会話による飛沫感染防止にも!店舗BGMにまつわる新型コロナウイルス対策事例

飛沫感染防止

新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けて、各事業主とも頭を悩ませていることとは思いますが、店舗で流れるBGMを工夫して、ちょっとでも音楽に耳を傾けてもらうようにすれば感染防止の可能性が広がります。ここでは、店舗の責任者が覚えておくべきコロナ対策と同時に、極めて自由度の高いBGMの効果的な利用方法についても触れていきます。

濃厚接触で飛沫感染するリスクは急増!

飛沫感染

新型コロナウイルスはもちろんのこと、冬季に流行するインフルエンザなどの感染症の多くは飛沫感染によって発症します。飛沫感染とは、咳やくしゃみによって口内から排出される微細な水滴を直接吸い込むことによって発症する感染を指します。

咳やくしゃみなどには水分が含まれるため、時間の経過とともに重力によって地面へと落ちていきます。しかし、くしゃみによって飛ばされる水滴の飛距離はおよそ2mにも及ぶため、人間同士の距離が近い場合、相手の水滴を直接吸い込んでしまうことが考えられます。マスクの着用義務、そしてソーシャルディスタンスが提唱されている理由は、飛沫の拡散とそれを吸い込むリスクを少しでも軽減する目的があるからです。

飛沫感染と似た「空気感染」という経路もあります。空気感染は咳やくしゃみなどに含まれる水分が蒸発した粒子(飛沫核)を吸い込むことによって起こる感染です。水分を含む飛沫はやがて地面へと落ちていきますが、そこから蒸発した飛沫核は軽いため、長時間空中をさまよいます。そのため、空気感染ではソーシャルディスタンスに気を付けていても感染する可能性があります。結核やはしか、水ぼうそうなどは空気感染により発症するためこちらも注意が必要です。

飲食店で新型コロナが発生した場合の対処法

一般社団法人日本フードサービス協会では、農林水産省がすでに公表している新型コロナウイルス感染者が出た事業所における事業継続計画に基づくガイドラインを打ち出しています。このガイドラインでは、新型コロナウイルス感染者を出した飲食店には以下の実施を要請しています。

感染者発生の把握

店舗の従業員に感染が確認された場合には、事業者はその旨を保健所に報告し、対応について指導を受けてください。また、患者以外の従業員に対しても、事業所内で感染者が確認されたことを周知するとともに、感染の予防を改めて注意喚起してください。

濃厚接触者の確定

新型コロナウイルスの患者を把握した場合、感染症法に基づき、保健所で疫学調査を実施し、濃厚接触者に対する健康観察、外出自粛の要請などを行うことになります。このため、事業者は保健所の調査に協力し、速やかに濃厚接触者を自宅に待機させるなど感染拡大防止のための措置をとる必要があります。クラスター(感染者集団)が発生している可能性がある場合には、施設の休業など必要な対応を要請される場合があります。

【参考】これまで集団感染が確認された場に共通する3つの条件
① 換気の悪い密閉空間であった
② 多くの人が密集していた
③ 近距離(互いに手を伸ばしたら届く距離)での会話や発声が行われた

出典:新型コロナウイルス感染症対策の見解(新型コロナウイルス感染症対策専門家会議) (3月9日)

濃厚接触者への対応

保健所が濃厚接触者と確定した従業員に対し、14日間の出勤を停止し、健康観察を実施してください。濃厚接触者と確定された従業員は、発熱や風邪といった症状がある場合、保健所に連絡し行政検査を受検します。また、事業者は、その結果の報告を速やかに受けることとします。

【参考】 「濃厚接触者」に該当する範囲
○ 感染が疑われる者と同居あるいは長時間の接触(車内、航空機内などを含む)があった者
○ 適切な感染防護無しに感染が疑われる患者を診察、看護や介護していた者
○ 感染が疑われる者の飛沫や体液などに直接触れた可能性が高い者
○ その他、手で触れること又は対面で会話することが可能な距離(目安として2m)で、必要な感染予防策なしで、「感染が確定した患者」と接触があった者

出典:新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査要領(暫定版)
(国立感染症研究所感染症疫学センター令和2年2月27日版)

施設設備などへの消毒の実施

感染者が勤務した区域(売場、厨房、製造加工施設、倉庫、執務室など)の消毒を実施します。消毒は保健所の指示に従って実施することとしていますが、緊急を要し事業者自ら行う場合には、感染者が勤務した区域のうち、手指の接触が多い箇所(ドアノブ、スイッチ、手すりなど)を中心に、アルコール(消毒用エタノール(70%))または次亜塩素酸ナトリウム(0.05% 以上)での拭き取りを実施してください。

