「美酒」を通じて新たな観光名所を!KURANDに学ぶ”本気のインバウンド対策”【後編】

話題急上昇中のベンチャー酒屋「KURAND」を手がけるリカー・イノベーション株式会社、辻本 翔さんへのインタビュー後編。

実店舗運営とオンラインでのメディア運営についてお話を伺った前編に続き、KURAND SAKE MARKET浅草店でのインバウンド対策と、2015年の12月に新規オープンした渋谷店の出店戦略について語っていただきました!

【インタビュー前編はこちらからお読みください】

出典: http://kurand.jp/sakemarket/asakusa/

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浅草店開店に繋がった人物との出会い

ー池袋に最初の店舗を出店したKURANDですが、二号店として浅草に出店された経緯もやはり日本酒の受けがいいエリアということがあってのことですか?

浅草に出店した狙いとしては、やはりインバウンド(訪日外国人向けの営業)に挑戦したいという思いが一番大きかったですね。浅草は日本有数の観光地でもありますし、下町ならではのグルメが周辺にはたくさんあります。

さらには、お店の近くに「まるごとにっぽん」という全国各地のご当地グルメが集結した商業施設もありますし、このようなインバウンド向けの事業がたくさん浅草に集結しつつあるという流れを背景にして、日本酒で誰もやったことがないなら、挑戦してみようということでオープンしました。

ー当初からインバウンド対策が出店の狙いにあったということですね。では、本格的なインバウンド対策のためには、どういう社内的な取り組みを実際に行いましたか? やはりスタッフ採用から?

社内にインバウンド向けの海外事業部が立ち上がっていまして、日本語がペラペラのイギリス人スタッフがいるんです。もともとイギリスで日本食材を扱うような商社で働いていたのですが、その中で日本酒を扱う機会がありまして、日本酒の魅力に惹かれて日本にやってきた、と。

そこで彼が何をやったかというと、日本酒の全国の酒蔵をぐるっと周ったんですよね。お酒をとにかくたくさん飲みながら旅をしていた時期がありまして、その中で酒販店さんとかで働いたりとか、スカウトを受けた蔵元様のもとで営業の仕事などをしていたんです。

そのつながりで我々がインバウンドの事業を立ち上げていきたいということもあり、弊社のチームに加わることになりました。日本酒に詳しくて英語も話せるというスタッフとピンポイントで出会えたことは奇跡的でしたね。

実店舗の中でも英語のメニューを置くなどはもちろんですが、他にも日本に滞在している外国人向けのイベントをやったりとか、あとはオンラインでも外国人向けのメディア運営もはじめています。

出典: http://kurand.jp/6563/

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ー他にもインバウンド対策としてやってみたい取り組みはありますか?

今後は、お昼の時間帯にも、何かサービスを提供してみたいですね。

お昼の時間帯の浅草は多くの外国人観光客で賑わうのですが、まだこういった日本酒のお店があるという情報が届いていないし、3000 円という料金体系の敷居が高いということもあって、通常時間帯の営業ではそういった層の集客につながっていないという事情がります。

これからは、2020年のオリンピックに向けて外国人観光客が増えていくということを見越した上で、試験的に取り組みを行っていきたいと思っています。

 

日本酒×インバウンド

ー海外でも日本酒ブームが広まりつつあると耳にすることもありますが、具体的にインバウンドに向けてアクションを取ろうと思ったきっかけはなんでしたか?

我々は日本酒に関連したイベントを数多くやっているのですが、そのなかでも2014年10月に渋谷の宮下公園で開催した、「SHIBUYA SAKE FESTIVAL」という2500人くらいを集めた大規模なイベントがありまして、そこに予想以上に多くの外国人の方がいらっしゃったんですね。そういう経験からも、外国人に向けての発信を強めていかなきゃと思いました。

出典: http://kurand.jp/4561/

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ー外国人の方には日本酒のどんなところが受けているのでしょうか。

もともと外国では、日本酒はすべてお燗にして飲むことが多かったらしいのですが、それは、あまり良くないお酒を飲んでたからなんですね。良くないお酒は、温めとけばいいやみたいなところがあったみたいで。

そういった中で、日本酒が徐々に徐々に海外に輸出されるようになりつつあって、高いお酒が飲める機会が増えていった中で、「日本酒って意外に美味しいんだな」ということが外国人の方に広まっているというのがあるのではないかと。

