新型コロナウイルスの影響で売上が落ち、新たな集客方法として店頭販売を検討している飲食店は多く、既に始めている店もあります。しかし、初めて店頭販売をするとなると、集客に効果的な店頭販売の方法が分からない方もいるでしょう。そこで、店頭販売を検討している、既に始めている飲食店向けに、店頭販売のコツや注意点を紹介します。
集客と販促。店頭販売の効果とは
店頭販売は、店舗の雰囲気や提供メニューを知ってもらうきっかけとなるので、新規顧客の獲得に効果的です。購入したメニューが気に入った、対応していた店員の印象が良かった、店内の雰囲気が良さそうだったので次回は店内で飲食したいなど、リピーターも期待できます。
消費者の購買意欲をかき立てる際、音や香りなどで五感を刺激して購買意欲をかき立てる「シズル効果」という効果が有効的ですが、店頭販売では販売しているメニューの実物を目にしたり匂いを感じたりできるので、見た目も匂いも美味しそうなメニューの販売自体が集客と販促につながります。
通行人を止める店頭販売のコツ
味もコスパもいいメニューを店頭販売していても、通行人に足を止めて販売メニューを見てもらえなければ売上につながりません。そこで、いくつかのコツを押さえて通行人の目に入る店頭販売方法を取り入れることが大切です。
お客様の興味・関心を惹く
店頭販売を利用するお客様は、場合店の前を通った方が販売しているメニューや店の雰囲気などに惹かれて商品を購入することが多いでしょう。そのため、店を意識していない方にも興味・関心を抱いてもらう工夫が求められます。店舗付近を行き交う人を観察し、どのような属性の方がメインターゲットになりそうかを分析し、ニーズのありそうなメニューを販売することがポイントです。
味もコスパも良いメニューの開発・販売だけではなく、店内でも提供できるメニューをお得に味わえる、店頭販売限定で数に限りのあるメニューを販売するなど、購買意欲が増す付加価値・サービスもあるとより興味を持ってもらえるでしょう。
おすすめ商品をいくつか提案する
行きたい飲食店や食べたいものが決まっていない方は「どこで食べるか」「何を食べるか」の選択肢が多い状態なので、店を探している最中に食べるものを決められるような宣伝を目にすると、気になるメニューのある店の前で足を止めて購入する可能性が高くなります。
また、行きたい店や食べたいものが漠然としている方は、いくつか提示されたおすすめの商品を参考にすることがあります。メニューに迷っている方が満足度の高いものを購入できるよう、店頭販売時にメニューの名前と値段を掲示するだけではなく、特におすすめの2・3種類のメニューをピックアップし、特長やおすすめの理由などを説明したPOPや看板を用意することもポイントです。
信用を得られる接客をする
店頭販売しているメニューや店舗の雰囲気が魅力的でも、接客する店員の態度が悪くて近寄りがたいと思われてしまっては、むしろ集客に悪影響を及ぼしてしまいます。
清潔感があり、店舗の雰囲気が伝わる身だしなみ、言葉遣いが丁寧で笑顔も見られて好印象を与えられるなど、最低限のマナーを守った接客がポイントです。
お客様がメニューを考えているのに店員が立っているだけでは、お客様は気まずい思いをします。しかし、足を止めてもらっただけで勢いよく声をかけられるのも、買いたいものがあるか落ち着いて判断できない、他の店舗も見てから決めたいといった方に警戒されてしまいます。
そこで、店頭で足を止めてメニューを吟味しているなど興味を持っていそうなタイミングで挨拶をすることで、商品の気になることを尋ねやすい、会計をお願いしやすい雰囲気をつくることができます。
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ニーズに合う時間帯にマッチするメニューを販売する
店の前を通る方が少ない時の店頭販売は、集客に直結しにくいため、人通りの多い時間帯に実施することがポイントです。
たとえばオフィス街にある店舗であれば、平日のランチ時は多くの飲食店が繁盛しています。しかし、混んでいることを理由に来店を諦める方がいることが考えられるので、お弁当のように単品で1食分になるようなボリュームの商品需要が高いでしょう。店頭販売は、店内が混雑していても商品を提供できるメリットがあります。
住宅街にある店舗であれば、中食にも対応できるおかずだけの商品や、キッズ向けの商品のニーズもあるでしょう。
飲食店には「アイドルタイム」と言われるお客様の少ない時間帯がありますが、アイドルタイムは夕飯を考えている方、早めの夕飯を済ませたい方、お昼が遅くなってしまった方などスイーツや軽食以外のニーズがあることも考えられます。アイドルタイムに店舗周辺の人手があり、ニーズの高い商品を店頭販売できると、新たな売上を出す手段として期待できます。
