【事例つき】商業施設のバリアフリー化のために気をつけるべき5つのポイント。

近年、あらゆるお客様が快適・安心に利用できる、バリアフリー化に取り組む商業施設や店舗がますます数を増やしています。バリアフリー化は障がい者や高齢者だけではなく、社会で暮らす全ての人がストレスなく施設や店舗を利用し、気持ちよくサービスを楽しむために欠かせないことのひとつです。

そこで今回は、お客様にとっての快適な店作りや、身近で簡単なところから取り組めるバリアフリー対策としてどのようなことができるのかについてご紹介します。

 

バリアフリーとは?まずは定義からおさらいしよう。

バリアフリー(英語でBarrier free)とは、「バリア=障壁」を「フリー=のぞく」という意味の英語からきている言葉です。高齢者や障がい者、乳幼児連れの人や病気を抱えた人などが日常の暮らしを送る上で障壁となる物理的・心理的なバリアを取り除くための対策や状態のことを意味しています。

商業施設や店舗を経営をする上で、すべての消費者が快適に利用できる環境を整えるという視点から、空間デザインにおいて重要視されているコンセプトです。

 

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▼ バリアフリー対応で得られるメリット

バリアフリーが浸透した接客や店舗設備は、ありとあらゆるお客様が、無理をすることなく利用することが可能な状態を実現します。

バリアフリーの項目には、障がいを持たない人にとっても快適と感じる要素が多く含まれているため、買い物や飲食を終えられたお客様の心に、「このお店を利用してよかった」という印象を残し再訪の動機にもつながります。

 

バリアフリー化のために気をつけるべきポイント

▼ 駐車スペース、出入口

駐車スペースは店舗建物の出入り口に近く設置し、車の幅に乗り降りするためのスペースを加えた幅をとり、左右両サイドに乗り降りのスペースを設けます。雨が降る日にも快適なように屋根やひさしの設置も検討したいポイント。

出入り口までの通路は、車椅子利用者と人がすれ違う場合を想定し、幅を180cm以上確保しましょう。通路は車椅子やベビーカーがスムーズに進むように、また視覚障がい者の人のつまづきの原因になる砂利や石畳などの素材は避け、やむをえず段差ができてしまう場合は、傾斜をゆるやかにしたり両側に手すりを設置するなどの工夫が必要です。

出入り口に関しては、手前に引く形態の扉は高齢者や車椅子の人には開け閉めがしづらいため自動ドアやスライド式が望ましいでしょう。しかし、なによりもまず気をつけるべきポイントは、店舗の出入り口付近には商品や自転車を置かないようにし、車椅子やベビーカーのお客様が入りやすい幅を確保すること。他にも、開閉時に音が鳴ると視覚障がい者の人にも使いやすい出入り口になるなど、「小さな気づき」を通じてお客様の空間体験を大きく向上させることが可能なのです。

 

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▼ 通路、店舗内スペース

通路や店舗内のスペースでお店側が最初にチェックすべきポイントもまた、車椅子やベビーカーが通行しやすいかどうかということです。スーパーや小売店などで通路に商品がはみ出した状態で陳列されていれば、動線の邪魔になるだけではなく、高齢者や視覚に障がいのあるお客様の通行のさまたげにもなります。通路の幅は車椅子が通れる90cm以上にし、すれ違う人が多い通路では車椅子同士が余裕を持って通行できる幅があるのが理想的です。

店舗内に段差がある場合は、スロープを設置して段差を解消する方法がありますが、その際にはスロープ部分の色を、他の床部分と区別しやすいように変えるようにすると高齢者にも認識しやすくなります。飲食店の場合は、テーブル同士の間隔を車椅子が通れる幅を確保します。

椅子は固定式にはせず車椅子のお客様が来店された時に、そのままテーブルの席につけるような工夫をし、間仕切りを設ける場合にも、可動式にすると必要な場合に簡単に移動できるのでおすすめです。

 

▼ 注文

視覚に障がいのあるお客様の注文を受ける場合のポイントは、直接ご本人に話しかけ、メニューをご飯ものや麺類など種類別に読み上げて説明したり、可能なら点字のメニューを用意することも検討しましょう。

聴覚に障がいがあるお客様の場合には、メニューを見るだけで内容が理解できるように配慮した、指差すだけで注文ができような写真入りのメニューの用意があると助けになります。その他にも、筆談グッズとしてのコミュニケーションボードを準備しておくなどの工夫ができればさらにいいでしょう。

 

▼ トイレ

 

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高齢者や障がい者、身体機能上制約がある人が外出の際に困るのがトイレ。近年、「みんなのトイレ」や「だれでもトイレ」の名称で、車椅子の人だけではなく必要とする全ての人が気兼ねなく利用できるトイレの設置が進んでいるのはご存知の通りです。

便器や洗面器まわりに手すりを用意すると大きなサポートになるのはもちろんですが、車椅子のお客様でも確認しやすいように、低い位置に鏡を別途用意することもまた見落としがちな気配りのひとつです。また、異性による介助にも制限がないよう男女共用としたり、誰でもが利用できると表示するステッカーを貼るなどの工夫も、ホスピタリティーの実践として導入したいですね。

他にも、オストメイト対応水洗器具多目的シートの設置など、より細かなニーズに応えるための設備投資も検討の価値ありです。

 

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▼ お会計

視覚や聴覚に障がいがあるお客様がお店で会計をするときに必要となるのは、支払いやおつりの金額がわかりやすいことです。視覚に障がいのあるお客様には、スーパーや小売店なら商品の品名と価格・合計金額などを声を出して読み上げて伝え、代金を受け取る際にも受け取りとおつりの金額を声に出して伝えます。

聴覚に障がいのあるお客様の場合は、合計金額をレジの表示や電卓またはメモに書いて視覚的に伝える工夫が必要になります。

 

まとめ

障がいを持つ人や高齢者の人が安心して入店し利用できるお店は、すべての人が快適に利用できます。そのためには設備を整えたりスペースを設けるなどのハード面での対応と、店舗内の配置や表示、接客などソフト面での対応が必要です。

よりよいサービスを提供し、お客様に対して可能な限りのお手伝いをするために「サービス介助士」という資格を取得したり、バリアフリーへの改修工事の自治体の助成金の利用なども検討してみましょう。