このような事情もあって、ちょっとずつではあるのですが、海外の訪日観光客向けのメディア様に取材頂くような機会も徐々に増えてきています。

 

池袋、浅草、渋谷…。出店を広げる強さの原点とは


ー 池袋、浅草ときて、今度は渋谷の道玄坂に3号店を12月にオープンされたということですが、いよいよ流行の総本山にまで駒を進めたという感じですね。この出店戦略の背景というのはどういった部分にあったのでしょうか。

大きく分けて3つのポイントに分かれるとおもいます。まず、若者にも日本酒の良さを届けることができるということが池袋店でわかったことを受けて、市場調査をどんどんしている中で、おっしゃるとおり渋谷が日本のトレンドの発信地であるということがまず1点。

もう1点は、渋谷には外国人の方もたくさん集まりますので、海外向けの情報発信の拠点としては渋谷が良いのではということです。あとはやはり渋谷が東京の中でも主要な街であったということが出店の大きな理由かなといったところです。

あとは、我々は若い人間でやっていますから、若者に向けて日本酒の魅力を発信していきたいという思いもあります。

池袋店の客層は20代、30代が多く、とにかく若い男女にすごく受けているという感覚がありました。なので、これは日本酒の新しい層を開拓するにはうってつけの場所だというのが渋谷の出店理由ですね。

日本酒の新しい発見をお客様に得ていただくことこれまで日本酒に親しむ機会がなかった人たちに触れていただく機会を創出することというのが我々の使命だと思っていますので、我々がやらなくてはいけないことはとにかくもっともっと新規のお客様を増やすことですね。

ー すべてがそのための施策ということですね。

そうですね、これまでにやってきた施策はすべてその一点に集約されます。訪日外国人へのアピールもそうですし、オンラインでメディアを運営し、オフラインで日本酒のイベントを運営することもそうですし、実店舗をどんどん増やしていくこともすべてがその一点に繋がってくるかなと。我々にしか出来ないと思います。


ー そうですね。ひとつのゴールに向かって次々と新しいことに挑戦していくフットワークの軽さは、ベンチャーでしか体現できないことだと思います。

既存の酒屋さんや日本酒業界に関わる方々がやりたくてもできなかったことこそ、我々がやるべきことだと思いますので、それなりに批判もありますけど、批判も踏まえて成長する糧にしてやっていかないと。

ー 私の耳には期待と賞賛の声しか届いていませんけどね!(笑)

なかなか目につきやすいことをやっているので、そういった中で我々がやっていることは、日本酒の魅力をしっかり伝えきれていないんじゃないかという指摘もあります。

しかし、そういう指摘があるからこそ、商品開発部に元蔵元が入ってきたりインバウンド向けの海外事業部にイギリス人が入ってきたりしているように、我々の意見に賛同して頂き、仲間がどんどん増えてきています。

我々も弱点である部分を埋めていきつつ、さらなる日本酒の魅力を発信し続けていきたいです。

ー 今後もさらなる飛躍を期待しています! 本日はありがとうございました!

 

KURAND


 

 

編集後記

インタビューを終えたOMISE lab編集部メンバーが、辻本さんに「自分…あの…実は日本酒があまり得意ではないのですが…」とおそるおそる聞いてみたとところ、「それはあの、我々も元はそうでした。」という意外すぎるお答えが。

リカー・イノベーションに入ってくるスタッフも、日本酒に詳しくて日本酒が好きで入ってくる人は逆に少ないです。僕も一応、利酒師の資格を取るなどして知識は得ているのですが、日本酒というか、お酒自体あまり飲めないんです。

一度、うちの代表に「何故採用したのか」を聞いてみたら、日本酒に詳しい人間よりも日本酒に詳しくない人間だからこそ新しい発想が生まれることもあり、日本酒に詳しくないところは採用の一因にもなったと言っていました。

やっぱり日本酒はこうでなければならないというように固執してしまったり、固まった意見を持つのではなく、もっとカジュアルで凝り固まったところがないところが素人のいいところです。

素人だからこそ、そういった発想からいろいろ意見が言える。そんな素人が日本酒の専門的な知識を持ち、視野を広げていくことでカジュアルに日本酒のことを広める手段が考えられるのかもしれないと思っています。

熱い志をもった素人が、長い伝統をもった日本酒の魅力を全世界にむけてPRしていく。今後もKURANDの動向から目が離せません!

飲食店経営の皆様へ お店の雰囲気って内装だけだと思っていませんか?