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お客様の食べ残しや急な予約キャンセル、賞味期限切れの食材、形が悪くてお客様には出せない料理……。飲食店や小売業では、どんなに在庫管理をしていたとしても、フードロスを完全に防ぐことは難しいもの。

そんな悩みを解決してくれるサービスが、世界的にも注目されている“フードシェアリング”です。これまでは泣く泣く捨てていた食材も、フードシェアリングによって、新たな活用が可能になります。

さっそく、そのサービスの全貌を見ていきましょう。

フードシェアリングとは

フードシェアリングとは、廃棄されてしまう商品を消費者ニーズとマッチングさせることで食品ロスの発生や無駄を減らす取り組みのこと。

日本における飲食店や小売業をはじめとする食品関連事業者から排出される食品廃棄物は、約2,550万トン。そのうちの約612万トンは、規格外の商品や売れ残り、そして食べ残しといった、まだ食べることのできるものだとされています。そんな日本の食品廃棄量は、世界でも1,2位を争うほど多いのです。

出典:環境省ホームページより

せっかく作った料理を捨てるのは、やはり心苦しいもの。捨てるより、誰かに美味しく食べてもらえたほうが嬉しいですよね。そんなときこそ、食材をシェアする”フードシェアリング”を行うことで食材廃棄量を減らすことができるのです。

日本でも使える!フードシェアリングサービス

フードシェアリングは海外では以前から活発に活用されているものの、日本ではあまり取り入れられることがありませんでした。

そんななか、2018年はフードシェアリング元年と呼ばれ、ふたつの主なフードシェアリングサービスがスタート。雑誌『日経トレンディ』の2018年ヒット予測100でも、2018年にヒットする可能性を秘めたサービスとしてベスト10に選ばれたことからも、フードシェアリングへの期待が十分にうかがえます。

2019年10月1日には「食品ロスの削減の推進に関する法律」(略称 食品ロス削減推進法)が施行され、追い風となっているビジネス。SDGs第12目標「つくる責任つかう責任」や「もったいない精神」の浸透、コロナ禍中の「中食需要」によって、人気の業態となっています。

では、そんなサービス内容を見ていきましょう。

TABETE

株式会社コークッキングが制作した日本初のフードシェアリングサービス「TABETE」。サービス開始にあたり、2018年3月にはβテストが行われ、全国約1,400店舗と約32万人のユーザーへと成長しています(2020年11月現在)。
自治体との連携にも盛んで、アプリとしてはほかサービスの追随を許さない存在。

飲食店は商品の入れ替えや賞味期限が近づいている商品、つまり食品ロスになりかけている商品の在庫数や値段、引き取り時間をTABETEに設定します。それを見た周辺ユーザーが商品を買う仕組みです。決済はWebで行われるため、店舗側はテイクアウト用に梱包した商品を、引き取り期限までに来店したユーザーに渡すだけ。

ロスをなくしたい店舗はもちろん、ユーザーにとっても、安い価格で商品を購入できるのはなんとも嬉しいサービスです。

「TABETE」のホームページはこちら

直産tabeloop


食品ロス削減フードシェアリングプラットフォーム「tabeloop(たべるーぷ)」運営を運営するバリュードライバーズ株式会社が、2020年7月から開始したBtoCのeコマース「産直tabeloop(たべるーぷ)」。もともとは生産者と飲食業を結ぶ事業でしたが、農林水産省が行うインターネット販売促進支援事業者として個人向け販売を開始しました。

このサービスの魅力は、消費者が会員登録料・送料とも負担する必要がなく現地での販売価格で購入できること。飲食業の仕入れ中断で食品廃棄を余儀なくされる一次生産者を応援するのも意義あることでしょう。

通常商品とともにお得な「ワケあり品」が出品されることも。豊かな自然の山の幸・海の幸をお値ごろにゲットできますね。

「産直tabeloop(たべるーぷ)」のサイトはこちら

今日からできる!食品ロスを減らす根本的な対策方法

食品ロスを抑えるには、アプリを使うだけでなく、現状の無駄を徹底的に省く根本的な対策が必要です。今日からできる対策方法で、自店の無駄を省いていきましょう。

食品ロスの記録をつける

まずは、毎日どのような食材をどれほど捨てているのかを把握しましょう。現状をきちんと把握することで、その後の対策も考えやすくなります。

仕込みの量を調整する

食品ロスの状況が分かれば、何がよく廃棄されているのかも見えてきます。売り上げとともに分析し、あまり人気のないメニューの材料は、必要以上仕入れないように調整しましょう。

小分けで注文ができるようにする

小盛りやハーフサイズ、提供する個数の柔軟な対応といったように、お客様が小分けに注文できるようにするのもひとつの対策。食べきれる量のみを注文することができ、自ずと食べ残しが減っていくでしょう。

食品ロス対策は、店舗運営だけでなく社会的にも意義のあること

日本の食料廃棄量が世界トップクラスであるのは、不名誉なことです。だからこそ、積極的に食品ロス問題と向き合い、解決をはかることが求められています。

食品ロス対策について考えることは、自店の利益を上げるだけに止まらず、社会的にもとても意味のあるもの。貧困や飢餓をなくすきっかけになるだけでなく、無駄な食料資源を省くことにも繋がります。今一度、食品ロスを削減し、社会貢献に協力してみてはいかがでしょうか。

飲食店ができる「SDGs」(持続可能な開発目標)について考える

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店舗BGMアプリ「モンスター・チャンネル」が運営する店舗運営情報magazineの編集責任者。