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「経営者こそ、店頭に立つべき」ABCマートから学んだ成田直人氏の現場主義経営【前編】

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今回お話を伺ったのは、サービスコンサルタントの成田直人氏

成田氏は19歳でABCマートの個人売上日本一を獲得し、その後もPC専門店PCデポにて7ヶ月で個人売上1億円を達成するなど、販売で確かな実績を積んだのちに、小売・サービス・飲食業専門コンサルティング会社「株式会社FamilySmile」を設立しました。

さまざまな店舗のコンサルティングをする傍ら、講演や接客研修、メディア出演を積極的に行っており、「トップ販売員のルール」(明日香出版)「接客の教科書」(すばる舎)など多くの人気接客本を著書として持っています。

成田直人氏インタビュー
サービスコンサルタント 成田直人オフィシャルサイト

まさに「接客の達人」である成田氏に、結果につなげるための接客をするにはどうすればよいのか、質問してきました。

本部も現場も会社一丸で売る、ABCマートの接客術

– 成田さんのブログや著者の内容を読んで、経営者が店頭に立つことの意味や現場主義というキーワードが心に残ったのですけど、その「現場主義」のこだわりにたどり着くまでの経緯やきっかけを教えてください。

きっかけは、もともとABCマートでアルバイトしていたこと。ABCマートでは、土日になると社員全員が店頭に出るんです。だから、普通だったら一生会えなさそうな本部の偉い人たちと、一緒に販売をするんですよ。そうすると、すごく関係性がよくなるんです。

普通の企業って、本部と現場が分断されていて、愚痴の言い合いになってしまいがちです。例えば本部は、こんなにいい商品をバイヤーの人たちが仕入れているのに、現場には販売力がない」と言うし、現場は現場で、「こんなダサい商品誰が履くんだよ」となってしまう。でも、ABCマートは本部のひとたちがいっしょに売ってくれるから、「この人たちのためにも売らなきゃ」という意識になるんです。全員が現場感を持てば、喧嘩はなくなるんじゃないかなって。そう考えるようになったきっかけは、やっぱりABCマートです。

成田直人氏インタビュー
■金髪少年を売上日本一の販売員に育てたABCマート店長55の教え(こう書房)

僕が一緒に働いていて、たぶん1番偉かったのは執行役員の人で、靴のブランドにもなっている人。その人と一緒に売ったときに惨敗したんです。いつもだったら僕が50万売るのに、その日は30万くらいで、その人が50万くらい売って、まったく歯が立たなかったっていう。

こういう、ABCマートを作ってきた人たちが今のABCマートをつくるきっかけになっているから、本部の人と一緒にいるだけですごくモチベーションも上がるし、「本部がこれだけがんばっているんだから俺らもがんばろう」と思います。

ABCマートは当時100店舗で、今はすごく大きな会社になりましたが、それが一番の理由なのかなと思います。

「本部VS現場」の経営がなくなるには?

成田直人氏インタビュー

– ABCマートでは、社長も店頭に立つんでしょうか?

今の社長はもともと営業本部長だった人なのですが、普通にたくさん(店頭に)来ていましたね。

– では本当に、全社員で売っているんですね!

普通の企業は本部が偉くて、現場が下、みたいな統治型ですけど。でもよくよく考えたら現場が一番大事で、現場の人たちのパフォーマンスが売り上げを決めるわけじゃないですか。

成約率とか客単価とか、顧客満足度。そういう考え方を持つことって、すごく大事だと感じましたね。

– ABCマートの本部は、毎週土日に店頭に来ていたんですよね。そうするとアルバイトは本部が来ていても、萎縮せずに働くことができるんでしょうか?

