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在宅によるテレワークの推奨をはじめ何かと外出が制限される昨今、運動不足や長時間パソコンに向かう時間が増えたことにより、肩こりや腰痛、猫背など体に不調を覚える人が後を絶ちません。そのような中、身体の歪みを調整し、元の正常な状態へとケアしてくれる「整体」に通う人も増えてきました。

その整体にもさまざまな種類があり、治癒・緩和へのアプローチ方法もそれぞれ異なります。今回は、整体の仕事内容や取得できる資格などについて触れていきます。

整体師(セラピスト)の仕事内容

整体とは、手や体の一部を使い人体に力を加えることで、筋肉の張りやこわばりをほぐし、骨格を調整することで、身体を元の正常な状態へと改善していくアプローチを指します。

整体師はこれら施術を行う職業のことで、セラピストとも呼ばれています。整体師が活躍する場所は、整体を専門に行う「整体院」のほか、病院や介護施設などのリハビリメニューを導入している施設や機関があります。最近では、プロスポーツ選手などアスリートの身体をケアする整体師の需要も高まっており、プロのチームが専属とトレーナーとして整体師を雇用するケースも増えてきています。

一口に「整体」と言っても、施術する内容やケア方法の概念などによって、いくつかに分類されています。

カイロプラクティック

カイロプラクティックは大正時代にアメリカより導入され日本でも定着してきました。元来「整体」は東洋医学発祥によるものですが、カイロプラクティックは西洋医学の知見に基づくプロセスのため、正しくは異なるものです。ただし、戦時中に日本では英語の使用が禁じられ「整体」に統一されていた時代背景などもあり、現在では整体とカイロプラクティックは、ほぼ同義として使われています。

カイロプラクティックは基本的に徒手によるアプローチとなりますが、場合によっては器具を用いた温熱・冷却治療、電気治療のほか、食事や運動面での生活指導にまで及ぶことがあります。

厚生労働省によると、カイロプラクティックは「主に脊椎やその他の身体部位を調整(矯正)することにより、ゆがみの矯正、痛みの軽減、機能改善、身体の自然治癒力を高めることを目的とする」としています。これは人体の根幹とも言える脊椎が正しい状態でないと、全身のバランスが崩れ、関連する身体の至る部位に負担が生じ、腰痛などの痛みにつながると考えられているからです。

リフレクソロジー

リフレクソロジーは別名「反射療法」とも呼ばれ、患部に直接触れるのではなく、神経が集中する足の裏などを刺激することで、症状の緩和や疲労の回復をねらうアプローチです。「足つぼ」や「フットケア」といった名称のメニューがある整体がリフレクソロジーに該当します。

オステオパシー

オステオパシーは血液の流れやリンパといった循環器を含めた生理的見解から、人体を一つのユニットと考えてケアを試みるもので、患部への直接的・間接的アプローチを取り入れながら、自然治癒力の向上を促します。フィジカルな「療法」というよりは、エコロジーの概念に基づいた治療哲学と捉えた方がよいかもしれません。

整体師による施術が禁止されている事項

整体師(セラピスト)になるには特に国家資格は必要なく、専門学校などでの基礎学習と、整体院での施術経験があればその後の独立開業も可能です。

しかし、国家資格でないがゆえ整体師による施術が禁止されている内容もあります。具体的には、あん摩、マッサージ、指圧、鍼灸です。これら施術は一般的に医療行為と認識されており、当然専門の資格が必要となるため、無資格の整体師が行うことは不可能です。

ただし整体の施術でも、筋肉の緊張をほぐすために手指で圧力を加えるアプローチもあり、こうなると指圧やマッサージとの境界線がぼやけてきます。現状では「(被施術者が)痛みを感じないほどの指圧(マッサージ)ならば整体師でも施術できる」と解釈されているようです。

国家資格の「柔道整復師」「あん摩マッサージ指圧師」「鍼灸師」について

整体師(セラピスト)と混同されやすい職業に「柔道整復師」や「あん摩マッサージ指圧師」「鍼灸師(はり師・きゅう師)」があります。

これらは専門の国家資格が必要で、保険診療の適用範囲となる点が整体と大きくことなるポイントです。医院や診療所の名前に「整骨」「接骨」「鍼灸」の文言が入れられるのも、これら国家資格保持者だけに限られています。なお、「鍼灸師」とひとくくりにされることが多いのですが、資格としては「はり師」「きゅう師」に分別されています。

