飲食店に求められるインバウンド対策とは? プロモーション方法を含め徹底解説

2020年の東京オリンピック・パラリンピック、2025年の大阪万博など、国際的なイベントを控える中で、訪日外国人数が年々増加しています。飲食店においては、外国人観光客が利用しやすいような店舗作りを目指すことで、売上拡大につながるはずです。
今回は、訪日外国人の動向や悩みを踏まえ、飲食店が行うべきインバウンド(訪日外国人)対策、インバウンドプロモーションについて解説します。

インバウンド増加の背景とは?

訪日外国人数の推移
「国籍/月別 訪日外客数(2003年~2019年)」(日本政府観光局 JNTO)を元に作成>

日本政府観光局(JNTO)によれば、2018年の訪日外国人数は約3120万人と、2013年から急激に増えていることがわかります。また、日本政府は2020年までに訪日外国人数4000万人、8兆円の消費を目指しており、今後はさらなるインバウンド需要の拡大が予想されます。では、なぜここまでインバウンドが増加したのでしょう。大きな要因を3つ紹介します。

円安の影響

円安が進み、多くの外国人にとって訪れやすくなっていることがあげられます。2011年には、東日本大震災の影響から1ドル=76円の最高値を記録した円ですが、2015年には120円ほどの円安となりました。2014~2015年に話題となった中国人による「爆買い」も記憶に新しいのではないでしょうか。円安が多くの外国人にとって、来日のきっかけになっているといえます。

ビザの緩和

政府は中国人による「爆買い」を受け、大量消費が見込める中国人訪日客に対しビザの緩和を行いました。またビザの緩和は、急速な経済成長を遂げる東南アジア諸国を中心に、着実に行われています。ビザの緩和によって滞在可能日数が伸びれば、リピーターの増加が予想されるでしょう。ビザの緩和は主に高所得者を対象にしているため、消費額の増加も見込めます。

LCCの普及

近年、他の航空会社よりもフライト料金が安いLCC(Low Cost Carrier:格安航空会社)が多く利用されるようになりました。日本においては、アジア圏に属する国々からの訪日者数が多く、特に訪日韓国人数の割合が非常に高い上にリピート率も高いようです。費用を抑え、手軽に海外旅行を楽しみたいというニーズからも、距離的に近いアジア圏の国々からの訪日外国人数は今後も増えるでしょう。

これらの要因以外にも、「SNSの普及によって訪日外国人による日本の魅力が、従来よりも海外に発信されやすいようになった」ことも、急激な訪日外国人数の増加要因になっていると考えられます。

なぜインバウンド対策が必要なのか

訪日外国人が旅行中に困ったこと
「訪日外国人旅行者の受入環境整備における 国内の多言語対応に関するアンケート結果」(観光庁)を元に作成>

平成29年に行われた、観光庁による「訪日外国人旅行者の受入環境整備における国内の多言語対応に関するアンケート」結果によれば、訪日外国人旅行者の旅行中に困ったこととして、「施設等のスタッフとコミュニケーションがとれない」が26.1%と最も高くなりました。続いて「多言語表記の少なさ、わかりにくさ」21.8%、「無料公衆無線LAN環境」21.2%など、これらの悩みに対応することが、訪日外国人旅行者のニーズを満たし、売上拡大につながると考えられます。

飲食店への悩みが大きい

コミュニケーションで困った場所
「訪日外国人旅行者の受入環境整備における 国内の多言語対応に関するアンケート結果」(観光庁)を元に作成>

前述で示した通り、訪日外国人旅行者の悩みとして最も多いのが「コミュニケーション」。中でも、飲食店での悩みが多いことが上記のグラフからわかります。日本食の提供など、訪日外国人のニーズが高い飲食店だからこそ、インバウンド対策の重要性が窺えます。
以下では、飲食店が注意するべき特徴的な悩み2つを紹介します。

注文時の悩み

コミュニケーションで困った場面
「訪日外国人旅行者の受入環境整備における 国内の多言語対応に関するアンケート結果」(観光庁)を元に作成>

飲食店への悩みの中でも、「料理を選ぶ・注文する際」の割合が65.8%と特に多いことがわかります。近年、訪日外国人による都道府県別の消費単価率が、東京や大阪などの大都市圏以外の地方でも上がってきています。よって、今後は大手チェーン店以外の、個人で経営している飲食店の対応も必要になってくるでしょう。

Wi-Fi環境

訪日外国人が日本でインターネットを使うには、日本の通信回線を使えるSIMに入れ替えるか、空港などでポケットWi-Fiをレンタルする必要があります。しかし、どちらの方法も料金が発生してしまうため、通信手段としては無料Wi-Fiを求める外国人も多いでしょう。旅行中に感じる悩みの中でも、「無料公衆無線LAN環境」が21.2%で第2位となっています(上記「旅行中に困ったこと」グラフ参照)。訪日外国人が飲食店を選ぶ際には、無料Wi-Fiが設置されている店舗を選ぶ可能性が高くなると予想できます。