そうですね。販売経験は僕らのほうがあったりするから、むしろ本部が下手に出てくることもあります。そこで偉そうな態度をとる人はほとんどいなかったと思います。

– 本部が視察にくると、萎縮してしまっていつも通りに働けない店舗や、逆にそういうときだからこそ元気に働ける店舗があるとブログに書かれていたと思うのですが。

そうですね、それは社長や役員と現場の人間関係にかなり依存します。僕がサポートしている会社で、社長が現場に行くともう「社長はもうお店に来なくていいんで、休んでください」って言われるくらい、本当に現場を大切にしている社長がいるんです。普通にそのまま立って商品売っちゃったりする。そういう人だからやっぱり業績もいいし、スタッフさんたちが辞めないんです。社長が好きだから、力になりたくて。

でもそうじゃなくて、たまにしか本部の偉い人が来ないようなお店だと、みんな萎縮します。ほとんどコミュニケーションとっていないし、「えらい人が来た!」となってしまうから、できないんじゃないかなっていうのは思います。

接客も経営も教育も、基本は「人間関係」

成田直人氏インタビュー

– ほとんどパート・アルバイトさんの店舗で、全員がすばらしい接客を身につけるというのは理想ですが、大変だと思います。ですが、それを実現するためのアルバイト教育方法はありますか?

僕が年間4,000人くらい担当していて思うのは、関係性なんですよね。たとえば、マネージャーと部下がすごくいい人間関係でも、四六時中マネージャーがとなりにいるわけじゃない。だから、主体性を育てなきゃいけない。その自分で考えて自分で行動できるような、主体性が必要になるんですよ。

この主体性っていうのは、人間関係にかなり依存するんですよね。「この人のためにがんばりたい」が積み重なると、「このお店のためにがんばりたい」と思うし、それが積み重なると「この会社のためにがんばりたい」と思う。だから、人間関係がよくなると、離職率が下がるだけじゃなくて、教えたことをちゃんとやってくれる人が増える。だから、教育方法というよりも、人間関係っていうのはとても重要です。

教育方法にもいくつかのポイントがあります。基本的にマネージャーはそのお店の中で活躍している人たちがなるので、教えるときに属人的指導になりがちなんですよ。「わたしがこれができるのになんであなたはできないの?」ってついなってしまう。だから、「誰でもできる」っていうふうに言語化してあげるっていうのがとてもポイントなんですよね。

暗黙知の状態で教えずに、形式知、つまり「誰でもできる」ように落としてあげるのはポイントかなと思います。でも、そもそも人間関係がないと、それもできないんです。

– たしかにアルバイトをやめたときの理由で、「店長変わったら嫌になった」というのは多い気がします。

今の求人広告を見ていても、居酒屋とかでスタッフが仲良くしている写真を載せて、「こんな素敵な仲間と働きませんか?」って書いてあっても実際は違うから、辞めちゃうんです。よい人間関係をみんな求めているから、そこにたどり着きたいわけです。だから「そういうお店なんだろうな」って入るけど実際そうじゃないっていうところに、ギャップを感じて辞めてしまう。それは、教える以前の問題です。

– 支配人や店長はすごくやる気はあるのに、その熱量に従業員が追いついていないとか、新人がやる気ない……という話もよく聞きます。そういったときは、どこに問題や落とし穴があると思いますか?

それは、嫌われているかもしれませんね(笑)。ひとむかし前は「店長は嫌われ役」とか言いましたけど、今はそうなれないから「嫌われ者」で終わってしまう。関係ができていれば嫌われ役は成立するんですけど、関係ができていないと嫌われ者で終わっちゃうっていうのは実状かなって思います。

– 飲食店というよりも、ホテルや旅館の支配人ってあまり表に出ないと思うんですけど、そういう人たちも表に出て接客をすることで、何か変わることってありますか?

僕は、チェックアウトのあとのお見送りは、絶対に支配人がやったほうがいいと思っています。できればお迎えもしてほしいけれど、帰りは絶対に支配人が出るべきです。

そこって一番、満足度を確認できる場所なんですよ。「ご滞在中、何かご不満な点はございませんでしたでしょうか?」とか、その場で生で聞くことができるんです。「お見送りのバスが来る前にちょっとだけお伺いしてもよろしいでしょうか?」「こういうサービスあったらここもっとよくなるとか、改善点ございますか?」など聞いてから、お見送りをすること。

だから、支配人は最後には絶対フロントにいたほうがいいと思います。

(つづく)

※後編では、実際に「売上を6億円から21億円にした」という、結果を出すための成田氏の接客論を紹介します。お楽しみに!

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