新型コロナウイルスの影響から経営難に直面している事業主は大勢いますが、特に経済的負担となっているのが、家賃(テナント料)ではないでしょうか? 営業を停止した場合、人件費や光熱費、材料費を一時的に抑えることは可能ですが、借りている物件の賃料は回避できません。
そのような厳しい状況の中、事業の継続にかかる負担を軽減できる「家賃支援給付金」が始まりました。
家賃支援給付金とは?
家賃支援給付金とは、新型コロナウイルスの感染拡大により発令された緊急事態宣言で、売上げの大きな減少を受けた事業主の負担を軽減するために、地代・家賃(テナント料)に充てるための給付金を支給する措置のことです。
中小企業庁による取り組みで、2020年7月14日に開始されました。給付額は、申請日から遡ること1か月以内に支払った賃料をもとに算定され、法人の場合は最大600万円、個人事業主場合は最大300万円の給付金が支給されます。
またさらなる救済措置として、同年8月28日より、「2020年1~3月に創業・新規開業された方」と「前事業者の死亡により2020年4月2日以降に事業承継された方」についても同様の申請が可能となりました。
給付対象と給付額について
家賃支援給付金の対象となる方について、法人については、資本金10億円未満の中堅企業、中小企業、小規模事業者が対象で、その他医療法人、農業法人、NPO法人、社会福祉法人など会社以外の法人も対象となります。個人については、商店や飲食店などの個人経営者のほか、フリーランスで働く人も対象となります。
法人の場合、上記のとおり最大600万円(月額給付額上限100万円×6倍)が一括で支払われます。一度申請をして受給された場合、再度事業継続が困難になったとしても再申請することは不可能です。
支給の対象となる条件については、以下のすべてを満たす必要があります。なお、性風俗業や政治結社、宗教団体の活動については支給の対象外となります。
1.2020年4月1日時点で、次のいずれかにあてはまる法人であること
・資本金の額または出資の総額が10億円未満であること
・資本金の額または出資の総額が定められていない場合は、 常時使用する従業員数が2,000人以下であること2.2019年12月31日以前から事業収入を得ており、今後も事業を継続する意思があること
3.2020年5月から2020年12月までの間で、新型コロナウイルス感染症の影響により以下のいずれかに当てはまること
・いずれか1か月の売上げが前年の同じ月と比較して50%以上減っている
・連続する3か月の売上げの合計が前年の同じ期間の売上の合計と比較して30%以上減っている4.他人の土地・建物を自身で営む事業のために直接占有し、使用・収益をしていることの対価として、賃料の支払いを行っていること
個人事業主またはフリーランスについては、最大300万円(月額給付額上限50万円×6倍)が一括で支払われます。法人と同様、一度受給された人は、いかなる理由でも再申請することはできません。給付の条件は以下すべてに当てはまることです。
1.2019年12月31日以前から事業収入を得ており、今後も事業を継続する意思があること
2.2020年5月から2020年12月までの間 で、 新型コロナウイルス感染症の影響により以下のいずれかにあてはまること
・いずれか1か月の売上げが前年の同じ月と比較して50%以上減っている
・連続する3か月の売上げの合計が前年の同じ期間の売上の合計と比較して30%以上減っている3.他人の土地・建物を自身で営む事業のために直接占有し、使用・収益をしていることの対価として、賃料の支払いを行っていること
より詳しく算定方法を知りたい場合は以下をご参照ください
https://yachin-shien.go.jp/overview/benefits/index.html
家賃支援給付金の申請フローと注意点
続いて、家賃支援給付金の申請方法になります。家賃支援給付金のポータルサイトにアクセスし、必要書類(詳しくは後述)をダウンロードします。
これら書類一式をプリントアウトし、必要事項を記入した後スキャンしてデータ化します。データはPDFやJpegなどのフォーマットで保存します。
必要書類に違いはあるものの、法人の場合も個人の場合も申請の流れはほぼ同じです。なお、申請の締め切りは2021年1月15日までとなっています。
家賃支援給付金のポータルサイトにアクセスし、「申請する」を押す
↓
メールアドレスなどの情報を入力
↓
自身のメールアドレスに確認用のメールアドレスが届いているのを確認する
↓
届いたメールの案内に沿って、手続き用のログインID、パスワードなどを設定
↓
マイページから、データ化した必要書類をアップロードして手続き完了
また、インターネット上での手続きに不安を抱える人向けに、全国各地の特設会場で補助員の手助けを受けながら申請する方法もあります。ポータルサイト上で日時を予約し、あらかじめプリントアウトした必要書類を用意しておきます。
現在、新型コロナウイルス感染予防の目的から、入場者数の制限やマスクの着用義務など諸条件があるため、会場の場所を調べると同時に注意事項も確認するようにしてください。
申請サポート会場について
https://yachin-shien.go.jp/support/index.html
申請に必要な書類について
家賃支援給付金の申請に必要な書類は以下の4点になります。
1.売上げ情報
2.賃貸借契約情報
3.口座情報(金融機関が発行する通帳のコピー)
4.誓約書
このうち1と2について、詳細は以下で確認するようにしてください。売上げ情報については、法人と個人とでは用意するものが若干異なります。
売上げ情報(法人の場合)
(1)売上げが減った月、期間の前年度売上げが属するすべての事業年度分の確定申告書別表一の控え(1枚)
(2)法人事業概況説明書の控え(両面)
(3)受信通知(e-Taxで確定申告を行った場合のみ)
(4)申請に用いる、売上げが減った期間の売上げ台帳など
売上げ情報(個人の場合)
(1)2019年分の確定申告書第一表の控え(1枚)
(2)月別売上げの記入のある2019年分の所得税青色申告決算書の控えがある人は、その控え
(3)受信通知(e-Taxで確定申告を行った場合のみ)
(4)申請に用いる、売上げが減った期間の売上げ台帳など
賃貸借契約情報
(1)賃貸借契約書の写し
(2)直前3か月間の賃料の支払い実積を証明する書類
なお、(2)については以下のいずれかを用意
・銀行通帳の表紙の写しおよび該当する振込がわかるよう対象箇所に印をつけた支払い実績がわかる部分の写し
・銀行取引明細書
・賃貸人からの領収書
・所定様式による、賃料を支払っている旨の証明書
「東京都家賃等支援給付金」もあわせてチェック
さらなる救済措置として、東京都は「東京都家賃等支援給付金」に新型コロナウイルス対策の補正予算440億円を計上しました。コロナ禍にあえぐ事業主に対し、政府による家賃支援給付金に上乗せして補助金が支払われことになります。
東京都家賃等支援給付金は、休業や時短営業の影響で1か月の売上げが前年同月比で50%以上減少した法人または個人事業主が対象となります。3か月分の給付金として、法人の場合は最大37万5,000円、個人の場合は最大18万7,500円が給付されます。
各事業主とも、営業努力だけでは損失を100%補填することは不可能です。国や事業所のある自治体の支援制度をうまく活用しながら、普段どおりの日常を取り戻せるよう努めてください。
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