具体的な施術として、柔道整復師は、骨折、打撲、捻挫、肉離れの治療を行うもので、あん摩マッサージ指圧師は、リウマチなどによる筋や関節拘縮の緩和といった医療上必要なマッサージを行います。鍼灸師は、針やお灸を用いて患部に刺激や熱を加えて治癒力を高める療法を試みます。

実践経験がモノを言う、整体院の開業

国家資格が必要ない分、整体師(セラピスト)としての独立開業は他職種と比べてやりやすいと言えます。まずは専門学校などの養成機関で学ぶことが第一となりますが、ここ数年で養成機関の数も頭打ちになってきており、徐々に減少傾向にあります。そのため、口コミや卒業生の実績などを参考に、信頼できるスクール選びが重要となります。

専門学校などの養成機関で学んだ後は、著名な整体師のいる整体院で働くことが独立開業への近道となります。しかし、利用客に信頼され、事業が軌道に乗るようになるまでには長い道のりが待っています。

人間の骨格は男性と女性、大人と子どもで大きく異なり、それに加え個人差もあります。そのため、座学はもとより実際の施術を通じた経験が何よりも重要です。ベテランになってくると、身体の一部を触ったり立ち姿を一瞥したりするだけで、どの部分を痛めているかわかると言います。また、師匠となる人に努力や成果が認められれば、“のれん分け”といった形で開業できるケースも考えられます。

整体師が取っておきたい資格は?

整体師(セラピスト)を目指す人、すでに整体師として活躍している人のために民間資格が存在します。以下取り上げたのはごく一部になりますが、未経験者でも取得できる資格もあれば、膨大な学習と臨床実験を経験したカイロプラクター(整体師)だけに認められるハイレベルな認定基準もあります。

整体ボディケアセラピスト(一般財団法人 日本能力開発推進協会認定資格)

身体の不調からその原因、メカニズムを読み解き、安全に施術を行うための分析法、施術法などを学習します。腰痛や肩こりといった症状の改善に加えて、女性にとって重要なスリムで健康的な身体づくりも視野に入れています。資格取得までのカリキュラムが3か月と短めに設定されているため、仕事と並行して取り組める点も魅力です。

一般社団法人国際ホリスティックセラピー協会認定整体師

国際ホリスティックセラピー協会(以下、IHTA)では、整体、ヨガ、アロマテラピー、ベビーマッサージなど多分野におけるセラピストの人材育成に努めており、各分野で技術向上を目指した認定試験があります。また、提携している整体院などの施設が全国に多数あるため、認定試験の合格者はIHTAが主催するセミナーへの参加や、就職、開業支援などが受けられます。

日本カイロプラクティック登録機構登録カイロプラクター

日本カイロプラクティック登録機構(以下、JCR)はカイロプラクターを登録する独立組織で、登録するにはWHO(世界保健機関)ガイドラインに準拠した教育プログラムを修了する必要があります。4年制で計4,200時間以上(うち臨床実習1,000時間)の教育が求められることもあり、カイロプラクティックの世界で第一人者を目指す人向けの認定資格と言えます。

JCR登録試験登録者の名簿を一般公開、または厚生労働省などへ提出することで安全なカイロプラクターの指標を提示することを目的としていますが、日本ではまだ登録者が少ないのが現状です。

柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師(はり師・きゅう師)(国家資格)

前述の国家資格を取得すれば、整体院プラス整骨院といった複合型の診療所(店舗)を構えることができ、事業に大きな幅が生まれます。また、利用者の症状に応じて保険診療を適用するといった判断も可能で、幅広いニーズに応えることができそうです。

整体師の今後の展望

比較的独立開業へのハードルが低いこともあり、全国のあらゆる場所で整体院を見かけます。技術の良し悪しも大切ですが、コミュニケーション面を含めた施術者と利用客との相性もあるため、院の数が多いに越したことはありません。

利用客からすると、信頼の置ける整体師との巡り合わせは重要なポイントです。これから整体師を目指すという人は、資格取得や自己研鑽を重ねながら、地域の頼れる相談役として活躍していただきたいと思います。

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店舗BGMアプリ「モンスター・チャンネル」が運営する店舗運営情報magazineの編集責任者。