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お昼も夜も同じ路線のメニューで営業しているけれど、片一方の時間帯の売上がなかなか上がらない。そんなお店を、二毛作ビジネスが救ってくれるかもしれません。

二毛作ビジネスを取り入れている店舗(二毛作店)とは、お店の営業形態が昼と夜、または曜日などで変わるお店のことです。昼も夜も常に、全く同じメニューで繁盛しているお店は、二毛作とは言いません。

今回は、アッと驚く二毛化のアプローチから、小規模店舗でも可能な現実的な二毛作ビジネスまで、その成功例とともにご紹介します。


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二毛作ビジネスで成功するコツ

二毛作を成功させるには、その時間帯ごとのニーズの違いを見定め、昼と夜のサービス内容の違い、空間演出の方法などをはっきりさせ、お客様にアピールしなければなりません。

例えば飲食店の場合、ランチは限られた休憩時間の中で手短に済ませたいという利用者も多いため、そこまで客単価は高くなりません。しかし夜は、コミュニケーションの場として利用するのがメインであり、お酒を飲みながら、ゆっくり息抜きができる空間を提供する必要があります。

このように時間帯ごとのニーズの違いをはっきりと見極め、店舗運営に活かしている代表例が昼はパスタランチ&カフェ、夜はハッピーアワーを含むバー営業をしている大手チェーン、PRONTOです。

二毛作ビジネスには工夫が必要で、お昼と夜の雰囲気を変え、店の看板商品を昼と夜で変えなくては差別化出来ません。 うまくいかなかれば甚大な損失が出ますが、うまく行けばディナーの時間帯の客単価UPも狙え、利益が何倍にもなるのです。

 

 

業種の枠組みを超えた二毛作ビジネス

ここでは意表をつくような業種の掛け合わせでお店の二毛作化に成功している店舗をご紹介いたします。

 

▼ (株)藤井設計 土日cafe

Mayu Sugimotoさん(@mayu1125)が投稿した写真

 

藤井設計は都心の会社・オフィスのインテリアデザインをしている会社ですが、土日だけ事務所がカフェに変わります。

店長夫妻がお店を切り盛りし、たまに娘さんもお手伝いしており、ほんわかした雰囲気のお店です。お客様も、お茶を楽しみながらインテリアデザインのカタログや内装関連のサンプルなどを見ることができます。

 

店舗情報

土日cafe(食べログLINK

東京都中野区新井1-15-9
12:00~20:00(L.O19:30)

 

  ▼ 魔法にかかったロバ  

Aiki Oka??さん(@aiki511)が投稿した写真

yasuna muraさん(@yasunasand)が投稿した写真

 

京都市上京区にある「魔法にかかったロバ」という、ちょっと変わった名前の店舗。 北野天満宮から10分ほど、「北野白梅町駅」から約5分。  「まほロバ」の愛称で知られるこちらのお店、その経営スタイルがちょっと変わっているんです。

時にはカジュアルフレンチレストランであったり、読書Barであったり、絵本カフェ、占庭結婚恋愛相談所、焼き肉屋のきまぐれランチ、英会話&国際食堂 International Barであったり… 昼と夜の内容が違うどころか、毎日、違うお店かつ業種形態になっており、これは多毛作ビジネスとでも言った方がふさわしいかもしれません。 魔法にかかったロバはズバリ、日替わり店長のお店です。

少しでも多くの若者が社会との接点を持ち、新しい価値観に出会ってほしいという思いから、若者と社会をつなげることをコンセプトに誕生したという「まほロバ」。カウンターでお話すればみんなお友達になること間違いなし。一期一会の出会いが満載です。

 

店舗情報

「魔法にかかったロバ」(店舗ブログLINK

京都市上京区御前通一条通御前西入る西町90枡嘉ハイツ1階

075-463-6866

 

現実的な二毛作ビジネス

上で述べた業種の違う極端な二毛作ビジネスは、店舗の軸足をガラッと変える必要があるため、異なる業態のノウハウを持たない小規模な飲食店ではそう簡単には真似できないものです。

しかし、これからお話する「現実的な二毛作ビジネス」は飲食店という枠組みの中でうまくメニューの軸や価格帯をずらし、二毛作化に成功している店舗です。  

 

