「意識高い系アルバイト」はサービスを乱す!?【店長の失敗体験・アルバイト採用編】

人手不足の飲食業界。

しかし、藁をもすがる気持ちで採用したアルバイトがお店にトラブルを招き、思わず「こんなはずじゃなかった……」と頭を抱えている店長さんもいらっしゃるのではないでしょうか?

そんなアルバイト採用における不幸なミスマッチを防ぐために、店長に必要な心がけとは一体何なのでしょうか?世の中に「うちのアルバイトは皆よくやってくれているよ!」というような話題は数多くあれど、本当に必要な気づきは「失敗談」から得られることも多いはずです。

そこで今回OMISE Lab編集部がお話を伺ったのは、誰もが知る某大手カフェチェーンで3年の店長歴を持つAさん。その生々しい採用失敗談を参考に、「正しい縁に恵まれた採用」とは何か、考えてみましょう。

飲食店経営の皆様へ お店の雰囲気って内装だけだと思っていませんか?

 

採用の際に心がけていること

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飲食店の採用面接において、何よりも大切なのは「ファーストインプレッション」だと語るAさん。他のすべての要素にも増して、とにかく最初の印象を重要視するといいます。「会ってその一瞬で印象が悪かったら、お客さんへも悪い印象を与えると考えて採用しません」と口調を強めて語る理由には、記事後半で明らかになる痛々しい失敗の経験がベースとしてありました。

その他にもAさんがアルバイトの採用面接において重視するポイントは、明るくて清潔感があって、礼儀正しくて、元気がいいこと。さらに、「熱心かどうか」が重要な見極めポイントだといいます。

その熱心さは、「なぜここで働きたいか」という質問を通じて測るのだとか。確かに、「ただ稼ぎたいだけ」という動機では、店舗の目標に貢献してくれるかどうか不安が残ってしまいます。

 

Aさん「目標に共感し、実現してくれるメンバーでないと採用する意味がないと考えています。アルバイトとは言えど、惰性で働くだけなら、目標を持って働く他のスタッフやお客さまに悪影響を与えるからです。」

 

採用にあたっての店長の役割とはズバリ、しっかりとお店のゴールや目標を自分の頭の中に描いた上で、応募者がそれに合致した人間かどうか判断すること。今ではファーストインプレッションや応募者の動機を判断材料に、しっかりとした採用基準を設けているAさんですが、過去にはどんな「見誤り」があったのでしょうか。

Aさんが赤裸々に語ってくれた失敗体験からは、思わず「あ痛たた……」という悲痛な共感の声が漏れてしまうに違いありません。

 

「意識高い系」は店のサービスを乱す!?

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「意識高い系」という言葉が一般的に使われるようになってからかなりの月日が経つと同時に、その言葉によってカテゴライズされる若者が引き起こすトラブルについても、広く周知されるようになりました。

もちろん、何事も決めつけは良くない上に、「あいつは意識高い系だから、口ばっかりで使い物にならない」というような陰口はご法度。本人の感情を傷つけるだけでなく、職場のコミュニケーションに陰湿な空気が流れてしまいます。

とはいえど、やっぱりどんな時代も「今どきの若者たち」に関する店長の悩みは尽きないようです。

 

Aさん「アルバイトのやる気は重要な評価要素なのですが、“このお店はこうあるべき”というイメージだったり、自分のやりたいことや、ビジョンを持ちすぎている人はやっかいです。うちのお店では居心地の良い空間を提供するために、お客様が喜ぶことはなんでもしてあげたい、という気持ちを強く持った従業員がいました。それが行き過ぎて、少しでもお客様に粗相をしてしまった従業員に必要以上に強く叱りつけたり、“お客様を喜ばせるため”と言ってお店では売っていない紅茶をお客様にふるまったりして問題になりました。」

 

本人の善意からの行動とはいえ、それが独善的な行動になってしまったことにより職場の空気が乱れてしまったというAさん。その従業員には「お客様を大切にする」という思いが強い一方で、ビジネス感覚や一緒に働いている従業員への想いやりが欠けていたのです。

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他にも、やる気はあるのだが、おかしな“癖”を職場に持ち込むスタッフの教育にも苦労するといいます。Aさんが紹介してくれたのは、サービス業界から転職してきたスタッフのエピソード。

 

Aさん「前職の経験によほど自信があるのか、その習慣が抜けきらないスタッフの教育はなかなか難しいです。うちのお店の例で言えば、結婚式場から転職してきた人が、トイレの場所を聞かれて“ご案内します”と、トイレまで案内しに行ってしまったり、軽い挨拶の場面でウエイターのように深々とお辞儀していたり。行動自体は悪いことではないのですが、うちのお店でその対応は場違いです。柔軟性が必要です。」

 

とは言え、やる気あるスタッフとお店のビジョンや職場の細かなルールを共有できれば、これ以上心強いことありません。店長としては全体のバランスを見ながらスタッフと正しくコミュニケーションをとり、顧客満足度や従業員満足度を向上させていきたいところですが、そのためには採用の時点での人柄の見極めが重要になるのです。

 

「採用してから気づいた」ではもう遅い!?お店とスタッフのミスマッチを減らすには。

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「意識高い系」と同じくらい、いやそれ以上に悩ましいのが「意識の低下」。Aさんもまた、店長であれば必ず一度は直面する「シフト激減問題」について頭を悩ませていました。

 

Aさん「働き始めてしばらくすると、シフト数が激減する従業員がどうしても出てきます。それは面接のときにしっかり聞いておくべきですね。本当に週3回入れるのか。もし入れないと、とても困るということを最初にしっかり伝えて、自分がシフトに入ることが絶対に必要なのだという意識づけをするのが大切だと思います。」

面接時に念を押すことで、スタッフのシフト減をある程度は回避できたとしても、さらに怖いのが採用後の「慣れ」による意識の低下。Aさんのお店でも、職場に慣れてくることで、お客さんに対してずさんな態度をとったり、私情を持ち込んだりというスタッフが現れたといいます。仕事中は常に頭を仕事に切り替えていないといけない、という基本的なことも学生や主婦のアルバイトでは時に難しいこともあるのです。

では、そんな採用での失敗経験からAさんが学んだ、「アルバイトとお店との不幸なミスマッチを減らす方法」とは一体何だったのでしょうか。

 

Aさん「採用の段階で、こいつダメな人間だけど、育てればなんとかなる、という考えはやめました。ダメな人間とは、表情・受け答え・視線・ジェスチャーで大体が判断できます。面接のたった30分でダメな奴だと思わせる人は本当にダメです。経験上、第一印象がダメだった人間が、職場でダメではなかったということは皆無に等しいですね。自分の育成スキルを過信してはいけません。

 

Aさんが自らの失敗を踏まえて語ってくれたこの一言こそ、世の店長が心に刻んでおくべきことなのではないでしょうか。なんといっても、アルバイト採用は慈善事業ではないのです。人手不足などの厳しい台所事情があったとしても、「採ってみてからなんとかしよう」が通用するほど、店長の仕事はヒマではないはず。

第一印象に忠実に、お店が必要としている人材と、お店の足を引っ張る人間をふるいにかけることが、結果として採用コストの低減にもつながるのですね。

アルバイトの採用でお悩みの店長の皆さんも、Aさんの赤裸々な失敗体験談を参考に、採用のリスク低減をめざしたいですね!

 

まだCDなんですか?