「雇用調整助成金」特例措置が2020年末まで延長。対象者・申請方法は?

新型コロナウイルスの感染拡大により、経営が立ち行かなくなった事業者は数多くいます。苦肉の策で休業に踏み切った会社やお店も多数あることと思いますが、社員やスタッフの休業補償に充てる「雇用調整助成金」の特例措置を、2020年末まで延長することが決定しました。今回の期間延長により、果たして事業者に対してどのようなメリットがあるのでしょうか?

従業員の休業手当の一部に充てる「雇用調整助成金」

雇用調整助成金とは、事業活動の縮小を余儀なくされた事業者に対して、従業員の雇用維持を図るために従業者に支払う休業手当の一部を助成する制度です。

今回の新型コロナウイルスの感染拡大から、2020年4月1日から9月30日までをコロナ禍における「緊急対応期間」と定めていましたが、新型コロナウイルスがいまだ終息する気配がないことから、「特例措置」として緊急対応期間を12月末まで延長することが決定しました。同時に、助成率と助成金上限額が引き上げられることになりました。

助成の対象となる事業者・労働者は?

今回の雇用調整助成金の特例措置では、以下の条件を満たす、すべての業種の事業者を対象としています。

・新型コロナウイルスの影響により、経営環境が悪化し事業活動が縮小している
・直近1か月間の売上高または生産量などが前年同月比5%以上減少している
・労使間の協定に基づき休業などを実施し、休業手当を支払っている

売上げまたは生産量の前年との比較対象は「5%以上」とされていますが、“柔軟な取り扱い”とする措置があります。

一方、助成金が支払われる労働者についてですが、事業主に雇用された雇用保険被保険者に対する休業手当などが、雇用調整助成金の対象範囲となります。従来の雇用調整助成金は「正社員」が支給対象となりますが、緊急対応期間中は雇用保険に加入していないパートやアルバイトにも「緊急雇用安定助成金」の名目で支給されることとなっています。申請方法は後述しますが、雇用調整助成金と同様におこなうことが可能です。

特例措置による助成率の算出方法について

特例措置により雇用調整助成金の上限額は1人1日1万5,000円となります。助成率については会社の規模や人員整理の有無など諸条件によって異なります。新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者に対しては、大企業で2/3、中小企業(※)で4/5。同時に従業員を解雇していないなどの条件を満たしている場合は、大企業で3/4、中小企業で10/10となっています。

助成額の算出方法は

(平均賃金額×休業手当などの支払率)×上記の助成率

となっており、会社の規模が小さく、かつ従業員の雇用を守った企業に対する措置が手厚くなっています。

支給限度日数は原則として1年間で100日分、3年で150日分ですが、緊急対応期間中に実施した休業などは、この支給限度日数とは別に支給を受けることができます。

※中小企業:以下に該当する企業を指します

・小売業(飲食店を含む): 資本金5,000 万円以下 または従業員 50 人以下

・サービス業: 資本金5,000 万円以下 または従業員 100 人以下

・卸売業: 資本金1億円以下 または従業員 100 人以下

・その他の業種: 資本金3億円以下 または従業員 300 人以下

申請から支給までの流れ

雇用調整助成金の申請は、厚生労働省のホームページから申請書類をダウンロードして必要事項を記入します。その後、事業所のある都道府県の労務局または職業安定所(ハローワーク)の窓口へ書類を提出(郵送可)します。また、さらなる簡素化が図られ、現在ではオンライン申請も可能になりました。

通常は、休業申請時に労働局へ「計画届」という書類を提出する必要があります。緊急対応期間中は、事業者の事務処理負担を軽減する目的から、計画届の事後提出(休業期間中の提出)が認められていましたが、特例措置によって提出自体が不要となりました。

申請書類が無事受理されると、後日指定の銀行口座に振り込まれます。また、特例措置により支給金額が引き上げられましたが、特例措置以前の4月1日(緊急対応期間開始日)以降に雇用調整助成金を申請した事業者に対しても、「追加支給」として特例措置と同様の助成金が支払わます。この場合でも、特に事業者側に追加の書類提出などは求められません。

各事業者が安心して補償を受けられるために

雇用調整助成金の大幅な緩和によって、わずらわしい書類作成の手間が省けるなど、より迅速に補償が受けられるようになりました。それでも、数十人から百人単位で従業員を抱えている中小企業にとって、一人ひとりの勤怠管理は大変な作業です。

また、書類の簡略化によって助成金の不正受給が出てくるといった問題も予想されます。困ったときは社会保険労務士などの専門家に相談しながら、公正かつ円滑に補償を受けられるよう努めてみてください。

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