「新しい顧客を獲得したい」
「今よりもっと居心地の良い空間を作ってリピーターを増やしたい」
このような思いを抱き、集客効果を上げるきっかけとして、店舗の改装やリフォームを検討した経験がある方も多いのではないでしょうか。
とはいえ、大規模な店舗の改装は金銭的負担が大きく、リスクを考えると不安になるものです。
そんな不安を解消できるよう、店舗改装について詳しく解説していきます。
店舗改装のメリットやかかる期間・費用はもちろん、知っておきたい補助金制度についてもみていきましょう。
店舗改装を行うメリットとは?
お客様にとって居心地が良く、通いたくなる空間になる
店舗改装では、老朽化していた設備の刷新が可能です。清潔感を保ち、お客様にとって居心地の良い空間づくりができるでしょう。
また、客層にあったコンセプトにするため、あらかじめ顧客のイメージをしっかり持つことが重要です。
例えば、高齢者の集客を狙いたい場合はバリアフリーにする、若者の話題となる店にしたい場合は外装・内装のデザインを流行に合わせたものにするなどの工夫ができます。
「入ってみたい」と思うお客様が増え、「また行ってみようかな」と一度離れたお客様を呼び戻すきっかけにもなるでしょう。
スタッフの満足度向上
古くなっていた設備の刷新や動線、スペースの見直しは、スタッフのストレスを軽減し、作業効率の向上につながります。また、店舗全体の雰囲気を変更するとスタッフも気持ちを入れ替えることができ、高いモチベーションで働けるでしょう。スタッフにとって満足度の高い店舗はお客様にも好印象です。
店舗改装をする上で必要な費用と期間
店舗改装をする前に、必要となる費用や期間についても把握しておきましょう。店舗改装で必要な費用は下記のようなものがあります。
・内装工事費
・インテリア購入費
・電気・ガス・水道工事費
・DIY工具代、など
店舗改装にあたって、必要な費用の内訳は上記のようなもの。改装の内容によってかかる費用はピンキリですが、水回りの設備を整えたり、特別な機器を購入したりしない場合、費用は比較的安く抑えられます。
また、店舗改装で重要になるのが工事にかかる期間です。店舗の規模や周辺の環境にも左右されますが、一般的には1か月〜2か月ほどで工事が完了します。
ただし、デザインにこだわるとさらに工期が延びることもあります。しっかりと完成時のイメージを持ち、長期間の工事を想定した計画を立てましょう。
店舗改装を行う上で大切なのは、予算内でできる店舗改装を考えていくこと。ついあれもこれもと欲張ってしまうと、あっという間に予算オーバーになってしまうので注意しましょう。
店舗改装をする上で知っておきたい補助金制度
小規模の店舗の場合、大手チェーン店に比べて経営が不安定だと判断され、銀行やローン会社からお金を借り入れることができない場合が多いのも事実。
店舗改装となると金銭的な負担は大きいため、少しでも抑えたいのではないでしょうか。
そんな時には、団体や政府が制定している補助金制度の活用を考えてみましょう。
以下でどういった制度があるのか解説していきます。
・小規模事業者持続化補助金
・従業員数が規定内であること(例:サービス業の場合は従業員数が5人以下)
・「経営計画書」「補助事業計画書」の提出が必要
「小規模事業者持続化補助金」は全国商工会連合会が運営している、小規模経営をしている事業主を応援するための助成金制度です。対象の事業主は、店舗の改装工事や宣伝をおこなうための広告費に経費を当てることができます。
・業務改善補助金
※ただし、会社の規模が30人を超える場合は、経費の1/2を支給・業務改善のための計画書を作成すること
・800円/時給未満の労働者に対して60円以上賃金を引き上げること
・業務改善のため、業務の内容や就業規則に対する意見を労働者から聞くこと
・役員以外に正社員を雇用していること
