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一号店がうまく軌道に乗ってきたし、そろそろ二号店、さらにはどんどん多店舗展開したい……。

そのように新規出店の想像を膨らませていても、開店するお店にたくさんのお客さんを呼び込むためには、出店エリアの見極めが何よりも重要。店舗を経営している皆さんであれば、「立地は駅近がいい」ということぐらいはご存知だと思いますが、そこが商いに向いている立地なのか、お客さんの動きはどうなっているのかなど、他にも考えなくてはいけないことが山のようにあるのです。

そこで今回は「商圏」に関する基礎知識をおさらいするとともに、GPSによるビッグデータを利用した最新の商圏分析など、今さら聞けない商圏の考え方を紹介します。

 


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「商圏」についてのおさらい

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まず最初に「商圏」とは、「特定の施設や商店の商業機能が影響をおよぼす範囲」、よりざっくり説明すると、「店舗が消費者を集客できる範囲」という意味になります。商圏、つまり商業施設の影響範囲について考える上では、商品やサービスを供給する施設と、その位置するエリアと、さらにはそこで生活を営む消費者という三者の間で作り上げられる関係性が重要です。

商いには、小売りと卸売りの二つがあり、それぞれの商圏を「小売商圏」、「卸売商圏」とよびますが、現在では一般的に「商圏」といえば小売商圏を指し、それに対し卸売商圏は広い範囲を持つことから、経済圏とよぶことが多くなっています。

 

商圏の広さをどう捉えるか

一般的に商圏内にある商業施設と、それを利用する消費者との結び付きは、エリアの中心部からの距離が遠くなるにつれて弱まっていきます。しかしそれは、エリアの中心となる施設や機能(駅、オフィス街、大学など)の規模や交通条件などによっても異なってきます。そのため、商圏を設定する上で大きく影響するのは、市場規模としての人口やその人口をカバーできる距離の他にも、消費者が実際に来店するための交通手段を考慮することなのです。

また、日常品などの最寄り品をメインとする場合、消費者は最も近場の店舗を利用するため商圏は小さくなり、高級品や専門品など買い回り品では遠くからはるばる来店する消費者も多いため商圏の範囲は広くなるのです。

では、商圏について上記のような考慮事項があるなかで、その知識をどのようにお店の経営に活かせば良いのでしょうか?以下では、閉店のリスクを低減するための戦略設計についてより具体的に見ていきましょう。

 

リスクを低減する出店戦略

まず、商圏を細かく分類すれば、以下の3つのカテゴリーに分けることができます。

近隣商圏(半径1km程度)… 食品などの最寄り品の商圏
地域商圏(半径4~5km程度)… 洋服などの買回り品の商圏
広域商圏(半径10km以上の範囲)… 各地域の中核都市の繁華街

これらの商圏タイプの中でとくに問題が発生しやすいのが、地域商圏・広域商圏にあたる商業施設が、他地域の賑わいや大規模店舗の出店などによって商圏を侵食された場合。

例えば大型店舗の出店により商圏を侵食され、食品などの最寄り品の売上しか見込めなくなってしまった場合、地域商圏・広域商圏の集客力を見込んで出店していた店舗は、近隣商圏からの集客だけで収入を得なければなりません。しかしその結果、売上も見込めず、採算が合わなくなり経営が行き詰ってしまうのです。

また、商圏人口5万人を見込めていた商店街が、交通事情の変化やショッピングセンターの進出により、商圏人口2万人以下に侵食されてしまった場合は、その商圏人口でも採算の合う店舗しか生き残れなくなり、業務転換や閉店を余儀なくされます。

このようなことにならないためにも、将来の周辺地域の発展・周辺地域への大規模店の出店などを考慮に入れて、出店すべき立地を検討することが重要になってきます。また、チェーンの本部担当者であれば、閉店を回避するために、商圏の侵食を予想して備えておくことが大切なのです。

 

最新商圏分析ツールの活用

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最近、出店に向けて人口動態やGPSなどのデータと連動した最新の商圏分析ツールを導入することがトレンドになってきています。

導入以前は、実現性の高い出店計画を決断できないことや、自社の商圏の変化や動きを把握できていないために長期的な経営計画が立てられないなど、いくつもの課題に直面していました。しかしこの商圏分析ツールを導入することで、これらの課題を解決するだけではなく、新規出店計画の精度が高まるなど、様々なメリットが得られるようになったのです。

商圏分析ツール導入の最大のメリットは、高精度な出店計画が可能になることです。特に小売店や飲食店、美容・理容室などの新規出店においては、当該エリアの商圏を人口動態などのビッグデータをもとに検証して、可能性の高い出店計画を決断することが重要になってくるからです。

また、競合店の情報も合わせて検証し、SWOT分析(※)を行うことにより、エリアにおける自店のポジションや、ライバル店との競合状況を把握することが可能になります。

さらに、当該エリア内で使用された個人のスマートフォンの利用状況をビッグデータ化し、ターゲットの当該エリアにおける自店来訪の可能性を検証したり、自店と競合店の来訪者のデータを比較して分析に利用するなど、活用法は様々な広がりをみせています。

長期で当該エリアを分析することにより、エリアの長期トレンドを把握することが可能になります。このように各エリアを年齢、性別、職種などを中心に長期的に分析し将来像を把握しておくことが、新規出店計画を確定する際に必須となってくるため、商圏分析ツールの導入が増えてきているのです。

※SWOT分析とは:外部環境や内部環境を強み (Strengths)、弱み (Weaknesses)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats) の4つのカテゴリーで要因分析し、企業が経営戦略や経営計画を策定するための手法のひとつ。

 

まとめ

以上のように、GPSなどのビッグデータを使用した商圏分析ツールを導入することで、様々なメリットを得ることが理解できたと思います。開業したのはいいけれど、来客がなく採算が合わなければ、店舗の閉鎖を余儀なくされてしまうのが商いの常。

すなわち店舗の出店戦略においては、商圏を長期的に分析し、その分析結果を巧みに活用していくことが求められるのです。多店舗展開を目指す時には、商圏分析ツールを上手に活用して、高精度な出店計画の確定や、さらなる売上アップを狙ってみませんか?

 


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magazine 編集部

magazine 編集部

店舗BGMアプリ「モンスター・チャンネル」が運営する店舗運営情報magazineの編集責任者。