店頭販売を促進させる「見た目」
店頭販売で効果を出すには店員の接客や販売時間を工夫する、SNSや店頭でテイクアウトに対応していることを周知するといったことももちろん重要です。しかし、初めての方も利用しやすいように、コンセプトやジャンルが伝わる外装にする、商品を購入したくなる美しい盛り付けや色合いを意識するなど、視覚に訴えることも重要です。
外装、POPの活用
外装は店舗の売りを伝える役割があるので、店舗の業態や扱うメニューのジャンル、雰囲気などを想像できるデザインとすることがポイントです。
たとえば、和食居酒屋と洋風カフェでは外装デザインが大きく異なることが想像できるでしょう。ただし、周囲に似た業態やコンセプトの飲食店がある場合、外装まで似ていると自身の店の印象が薄れることが懸念されるので、周囲の店の外装をチェックした上で自身の店舗ならではの特長が伝わるデザインを意識してみてください。
通行人に店舗への興味・関心を抱かせるのには、店外POPや立て看板が有効です。POPと立て看板は歩いていても目に入るものでなければ効果を発揮しないので、離れた所からでも内容を確認でき、通行中でも目に入る大きさ・デザインにすることを心がけましょう。
POPや看板を確認できても、魅力的なメニューがある、利用するメリットがあるなどがなければ購買意欲は湧きにくいので、写真やメニューの売りを載せるなど、店に行ってテイクアウトしたいと思われることを宣伝しましょう。
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容器の工夫
店頭販売では、持ち運びに適していて美味しそうな盛り付けを維持できる容器の使用が求められます。持ち運んでいる間に料理が崩れたり、寄ったりしないようメニューの大きさに合うものを選びましょう。
フタが外れると中身がこぼれてしまうので、フタが外れにくい容器を選ぶ、温かい料理や汁物を販売する場合、エンボス加工してあるものや発泡素材のもの、紙が二重になっているものなど、手に持った時に熱すぎないものを選ぶこともポイントです。
販売メニューによって適した容器の形状は異なるので、形状選びも大切です。たとえば、カレーはルーとライスを分けられる仕切りのあるもの、ご飯の上に汁気の少ない揚げ物や炒め物などを乗せる丼物であれば、底が平らで高さのあるものが好ましいでしょう。
美味しそうな見た目を維持でき、持ち運びしやすい容器を選ぶことは重要ですが、使い勝手だけで選ぶと、大きさやデザインによっては店舗の雰囲気と合わないこともあります。
店内で使用する食器にこだわるように、店頭販売で使用する容器も店や販売メニューとマッチするものを選ぶことが大切です。たとえば、オシャレさや非日常性を売りにしている、高価格帯のメニューが多い飲食店なら、デザイン性の高いフードペール容器を使用すると店舗の雰囲気と合うでしょう。フードペール容器はサンドイッチなどのランチボックスにもおすすめです。
容器以外にはお客様にどこでも食事を楽しんでもらえるよう、持ち運び用の袋、おしぼり、割りばしやフォークやスプーンなども用意しておきましょう。
ただし、2020年7月からはレジ袋の有料化が義務化されるので、お客様に袋の有無の確認が必要になります。自宅で食事をする、箸などは持ち歩いているといった理由で不要な方もいるので、希望を聞くようにしましょう。必要な方にのみ渡すことでストックの減りを抑えられ経費削減にも役立ちます。
テイクアウトできるメニュー、割引クーポン、メッセージカードなどの同封
店頭販売は、店内飲食よりも店と関わる時間が短いため、テイクアウトして食事を終えた後でも、目に見える形で再訪のきっかけを作ることが大切です。たとえば、テイクアウトできるメニューや割引クーポンの配布など、リピートするメリットを感じられるものがあげられます。
経営者の思いや購入してくれたことへの感謝を伝えるメッセージカードなどが同封されていると、温かみのある店舗という印象を抱き、リピートしたいと思えるほどのファンとなるでしょう。
まとめ
店頭販売は店を知ってもらう効果があり、店内飲食では獲得できなかった新規顧客の開拓にもつながります。また料理の実物を目や匂いで確認できるので、商品の魅力をより意識的に訴求できるでしょう。
しかし、どれほど美味しいものを提供していても、通行人の興味・関心を惹く工夫がされていなければ集客と販促は困難です。
接客に気をつける、テイクアウトに対応していることを周知するなどに加え、店舗の特長や販売メニューが伝わる外装の採用や看板設置が重要です。また、テイクアウトのメリットやメニューに興味を惹かれるPOPの使用、店やメニューとマッチして使い勝手の良い容器、割引クーポンやメッセージカードの同封など、見える形で店を訪れたいと思わせることが求められます。