【スタッフの離職を防げ!】従業員満足度アップのためのユニークな制度まとめ

せっかく採用したアルバイトやパートが、定着せずに離職してしまう……そんな課題が解消されないまま、「人手不足」はサービス業界の長年の頭痛のタネとなっています。

離職率の少ないお店はどこに力を注いでいるのでしょうか?サービス業で従業員満足度を高めるには?今回は、お店とスタッフの相思相愛の関係を生むための仕組み作りを事例とともに紹介します。

 

なぜ飲食業界は離職率が高いのか

そもそもなぜサービス業界はスタッフの離職率が高いのでしょうか?

OMISE Lab編集部は以下の2点がその主な理由であると考えます。

1. スタッフ同士のコミュニケーション不足

2. 単純労働の継続による労働意欲の低下

以下では、これら二つの要素についてもう少し詳細に見ていくことにしましょう。

 

深刻なコミュニケーション不足

職場のトラブルはコミュニケーションのトラブル。大手飲食チェーン店などであれば、シフトの時間帯によって顔をあわさないメンバーもいるため、組織への帰属意識を維持することが困難な状況にあります。特に、職場に正社員が少なく、アルバイトやパートが多いという環境では、新人スタッフの教育や後続の育成にかかるコストの面において、コミュニケーション不足や連携不足の弊害が大きくなります。

店舗一丸となった連携がとれていないということは、それだけスタッフそれぞれにタスクが分散できていないということ。この弊害はパートやアルバイトの離職だけでなく、正社員・店長への負担ともなります。正社員や店長が担っている裁量や権限は大きいものの、負担や責任も多すぎるため労働時間の過剰により体力、精神ともに疲弊してしまい、離職へと追いやられてしまうのです。

さらに、ここには「性差」の問題も隠されています。立ち仕事は女性にとって重労働であり、女性が男性と対等に働き続けるためには従業員同士の理解とねぎらいの気持ちが必要なのですが、ここでもコミュニケーション不足が大きな障害となるのです。

 

労働意欲の低下

職場への定着率を大きく左右するのが、スタッフ自身の労働意欲であることに疑いはありません。これはつまり、その仕事を通じて、スタッフに自己実現の可能性、胸を張って「これが自分の夢だ」と言えるようなやりがいを職場が提供できているか?という問題でもあります。例えば、飲食店の場合であれば、本来ならばホールやキッチンのサービスにはプロフェッショナルな熟練が必要とされるもの。しかし、今もなお世間一般からは「誰にでもできること」だと思われており、自分の成長のために学生は別の分野を目指してしまうという課題が根深く残っているのです。

さらに、サービス業界では不況時に大幅な人員削減をする傾向があります。その結果、スタッフ1人の仕事量が過剰になり、応募のときに抱いた業界への憧れやイメージがまったくなくなり、「労働力としてこきつかわれている」という感覚から抜け出せずにいるスタッフが離職を余儀なくされます。

こうして「離職するスタッフ」が「離職を考えるスタッフ」をよび、負のスパイラル的に、スタッフは電球のように消耗する労働力であり、長続きはしないという風土が生まれてしまうのです。そんな忙しすぎる先輩スタッフをみたアルバイトが、「自分も飲食業界で頑張ろう」と思えない状況が長続きするようでは、夢を求める若者たちの応募数における減少も避けられません。

 

有名企業に学べ!従業員満足度アップのための施策事例

さて、ややネガティブな印象を与える文章が続いてしまいましたが、ここからは誰もが知っているあの有名企業に学ぶ「従業員満足度アップのためのユニークな取り組み事例」をご紹介いたします。

 

ディズニーリゾート


平均勤続年数は約20年、正社員の離職率は5%、アルバイトは約50%という離職率の低さで知られるディズニーリゾート。 さらに、スタッフの90%がアルバイトであるにも関わらず、職場忠誠度も高く従業員満足度も高いと言われています。確かにディズニーリゾートで働く人たちは、ディズニーのキャラクターのようでみんな楽しそうで、話しかけられるとこちらも笑顔になります。そんな爽やかなスタッフは、どのような評価・表彰制度によってモチベーションがUPしているのでしょうか?