業務の継続について

一般的な衛生管理が実施されていれば、感染者が発生した施設などは業務停止や食品廃棄などの対応をとる必要はありません。ただし、自宅待機によって人員の確保や消毒作業による業務の継続が困難な場合は休業が必要となります。 ただし、継続しなくてはいけない重要な業務がある場合、事業者は優先的に継続させる業務を選定し、業務を継続するために必要となる人員、物的資源(マスク、手袋、消毒液)などを把握してください。並行して業務継続のためのマニュアル作成も必要となります。

【参考】従業員の確保状況による段階別の業務継続体制
事業者は、従業員の確保状況に応じて、段階別に業務継続体制を決定します。
【第一段階】
(業務の内容) 原則通常どおりの業務
(人員の体制) 早出・残業などで業務対応
【第二段階】
(業務の内容) 重要業務の継続を中心とし、その他の業務は縮小・休止 小規模事業所の場合にあっては業務全体の休止も含め判断
(人員の体制) 早出・残業などでの業務対応に加え、他部門からの応援

出典:農水省ガイドラインより

BGMは飛沫感染防止に一役買うか?

仲間内で食事やお酒を楽しむために会話は欠かせないものですが、これにより飛沫感染のリスクが高まる可能性が出てきます。このようなジレンマを抱える中、沖縄県飲食業生活衛生同業組合では、新型コロナウイルスの感染予防対策として、飲食店の事業者向けに取り決めたガイドラインの中に、食事中の会話を控え、BGMを聴くよう利用客に勧める項目が設けられました。

食事中に限らずリラックスするために音楽は欠かせないものです。いまやBGMは飲食店の必須のサービスとなっていますが、お店の雰囲気やコンセプト、そして訪れる客の年代など客層を考慮した選曲が求められます。

近年はサービス事業者やチャンネルの多様化によって、年代や性別といった要素以外に、地域や季節、さらにはその日の天気にマッチした選曲が提供されるなど柔軟にプログラムが選べるようになっています。このほか、洋楽と邦楽を交互に流すチャンネルもあります。

日本で暮らす外国人や熱狂的な洋楽ファンに対して、退屈さを感じさせない多様性に配慮したサービス提供と言えるでしょう。今回のコロナ禍を機に、利用客に喜んでもらえるような選曲を心がけてみましょう。

同時に、店内で心地よく過ごしてもらうために音量にも気を配りたいところ。BGMが大音量では話し声が通りにくく、大声で話した結果、飛沫を広めてしまうようでは元も子もありません。利用客に対して心地よく音楽を聴いてもらえるよう、店の混み具合によって音量を調節するなど、細かな気配りを見せたいところです。

音楽ジャンル別で見るBGM効果について

BGMは音楽ジャンルによって利用客(リスナー)に及ぼす効果も異なります。一般的に飲食店では以下のジャンルが好まれています。

クラシック

バイオリンやピアノの音色は格式高い壮大なイメージがあるため、フレンチなど高級レストランのBGMに採用されるパターンが多いようです。一般的に歌詞のない楽曲が多いため、歌詞に聴き入ってしまうことがなくなるため、リラックスして食事を楽しんでもらう効果があります。

ジャズ

メロディやリズムが変則的で、極めて自由度の高い音楽です。気分を高揚させてくれる効果があり、高級店から大衆店まで幅広く対応できる柔軟性が魅力の音楽ジャンルです。クラシック同様に歌詞がない曲も多いため、曲に気を取られることなく、比較的リラックスした気持ちで食事を楽しむことができます。

J-POP

新旧含め、多くの日本人が慣れ親しんだ音楽ジャンルです。BGMとしては無難なセレクトと言えますが、お気に入りのアーティストの曲や青春時代に流行った曲などが流れた場合、つい思い出話に花を咲かせてしまうことでしょう。そのため、利用客を長時間滞在させたい場合に有効です。比較的安価な大衆店向けの選曲と言えます。

演歌

“赤ちょうちん”と呼ばれる居酒屋で好まれる音楽ジャンルです。年配者を中心に根強い人気を誇り、ついお酒が進んでしまう情緒にあふれた曲が多いのが特徴です。ただし若者受けはいま一つで、居酒屋以外ではハマらない独自の雰囲気があるため、ほかの業態で選ばれることはまずないでしょう。

コロナ禍に適応したBGMを

BGMは緊張感を解きリラックスした時間を過ごしてもらうために必要なものです。そればかりか、そのお店のイメージを決定づける要素も秘めています。コロナ禍に揺れる現在、BGMのあり方が見直されています。安全かつ安心して食事を楽しんでもらうためにできることはなにか。そこから再考してBGM選びにつなげてみてください。