monstar.ch

ワールドカップなど大きなスポーツイベントで、「店舗で中継を放映することで集客したい」と考えたことはありませんか?

最近では大型スクリーンでスポーツ観戦をするお客様に対し、食事や飲み物を提供するスポーツバーも増加していますが、実はテレビ放送を不特定多数の方が出入りする店舗において流すのは、場合によって著作権の侵害となる可能性があります。

さらに、店舗の雰囲気に合った映画をDVDで流すことも著作権の侵害にあたります。このような形で著作権を侵害していたことを、著作権管理団体からの警告が届いて初めて知った……ということも珍しいものではありません。

今回は店舗で流す映像と著作権の関係について、ケース別に解説します。


従来の有線放送に比べてコスパが高い店舗BGMアプリ モンスター・チャンネル

これって著作権侵害? ケース別、店舗で流す映像の注意点

「著作権」とは映画やテレビ番組を録画する権利である「複製権」、著作物を不特定多数の人に見せる権利である「上映権」などといった複数の権利の総称です。

店舗においてテレビ放映、DVD上映などさまざまな形で映像を流しているケースが見られますが、こういった行為が著作権のいずれかを侵害している可能性は決して無いと言えません。では、それぞれにどのような問題があるのか、流したい場合はどのように許可を得るべきなのかを見ていきましょう。

ケース1:テレビを放映する。

規模を問わず、テレビを設置している店舗は多くあります。テレビそのものを目的に来店するお客様は多くないかもしれませんが、放映されていればついつい観てしまうものです。

店舗に一般家庭にあるようなテレビを設置する場合、放送されている番組をリアルタイムでそのまま流すことは著作権侵害にあたりません。

放送され、又は有線放送される著作物(放送される著作物が自動公衆送信される場合の当該著作物を含む。)は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、受信装置を用いて公に伝達することができる。通常の家庭用受信装置を用いてする場合も、同様とする。
(著作権法38条3項)

テレビの鑑賞料を直接お客様から徴収しなければ、店舗でも問題なくテレビを放映できます。

ケース2:DVDを上映する

店舗でもテレビの放映ができることは解説しましたが、あくまでもこれはリアルタイムで放送されているものに限ります。何かしらの番組を録画したDVDなどを流すと複製権の侵害にあたります。

普段、私たちが番組を録画して観るのは「私的利用のための複製」となるため問題となりませんが、店舗など不特定多数の人が出入りする場で流すのは私的利用の範囲を大きく超えているためNGとなります。

また、販売されているDVDを無断で上映するのも上映権の侵害となります。「DVDを買ったのだから、どこで上映しても問題ないのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、DVDを購入しても上映をする権利を得たわけではありません。

DVDを店舗で流すためには権利処理をされた「業務用DVD」を使用しましょう。業務用DVDは作品の著作権の処理が適切に行われているため、店舗などでも問題なく流すことができます。

ケース3:パブリックビューイング

大きなスポーツの試合のテレビ中継がある日、「みんなで日本代表を応援しましょう!当店なら大きなスクリーンで鑑賞できます!」と宣伝する店舗が目立ちます。しかしこれは著作権法上、問題になる可能性があります。

実際にワールドカップの南アフリカ大会が開催された時、山梨県のホテルが300インチの大型モニターでパブリックビューイングを行おうとしたことが問題となりました。

スポーツの中継は著作権法上の「映画の著作物」に該当すると考えられており、ワールドカップの映像はFIFAが著作権を有しています。そのため、許諾を得ていなかった山梨のホテルは、FIFAからパブリックビューイングの中止を求められました。

この事例において、問題となった点は2つあります。1つ目は300インチという大きなスクリーンでパブリックビューイングを行おうとした点です。

先述の通り、店舗でも一般家庭にあるようなテレビであれば放映は可能です。最近では家庭用テレビにも大型のものやホームシアター設備があるため、このような機材を使うことは特に問題ありません。しかし、家庭用ではない大きなスクリーンを使って放映することは問題となるのです。

2つ目は営利目的だった点です。スポーツの出場選手の母校などで、中継を大きなスクリーンで観戦する様子が見られますが、こちらは「非営利」だからできることです。中継を見るために料金を徴収したり、観戦する人に対して飲食物などの販売をすることは「営利目的」とされます。このホテルは2,500円の飲み放題プランをもとに集客を見込んでいた点が問題になりました。

もしも店舗でパブリックビューイングを行いたい場合は、権利を所有している会社や団体の窓口に問い合わせるのが確実です。

ルールを踏まえたうえで、映像を流そう。

雰囲気作りのためにDVDを上映したり、集客のためにパブリックビューイングを行っている店舗は沢山あります。しかし、その行為が実は著作権法違反の可能性がある、ということを解説してきました。

知らなかったでは済まされないルール違反でペナルティを受ける前に、正しい知識を持って店舗で映像を活用していきまそう

monstar.ch
著者情報
magazine 編集部

magazine 編集部

店舗BGMアプリ「モンスター・チャンネル」が運営する店舗運営情報magazineの編集責任者。