つ「著作権」そのものは失効しています。しかし、著作権は印刷、コピー、録音、録画など著作物を再製する「複製権」や公に上演・演奏する「上演・演奏権」、放送やインターネットなどへのアップロードにより、公に伝達される「公衆送信権」、複製物を公衆に譲渡、貸与する「譲渡権」(映画の場合は「頒布権」)といった権利が複雑に絡んで成り立っているものです。著作者が持つ著作権以外にも、後世に残る作品を適切に管理、運用していくために、レコード会社、放送事業者、演奏家にも同様の権利が与えられており、これら関係者に与えられた権利を「著作隣接権」と言います。

クラシック楽曲は、長い期間を経て、さまざまな人の手により編さん(編曲)され、演奏されている歴史の深い芸術作品です。そのため、音源を店舗のBGMで流すにしても、録音物を管理する団体や、実際の演奏者などに著作権が発生します。つまり、勝手な自己判断でクラシック音楽を商用目的で流すと、著作権違反に抵触する可能性が極めて高いのです。

『荒城の月』に見る著作権

日本が世界に誇るクラシックの名曲として名高い『荒城の月』。1901年の発表以降音楽の教科書などにも取り上げられ、日本を代表する楽曲の一つして知られています。現在パブリックドメイン(著作者の許可なく使用できる著作物)となっているこの曲の著作権が切れるまでの経緯を見てみましょう。

『荒城の月』の作曲者である滝廉太郎は、1903年に23歳の若さで没しています。クラシック音楽の場合、本来ならばここから50年後の1953年に著作権が失効しているはずですが、この曲には歌詞が存在するため、作詞者である土井晩翠(1952年没)の死後50年後まで待たなくてはなりませんでした。

さらに、私たちが普段に耳にしている『荒城の月』は、山田耕作によるピアノ伴奏が加わっています。一般的に普及、流通している山田耕作により編曲されたバージョンを商用目的で演奏、再生する場合、ここでも“死後50年間ルール”が適用されるのです。山田耕作は1965年に亡くなったため、2015年に保護期間が終了しました。発表から実に100年以上の時を経て、『荒城の月』はパブリックドメインとして認められることとなったのです。

このケースのように共同制作者がいる場合や、芸術家が連名またはグループで作品を発表しているケースがあることも、頭の片隅に入れておいた方がいいかもしれません。

※『荒城の月』の場合、2018年12月30日までに著作権の保護期間が終了しているため、2018年12月30日以前の”死後50年ルール”が適用されます。

著作権フリーのパブリックドメイン

BGMは必要だけど、使用許可の申請や使用料の支払いなど面倒な手間は極力省きたい場合、パブリックドメインとされている以下の楽曲を使用するのが無難です。

●著作者の死後70年が経過した楽曲
●元から著作権保護の対象になっていない、国際条約非加盟国の楽曲
●昔から歌い継がれてきた、民謡などの作者不明の楽曲
●「著作権フリー」が明示されたデータベースから提供されている楽曲

ただし、前述の著作隣接権から、作者の死後70年が経過している事実だけでは、手持ちの音源が完全に著作権フリーになっている保証はありません。著作権または著作隣接権については、まずはJASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)に問い合わせ、同協会の保護下にない楽曲は、CDの発売元や演奏している楽団に問い合わせる必要があります。しかし、店内で再生するBGMのために、そこまでの時間と労力をかけることは現実的ではありません。

店舗BGMに特化したサービスを利用するのが一番

余計なトラブルに見舞われることなく、安心してクラシック音楽をBGMとして使いたい場合、専用のBGM配信サービスの利用がオススメです。

「モンスター・チャンネル」は、JASRACとの契約により煩雑な著作権問題をすべてクリアした店舗BGMアプリです。チャンネル数も約1,000と豊富で、クラシックのみならず、その時々のシチュエーションに応じて好きな楽曲を再生できます。専用機器の設置も必要なく、お手持ちのPCやスマートフォンからでも利用可能です。

お店のイメージアップのためにも、ぜひ「モンスター・チャンネル」をご活用ください。

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https://monstar.ch/

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店舗BGMアプリ「モンスター・チャンネル」が運営する店舗運営情報magazineの編集責任者。