夜の食材を昼にも活かした二毛作「銀三」

 

昼は天ぷらうどんを提供している銀座の「銀三」

 

  @ats0906が投稿した写真

 

夜もうどんを提供しようかと考えましたが、うどんはお酒のつまみにあまりふさわしくないということで、天ぷらを串に刺して「串天」にしたところ、串揚げのような庶民派の親しみやすさが、大衆酒場の看板メニューにマッチし、人気となりました。

夜のメインメニュー「串天」は、うどんのトッピングの天ぷらを使っており、昼の食材はすべて夜のもので賄われていますが、メニューは違うのでランチとディナーの両方いらっしゃるお客様も多いそうです。客単価はなんと昼の4倍以上!お酒を注文して貰えると一気に客単価が跳ね上がります。しかも、カクテルなどの手間のかかるものではないので、技術も必要ありません。

昼と夜とでまったく違うメニューを用意している銀三ですが、夜の料理は昼の料理と材料が一緒なので、準備も二度手間にならず、大きなロスにも繋がりません。同じ原材料で4倍もお金を落としてもらえるのは、まさに二毛作の成功例といえるでしょう。

 

店舗情報

「うどん酒場 銀三」(食べログLINK

東京都中央区銀座3−14−7

 

夫婦それぞれの得意分野を活かした二毛作 「出町うさぎ」

 

 

お昼は体にやさしい雑穀ごはんの定食、夜は和食&ドイツ料理のお店に変わる京都の「出町うさぎ」。 店長夫妻それぞれのキャリアを生かした多彩な料理が楽しめます。 お昼は雑穀ご飯の勉強をしていた奥さまが腕をふるう体にやさしいごはんを、夜は、日本で和食店を経験したあと、南ドイツのレストランなどで働いていたご主人が、和食と伝統的なドイツの家庭料理を提供します。

飲み物は、日本酒や焼酎もありますが、おすすめはやはりドイツビール。たくさんの種類がそろっています。

 

店舗情報

「出町うさぎ」(店舗公式Tumblr

京都市左京区田中下柳町1−12

075-201-6810

 

 

昼は伝統を継ぎ、夜は新しい風を吹かせる「レストラン サカキ」

 

@pug_chahkoが投稿した写真

 

『レストラン サカキ』の特徴は、昼は創業当時から続く洋食店、夜はフランス料理店へとそのスタイルを変えるところ。先代までは洋食店だったのですが、榊原さんはフランス料理の魅力を多くの方に伝えたいと思い、ディナーでフランス料理を提供しています。

今では『ミシュランガイド東京2015』に名を連ねたり、ランチタイムには行列ができたりするほどの人気店にまで登りつめました。

昼は忙しいビジネスマンでも手軽に済ませられるようなカジュアルな洋食を用意しています。その中でも特に人気があるのがエビフライのセット。ポテトサラダ、キャベツ、そこにライスとスープが付いていてお腹も大満足。お値段も1200円とお手頃なのも魅力的です。素材にもこだわっており、エビは毎朝築地で調達しています。

 

Saori.kさん(@s_k15)が投稿した写真

 

夜はゆったりとした雰囲気で過ごせるフランス料理店に変わります。本場フランスと日本のフランス料理店で修行を積み、その後南フランスに渡ったシェフが本格的なコース料理から充実したアラカルトメニューをふるまいます。200種以上あるというワインの豊富さも自慢です。

 

このように、昼も夜も手を抜くことなく、両方で品質にこだわりをもっています。

 

店舗情報

「レストラン・サカキ」(店舗公式ホームページ

東京都中央区京橋2−12−12 サカキビル1F
03-3561-9676

 

奥が深い二毛作ビジネス

売上が伸び悩んでいるお店も、二毛作ビジネスによって起死回生のチャンスが訪れるかもしれません。

業態を変えるのはかなり困難ですし、リスクも伴いますが、飲食店という軸を保った二毛作化であれば今からでも取り入れられそうです。是非参考にしてみてください。

 

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magazine 編集部

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店舗BGMアプリ「モンスター・チャンネル」が運営する店舗運営情報magazineの編集責任者。