▼ 「I have idea」制度

アルバイト、正社員にかかわらず、ディズニーリゾートで働く人なら誰でも「商品・サービス」についてのアイディアを提出し、選ばれれば商品化されるという制度です。スタッフ一人一人に、常に商品、サービスについて考える時間を与え、成長機会を生み出しているシステムです。

▼ 「スピリット アワード」の創設

「幸せを届ける」というミッションを各自もっていると言われているディズニーリゾートのキャストたち。上司、部下のたての関係、キャストという横の関係をすべて超えて、素晴らしいと思ったキャストにその都度メッセージを書いてたたえ合う制度です。自分が起こしたアクションを褒められれば、モチベーションがあがるとともにコミュニケーションもとれて一石二鳥!「ほめて成長させる」ことで離職率も低下します。

▼ 「サンクスデー」
年に一度、閉館後に正社員から準社員(アルバイト含む)にリゾートを開放し、日ごろの疲れをいたわる制度があります。この日によってリゾートで働こうと思った動機が新によみがえり、自分が働くリゾートへの愛着が生まれ、さらなるスタッフとしての活気やモチベーションのUPにつながり従業員満足にもつながります。

 

スターバックス

正社員の退職率は8%、アルバイトの退職率は40%のスターバックス。現CEOのハワード・シュルツ氏は職場作りの理念として「誰もが持てる能力をイキイキと発揮でき、正しく報われる、働きやすい環境」を掲げています。

▼ 行動方針に注目

スターバックスが掲げる行動方針の内の一つに「お互いに尊敬と威厳をもって接し働きやすい環境をつくる」とあります。「顧客満足度よりも従業員満足度」というスタバの哲学において、従業員は組織にとっての宝物。これにより、正社員やアルバイトの枠を超えてお互いに信頼関係が生まれ、働きやすさも生まれるのです。

▼ ユニークな表彰制度

従業員のことを正社員、アルバイト含め”パートナー”と呼び合うスタバでは、「グリーンエプロンブックカード」と呼ばれるカードを5枚集めると正式にお店で表彰してもらえます。これは、パートナー同士がお互いに必要とされる行動を実践できているなと感動した時に贈り合うカード。「ほめて育てる」という育成サイクルのなかで、他のパートナーが表彰された内容は、それ以外のパートナーモチベーションにもなっていくのです。

 

ザ・リッツ・カールトン・ホテル・カンパニー


出典:Sorbis / Shutterstock.com
ホテル業界の離職率は他業界に比べてズバ抜けて高いと言われるなか、離職率を低く維持していることで有名なのが、世界最大手のホテル企業のひとつ、リッツカールトンです。ここでは、その理由をご紹介します。

▼ スタッフは「紳士・淑女」

リッツカールトンの従業員は全員「クレド」という行動方針が書かれたカードを持っています。そこには、「紳士淑女にお仕えする我々もまた紳士淑女です」という従業員のモチベーションの原点となるような文章が書かれています。このような方針が従業員自身の職場における尊厳を満たした結果、顧客満足度の向上へとつながるのです。

▼ 従業員に大きな裁量を与える

ホテル業界のようなホスピタリティー・ビジネスにおいて、各従業員の自発的な演出が、マニュアル化された接客よりも大きな感動を与えることがあります。そこで必要となるのが、常に状況を先読みしてお客様に奉仕できる環境づくり。これをリッツカールトンは従業員に最大1日2000ドルの決裁権を与えることで実践しています。ですが実はこれは会社が従業員に強い信頼がないとできないことです。会社が従業員のホスピタリティーの価値に投資することで、従業員も会社に信頼されているという自信につながり、新な価値を生みだしているのです。

 

株式会社グローバルダイニング

「ラ・ボエム」など和洋食のダイニングレストランを展開しているグローバルダイニング社。お客様の評価だけでなく、業界内からの評判も高く、創業数十年が経ったいまも堅実な成長を続けています。そんなグローバルダイニングが、社員の士気が高い会社として注目されている理由はどこにあるのでしょうか。

▼ 現場の方針を大切に

グローバルダイニングでは、上司と部下の関係をフレキシブルに捉え、アルバイトにも店長にも同じ議決権を与えています。店長が交代しアルバイトが店長になることもあるなど、完全実力主義をとりいれています。

このシステムでは1年経過後、店長に実力がない場合は降格の対象となるそうです。店長はアルバイトからの信頼も得ないといけないので、店長を目指す人、正社員を目指す人は社内の人間関係もお客様への接客と同じように大切にするようになります。

また、給与面でも正社員も店長も完全公開で、アルバイトは自己申告で昇給を提案できるそうです。アルバイトであっても正社員と同じように頑張れば昇給できるという、モチベーションUPのための仕組みづくりが徹底されているのです。

 

まとめ

離職率が少ない組織に共通しているのは、「自分が働く会社のサービス、商品が好きだ」、「応募する前にスタッフから感動のサービスを受けたから自分もそんな従業員になりたいという憧れがある」ということです。

今接しているお客様が将来一緒にはたらく仲間になるかもしれない。そう思えば、「お客様へのサービス」が「従業員へのサービス」へと繋がっていきます。また、従業員に正当な評価を与え、その感謝の思いを伝えることにより、従業員が会社にとって必要とされているという満足感が職場に育っていくのです。