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これからお店を始めようとしている人も、すでにお店を経営している人も、共通の課題といえば「いかに売上を伸ばすか」ということでしょう。売上を伸ばしていかなければ、事業の成長は見込めません。

経営する店舗の売上を増やすには、お客様の客単価を上げる必要があります。今回は、これから経営者になる人が知っておきたい客単価の計算方法に加え、客単価を上げるための施策をご紹介します。
 


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客単価の計算方法

売上と客単価の関係を計算式で表すと、以下のようになります。

売上=客数×客単価

この基本式の「客数」の部分を①新規客、②既存客、③リピート率、④クチコミ・紹介、の4つに分解すると、以下のような式に。


(河野祐治『これだけは知っておきたい儲かる飲食店の数字』(日本実業出版社)p.86の式をもとに作成)

売上を上げるためには、まず②既存客の流出防止策を考えましょう。既存客はもっとも重要なお客様なので、大切にしたいものです。「既存客の来店頻度を高めるにはどうするか」については、③リピート率のアップが検討課題となります。

客単価については、⑤注文個数と⑥メニューの平均単価、に分解できます。⑤はお客様のオーダー数(皿数)のこと。⑥は文字通り、お客様が注文するメニューの平均単価です。

売上アップのためには、上記①~⑥のいずれかをアップさせる必要があるということがわかります。特に、客単価を上げるには⑤注文個数と⑥メニューの平均単価を上げることが重要なのです。

では、どうやるのか?客単価アップ施策


客単価の構造がわかったところで、次はいかにして客単価をアップさせるかを考えていきましょう。

・注文個数を増やすには“お客様にもメリットを感じてもらうこと”

お客様の注文数を増やすためには、「どうすればもう一品(いちサービス)注文してもらえるか」を考える必要があります。飲食店であれば、ハンバーガーチェーン店のセットメニューなどはその良い例でしょう。購入した商品やサービスと関連するものを併せて購入してもらう手法のことを「クロスセル」と言います。また、ピザの注文の際に「○名様であればMサイズよりもLサイズのほうがお得です」と言われることもあると思いますが、これもクロスセルのひとつと言えます。

クロスセルで重要なのは、店舗側のメリットになるだけではなく、お客様にとってもメリットとなることです。ピザの例で言えば、お客様はお得にサイズアップできますし、お店側は客単価を上げることができます。お互いの利益になるメニューを考えることが、客単価アップのポイントです。

・メニューの平均単価を上げるには“付加価値を感じさせること”

注文個数を増やすことには限界があります。そこで、次に考えるのが、メニューの平均単価を上げることです。付加価値の高いメニューを開発したり、「名物メニュー」を導入したりすることが必要になってきます。

美容院であれば、一般的なスタイリストではなく、トップスタイリストを指名できるメニューを用意することによって客単価を上げることができます。このように、今までの商品よりも上位モデル(サービス)に乗り換えてもらうことを「アップセル」と言います。

スミノフに学ぶ「顧客ロイヤルティ」と値上げの関係

ウォッカ「スミノフ」は顧客ロイヤリティが高いことで知られています。顧客ロイヤリティとは、「お客様との絆」という意味。①潜在客→②見込み客→③新規顧客→④リピーター→⑤贔屓客→⑥ブランド信者、の順で絆が強くなっていきます。つまり、スミノフはこの顧客ロイヤルティが高く、ブランド信者(ファン)の多いウォッカとしての地位を確立しています。

顧客ロイヤルティが低いお客様は価格のみで購入を検討することが多く、値上げをするとその商品を買わなくなってしまいます。しかし、顧客ロイヤルティが高いお客様は価格だけで商品を選ぶことはせず、値上げをしても引き続き購入してくれるのです。

顧客ロイヤルティを高めるには、“消費者の共感”を呼び起こす必要があります。Apple製品のように、その商品を持っている(消費する)ことが「クール」であるようなブランディングができれば理想。とはいえ、そこまでのブランディングを確立するには時間もかかります。Appleまではいかなくとも、「こういう時ならコレ」という風に自社商品(サービス)を想起されるところまでブランドを育てていけるといいでしょう。

「高いけれど最高に美味しいプリン」を売る戦略

たとえば、目の前に150円のプリンと500円のプリンがあるとします。150円のプリンは一般的に「安い」というイメージを持ちます。どれほど原材料にこだわり、丁寧にプリンを作っても「安い」イメージからは離れることはできません。

しかし、これを「プリン史上最高に美味しいプリン」と銘打って500円で販売したらどうでしょうか? 同じプリンでも、150円という価格設定で販売すると、顧客は「150円にしては美味しい」という商品を買うことになります。

一方、500円という高めの価格設定にすると、顧客は「最高に美味しいプリンを食べる」という「体験」を買うことになるのです。この「最高に美味しいプリンを食べる」という経験は得難いものであるため、このプリンはブランディングに成功しているといえます。

「最高級の卵や黒蜜を使っていること」「店長が自ら農家と契約して食材を調達していること」「時間をかけて1つずつ丁寧に作っていること」など、プリン作りにおいてこだわっている部分を訴求します。こうした美味しい理由を顧客に伝えることを「ブランドストーリー」といいます。

このブランドストーリーに共感し、500円という高いプリンを求めて殺到している顧客は、上で述べた顧客ロイヤルティの高い顧客です。150円のプリンを薄利多売するよりも、500円のプリンを一定数販売したほうが売り上げも伸び、経営も安定するでしょう。

商品にサービスを付与する

商品をただ売るだけではなく、サービスを付与するという方法もあります。上の例でいえば、プリンを販売するだけではなく、プリンを購入した人限定で店舗内での「プリン教室」を開催するのはいかがでしょうか?

自分の店舗を使えば場所代も掛かりませんし、食材のコストも最小限に抑えることができます。自分の販売するプリンを知ってもらえるだけでなく、実際に食べてもらうことでファンを増やすことが可能です。「プリン史上最高に美味しいプリン」というブランドが構築されていれば、さらに売上も伸びることでしょう。

このように、単に商品を売るだけではなく、サービスを提供できるようになれば、客単価を上げることが可能です。お客様が常に「何を求めているのか」を考えるようにすると、客単価アップのための施策のアイデアが浮かんでくるはずです。

客単価をアップして、お店を成長させよう!

客単価を上げていかなければ、お店は成長していきません。それどころか、赤字が拡大してしまってお店が潰れてしまう……ということも起こりかねません。

上でまとめているように、客単価を上げるには、「注文個数を増やす」か「メニューの平均単価を上げる」かの2通りしかないのです。「今自分の店舗ではどちらが検討しやすいか」を考え、戦略を立てていきましょう。

【参考文献】
・河野祐治『これだけは知っておきたい儲かる飲食店の数字』(日本実業出版社)
・永井孝尚『なんで、その価格で売れちゃうの? 行動経済学でわかる「値づけの科学」』(PHP新書)

 


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magazine 編集部

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店舗BGMアプリ「モンスター・チャンネル」が運営する店舗運営情報magazineの編集責任者。