業務改善補助金制度は、賃金水準の底上げを支援する目的で厚生労働省により制定されました。従業員の時間給を上げるなど一定の条件を満たせば、店舗改装費に使える補助金を得ることができます。
これらの補助金を受け取るためには、書類を作成し、申請する必要があります。「現在どんな店舗で、どういった商品を提供しているのか、なぜ補助金が必要なのか」といった書類作成は負担に思われるかもしれません。
しかし、小規模事業者持続化補助金の場合は、多くの店舗の経営計画を見てきた商工会連合会の方からアドバイスを受けることができます。経営のプロから集客のためのヒントをいろいろと教えてもらうことができるチャンスだと思って、書類を作成しましょう。
上記の制度の書類は、それぞれのホームページからダウンロードすることができます。これらの書類はただ提出するだけではなく、内容に不備がないか確認をしてもらわなければなりません。もし書類に不備があった場合、締め切り間近の提出では審査に間に合わない可能性があるので、早めの提出を心がけましょう。
工事必須の店舗改装はプロに任せる
水回りやガスなどの設備の修繕や内装・外装の大規模な変更など、工事が必要となる店舗改装を考えている場合はプロに工事を依頼しましょう。
日本には建築に関するさまざまな基準が定められた「建築基準法」という法律があります。
例えば、内装には、「燃えにくい素材」を建物の用途や規模に応じて使用すること、大幅な改装工事や模様替えを行なう場合は確認申請が必要とされています。
また、「電気」・「ガス」・「水道」の改装工事は、資格を持ったプロでなければ施工できません。これらの工事を自分で行うと、水道管が破れて水漏れが、漏電で火事が発生するといった事故に繋がる可能性もあります。
「せっかく改装工事をしたのに、建築基準法の面で問題になり、リニューアルオープンができない」なんてことがないよう、工事を伴う改装をする場合は、プロに任せてしまいましょう。
できることは自分で!DIYで改装できる部分
水回りやガスなど、既存の設備に対して特に困っておらず、大幅な改装も考えていないのなら、自分の力で魅力的なお店に改装してしまいましょう!
DIYでコストを抑えられれば、改装後の運転資金に回すことができます。
また、自分で理想のお店を完成させたという感動は、何ものにも代え難いものです。
DIYの経験がなかったとしても、以下のようなことであれば実行できます。
・壁や床の色を変える
・掃除をする
・飾りつけ、調度品を替える
・店舗BGMのジャンルを変える
家具の配置を見直して動線を変更するだけでも、お店の雰囲気は大きく変わります。壁や床の色を変えるためにペンキを塗る程度なら、DIY初心者でも簡単に行うことができるでしょう。もしペンキの色むらが気になる場合は、貼り付けるだけの壁紙シールやクッションフロアというシート状の床材を使えば、一気に違う雰囲気に仕上げられます。
また、普段は何気なく流している音楽も、重要なインテリアの要素です。改装したお店の雰囲気に合わせて変えてみましょう。最近の店舗用のBGMは、プロが選曲するサービスもあるので、いろいろなジャンルの音楽を手軽に取り入れることができますよ。
OMISE Labでは、以前「経験ゼロからの開業日誌」という連載記事を掲載。初心者にも関わらずDIYでゼロからお店をオープンしたデザイナーの大谷秀映さんに密着取材を行なっています。DIYで店舗改装を行なう際にも、きっと役に立つはずです。
店舗改装成功のため、自店舗の「強みと弱み」を把握しよう
ここまで店舗改装について詳しく解説してきました。
店舗改装を成功させるための第一歩は、自分のお店の“強みと弱み”をしっかり把握すること。
「なぜ集客に困っているのか」、「何を強みにしたら、集客を改善できるのか」……。こうした部分を考えていけば、今の店舗に足りないものが理解でき、どこを改装すればいいのかが見えてくるでしょう。
今一度、店舗の状態をメモ帳に書き出して、何を武器にして戦うか考えてみましょう。