飲食店のインバウンド対策

インバウンド対策

ここまで訪日外国人増加の背景と、飲食店を訪れた際の悩みを解説しました。ここからは拡大するインバウンド需要に向け、飲食店が取り組むべき対策を紹介します。

必要な多言語表記・コミュニケーションツール
「訪日外国人旅行者の受入環境整備における 国内の多言語対応に関するアンケート結果」(観光庁)を元に作成>

メニューの工夫

言葉が通じなくとも、料理の選択・注文には少しの工夫で対応できます。代表的な対策としては、上記のグラフからもわかる通り、多言語表記・写真入りのメニューです。また、指差し会話シートなどを用意することで、ストレスなくスムーズに注文ができるでしょう。ただし、特定の国の観光客が集中するような店舗の場合は必要となる言語は限られますが、訪れる訪日外国人が多様な場合、対応すべき言語も多くなります。その場合はタブレットによる注文や、翻訳機の導入も検討する必要があります。

Wi-Fi設定

店舗へのWi-Fi設置は、訪日外国人の通信環境への悩みを解決するだけでなく、店舗への集客にもつながります。現在は多くの人々がSNSを使用しているため、実際に店舗を利用した観光客がその場でSNSを通じて店舗情報などを投稿することで、集客に直結するはずです。

キャッシュレス化

飲食店利用の際に、ストレスの1つとなってしまうのが会計です。日本は他国に比べ現金の信頼性が高く安全と言えますが、キャッシュレスによる会計の手間が少なくなれば、利用頻度・消費拡大につながるでしょう。また近年はスマホでの決済など、キャッシュレスの種類も増えているため、必要な機器などの設置コストも抑えた導入が可能となっています。

インバウンドプロモーションとは?

インバウンドプロモーションとは

インバウンドプロモーションとは、訪日外国人に向けた商品や店舗情報、サービスの宣伝をいいます。有名な観光地などの日本独特の文化やサービスを提供している場合はまだしも、競合や店舗数が多い飲食店は、積極的な宣伝が集客に直結します。ここではいくつかのプロモーション方法を紹介するので、店舗に合った最適なプロモーションを行い、売上拡大を目指しましょう。

<オンライン施策>

SNS活用

近年SNSを用いた、企業によるプロモーション活動を目にする方は多いのではないでしょうか。インバウンドにおいても、低予算で簡単に始められることから、SNSを活用したインバウンド集客に注目が集まっています。観光庁が実施した訪日外国人向けの調査においても、旅行前に役立った情報源として、SNSが2位という結果になりました。ただし、国によって様々なSNSサービスが存在しているため、中国人に対してはWeibo(微博)、米国人に対してはInstagramなど、ターゲットによって使い分けましょう。

リスティング広告

リスティング広告とは、検索キーワードに応じて検索結果上に表示される広告をいいます(「SEO HACKS」参照)。キーワード単位での表示となるので、ターゲットとする訪日外国人に向けダイレクトで宣伝することができます。リスティング広告はクリックされない限り広告費がかからないため、予算や目標集客数に合わせた運用ができ、費用対効果も見えやすいことが特徴です。

サイト、アプリへの掲載

口コミサイトやアプリへの掲載も、インバウンドプロモーションとして効果的な宣伝方法です。中でも口コミサイトとしておすすめなのが「トリップアドバイザー」と「SAVOR JAPAN」です。トリップアドバイザーは世界最大級の旅行者向け口コミサイトであり、登録から掲載まで無料で利用できます。アプリに表示される店舗情報を簡単に管理できるため、常に最新の情報を公開することができ、写真などを用いたブランドイメージの共有も可能です。SAVOR JAPANは国内最大級の訪日外国人向けグルメサイトです。4ヶ国語(英語・中国語・台湾語・韓国語)に対応しており、専属オペレーターを仲介しての予約も可能なため、店舗の魅力を最大限に伝えながら、店舗と訪日外国人双方のニーズを満たしたサービスを提供しています。

<オフライン施策>

サンプリング

サンプリングはタイムリーな宣伝に向いており、即効性があるため集客までの効果が早いのが特徴です。上記で紹介したオンライン施策とは異なり、配ったサンプルが手元に残るため、十分な情報収集ができていない訪日外国人に対して大きな効果が期待されます。

実演・店頭販売

文化の違う国での飲食は、何かと不便なことも多く、少しの不安やためらいが入店を妨げてしまう要因となる場合があります。訪日外国人の日本食への疑問や不安を直接解決でき、興味を高めるためにも、実演・店頭販売は効果的なプロモーション方法の1つと言えます。また、最近は消費動向も大きく変化しており、モノ(商品)による消費価値よりも、コト(体験・経験)への消費価値を重視する訪日外国人が多くなっています。従来のように、ただ飲食物を提供するのではなく、実演販売のような、体験による付加価値をつけての提供が訪日外国人の満足度を高め、リピートにもつながるでしょう。

まとめ

飲食店にけるインバウンド対策の重要性を解説しました。最後に、この記事の内容をまとめてみます。

①円安やビザの緩和により、インバウンドは急速に増えている
②訪日外国人の飲食店への悩みは多く、対策が欠かせない
③メニューの工夫やWi-Fi設定など、対策は簡単
④売り上げ拡大にはインバウンドプロモーションが効果的

今後さらに増えると予想される訪日外国人。飲食店においては、事前の対策とプロモーションが、店舗の売り上げ拡大につながります。まずは簡単に始められるメニューの工夫や、SNSを活用したプロモーション活動を行なってみてはいかがでしょうか。