飲食業で働くうえで、知っておくべき知識は数多くあります。提供するメニューのクオリティ、サービス、清潔さを表す“QSC”もそのひとつ。
このQSCは、飲食店において特に大切な行動指針。末長く愛される店舗を作るためには、なおのこと疎かにできません。
今回はそんな、飲食業での基本中の基本、QSCをご紹介します。以前より知っていた方はおさらいを、初めて知る人はこれを機にしっかり押さえておきましょう。
QSCってどういうもの?
あらためてQSCとは、Quality(クオリティ)、Service(サービス)、Cleanliness(クレンリネス)のこと。これら3つの要素が高ければ高いほど、お客様が持つ店舗の印象は良く、それに伴い運営状態も向上します。逆にどれかひとつでも欠けてしまったり、全体のレベルが低ければ、店舗は成立しません。
「Q」=クオリティー、品質
飲食店における品質としては、提供するメニューのこと。高いクオリティのメニューが提供されなければ、お客様もリピーターになることはまずないでしょう。
メニューのクオリティを左右する要素は、味付け、盛り付け方やボリューム、メニューの温度。メニューの盛りつけ方が雑だったり、温かいはずのスープが冷め切った状態で提供されたりすれば、どんなに美味しいメニューであったとしても印象はよくありません。新メニューを提供する際は、オーダーをしてから実際に口にするまでの時間やクオリティを、シミュレーションで確認するのも忘れずに。
「S」=サービス、接客
飲食店はもちろん、接客業ではサービス面の徹底も必要不可欠。スタッフに笑顔や挨拶がなく、無愛想な態度で対応されたお客様が、「もう行きたくない」と思うことは当然です。
また、どんなに呼んでもスタッフが来ない、オーダーをしてからメニューがなかなか来ない、お客様から見えている場所でスタッフを叱責する、室温が適切ではない、臭いが気になる……なんてことも、サービスや接客面を著しく悪化させています。店内はお客様が気持ち良く食事できる環境なのか、今一度お客様の立場に立って振り返ってみましょう。
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「C」=クリーンネス
店舗の清掃と聞くと、「うちの店は綺麗だから!」と自信のある方もいるはず。しかし、汚れやゴミだけを片付けれていればいいわけでもありません。スタッフがユニフォームをだらしなく着ていたり、髪をまとめていなかったりすれば、「あんな人たちが働いているなんて……」とお客様は不安に思います。
店内だけでなく、スタッフもお客様の目に触れる要素のひとつ。清潔感のあるスタッフかどうか、定期的にチェックするのも良いでしょう。
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▼ V(価値)、A(雰囲気)にも気をつける
QSCに加え、最近ではV(Value/価値)、A(Atomosphere/雰囲気)という考え方も生まれています。お客様にとって、雰囲気はお店選びの重要なポイント。QSCが良くなることで店舗全体の雰囲気も向上するだけでなく、店舗そのものの価値は高くなります。まずはQSCを徹底し、その上にある価値、雰囲気の要素をも獲得することを目指しましょう。
QSCを実現するために大切なこと
では、「QSC」の3軸を実現するためにはどのようなことが求められているのでしょうか。
・毎日振り返りをする
お客様からクレームが来た際は、その原因を確認し、スタッフ間でも共有。クレームの再発を防ぎましょう。また、スタッフが気づいた課題があれば、解決に向けて考える時間が必要です。
・目標を高くかかげすぎない
飲食店でサービスを行うのは、結局は店舗スタッフである“人”。
QSCの目標を高く掲げすぎて、対価が見合わない無理難題をスタッフに押し付けるようなことがあってはなりません。
ミシュランレストランほどのサービスを従業員に求めるにも関わらず、見合った賃金を払えず、時給は最低賃金。長時間の残業や休みなしは当たり前……そんなことでは、従業員の満足度が下がってしまい、結局は行き届いたサービスを届けることが不可能になってしまいます。
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QSCを徹底し、より良い店舗を作ろう。
飲食店にとって、「品質・接客・清潔さ」はどれも外すことの出来ない大切な考え方。どんなに美味しいメニューがあっても、不誠実な接客をされたり、店内が不潔であればリピーターは見込めません。それどころか、「あの店は行かないほうがいい」とマイナスイメージが広まっていくことも考えられます。
だからこそ『QSC』を意識し、より良いお店づくりをしていきましょう。