お店を経営している人にとって、悩みの種となるのは「賃料」でしょう。特に、人気のエリアに出店している場合、高い賃料が経営を圧迫してしまい移転を余儀なくされる場合もあります。
ですが、もしその賃料分の固定費を別な形で稼ぐことができたらどうでしょうか? 例えば飲食店であれば、ランチタイムやディナータイム以外の時間を「貸会議室」として貸し出し、副収入を得ることができれば……経営も安定するでしょう。
今回は、実際に個人経営の店舗のスペースでも貸会議室・レンタルスペースとして貸し出せるサービス「スペイシー」を運営している、株式会社スペイシー代表取締役の内田圭祐氏にインタビューしました。自店の遊休スペースの活用法を探っていきましょう。
遊休スペースを貸し出すことができる「スペイシー」とは?
(会議室の一例。飲食店のスペースも貸し出すことができる)
――まずはスペイシーのサービスについて教えてください。
内田圭祐氏(以下・内田氏):スペイシーは、会議室やコワーキングスペースなどのスペースを借りたい人(ビジネスパーソンなど)と、貸したい人(店舗経営者など)をマッチングするサービスです。借り手側が格安な値段で会議室等を借りることができる一方、貸し手側は遊休スペースを有効活用できます。スペイシーが網羅しているエリアは全国の主要都市ですが、なかでも物件が多いのは山手線の内側のエリアです。山手線の駅であれば、およそ1駅に3~4つ貸しスペースが登録されています。
貸し出す際の審査ですが、そこまで厳しくはありません。電源がなくてもOKで、最低限机といすがあればスペースを貸し出すことができます。
万が一借り手がモノを壊してしまっても、1回につき1000万円の対物賠償保険に入っていますので、故意でなければ基本的には保険でカバー。利用者がケガをしても1億円まで補償しますので、貸し手側のリスクは極力排除されています。
――スペイシーはまさに借り手・貸し手にWin-Winなサービスと言えますが、そもそもスペイシーが生まれたきっかけは何だったのでしょうか?
内田氏:私たちは当初、オフィス版「Airbnb」と言えるLiquidSpaceのようなものを日本でやろうと考えていました。そこで、私たちのオフィス自体を定時後の2~3時間と休日の間、ほかの人に貸し出してみることに。
当時借りていたオフィスは家賃13万円でしたが、スペースを貸し出すことでなんと初月で家賃分を稼ぐことができたんです。これは不動産の力だと思いました。そこにスペースがあるだけで稼げるのですから。これをサービスにして店舗経営者の方にうまく利用していただければ、固定費を実質的に削減していくことができるのではないか。そう考えてスペイシーを始めました。
――実際にスペースを貸し出す時間帯は、休憩時間など店主がいない時が多いと思いますが、貸し出す際には店主がその場にいなければならないのでしょうか?
内田氏:その必要はありません。『ワークスペイシー』というアプリをタブレットにダウンロードしていただき、それを貸したいスペースの入り口などに置けばOK。このアプリを使えば、借り手自身は来店して顔認証かQRコードでチェックインするだけでスペースを利用できるようになるんです。
どのような貸し手が、どのくらいの価格設定をしているのか
(会議室は打ち合わせや商談のほか、「人狼」をするために借りられることもあるという)
――スペイシーに貸スペースを載せているのはどのような店舗でしょうか? また、どのような使い方をされているのでしょうか?
内田氏:上場企業様も2~3社登録していただいていますが、多くは個人店舗や中小零細企業です。建物のオーナーだけではなく、借主も貸会議室としてスペイシーに登録しています。
使われ方としては、やはり日中は商談や研修、採用面談などに利用されています。一方、18時~19時以降や土日はレッスン、習い事などで使う人が多いです。意外なところでは、「人狼」をしている人もいます。このように用途などもデータ収集しているので、もしかすると最近のトレンド分析などにも使えるかもしれません。
――どのくらいの価格設定をしているものなのでしょうか?
内田氏:スペイシーの貸し出すパターンには2種類ありまして、1つはコワーキングスペースを貸し出す場合、もう1つは店舗内のスペースを貸し出す場合です。例えば某居酒屋では、ランチを除く11時~17時の時間帯に1時間100円で店内のスペースを貸し出しています。個室の場合は1時間500円~1000円くらいの間で貸し出しているようです。
従来、貸会議室の価格は1時間5000円程度が相場で、予約自体も面倒でした。そのため、多くのビジネスパーソンは貸会議室を使わず、カフェで済ませていました。しかし、カフェだと機密情報などの漏洩があるので、あまり適切とは言えません。スペイシーを作ったことで、ユーザーはホテル予約サイトのように同時間帯での会議室の料金を比較できるようになり、貸会議室の料金が適正価格に近付きました。結果として多くのビジネスパーソンが貸会議室を使い始めています。
スペイシーが目指す将来とは
(クラウド型のセキュリティカメラの提供も行っており、貸し手はスマホやタブレットなどで遠隔にて貸したスペースを監視できる)
――貸会議室業界に一石を投じたスペイシーですが、今後はどのような施策を行っていくのでしょうか?
内田氏:例えばIoTと組んで、店舗の使っていない席が「あと何席あるか」を可視化できるようになると、利用者の利便性はさらに高まると思います。スペイシーのサービス自体、スマホやタブレットの急速な発達によって成長してきた面もありますので、ICT・IoTとの連携は必須です。
あとは、貸し手の「壁」であるセキュリティ問題を打ち破ることが目標ですね。これまで、貸会議室というのは「不特定多数の人間」が建物の中に入ってくるため、物件のオーナーさんからはあまり好まれていませんでした。そこで私たちはセキュリティカメラの提供を始めたんです。結果、クラウド型の防犯カメラを入れて、オーナーさんが店にいなくても、店内の状況をいつでもどこでもスマホやタブレットなどで確認できるようになりました。今後は、例えばビルの入り口にゲートを作って、そこで顔認証を行うようにすれば、不動産のオーナーさんの不安もさらに解消できることでしょう。
シェアリングエコノミーで本業以外でも稼げる手段が生まれる
これまで、店舗経営者は本業で稼ぐしか方法はありませんでした。そのため、いかに売上を上げるか、もしくはいかにコストを削減するかというのが課題となっていました。しかしスペイシーの登場で、余ったスペースを貸し出せるようになり、本業以外でも稼げる方法が生まれたのです。
このように、シェアリングエコノミーは、店舗経営者に「新しい稼ぎ方」を与えてくれます。興味のある方は、ぜひOMISE Labの過去記事などを参考にしつつ、サービスを探してみてはいかがでしょうか?