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動画クリップを活用したコミュニケーションプラットフォーム、『ClipLine』(クリップライン)

店舗展開ビジネスの悩みを解消するこのサービスの仕掛け人は、経営コンサルタントとしての豊かな経験を持つ、株式会社ジェネックスソリューションズ代表の高橋勇人氏。

インタビュー前編に続く第2弾では、高橋氏にClipLineの導入プロセスだけでなく、クライアント企業から上がっている「喜びの声」や今後の展望にいたるまでお伺いしてきました。

(取材・編集:OMISE Lab編集部、青字:高橋勇人氏

ただの「ツール」じゃない!ClipLineがルール作りから総合支援

経営者の皆さんのなかには現在、「LINE」「facebook」などのSNSを店舗のコミュニケーションツールとして利用している方も多くおられるでしょう。これらのツールは、確かに便利ですが、セキュリティ面に懸念があったり、タイムライン上で情報の蓄積ができないなど、大規模な店舗展開ビジネスに最適化されたツールではないといいます。

高橋氏:

「例えば、6月は梅雨なので衛生管理に気をつけなくてはいけない季節ですが、その期間にやらなくてはいけない事や、出さなくてはいけない指示というのは基本的に毎年同じこと。

ノウハウを体系化することにおいて、情報が流れていってしまうLINEやfacebookの仕様は基本的に適していません。」

「ノウハウの体系化」はまさに、チェーン展開においてサービスのムラをなくすために必須の事項です。前編にてお伝えした通り、動画クリップを用いればチェーン店舗毎の「情報のばらつき」を防ぐことができますが、その動画制作のプロセスにもチェーン企業を長年支援してきたからこその深ーい知恵がこめられているのです。

「弊社が提供しているのはツールだけでなく、いかに経営をよくするかというコンサルティングでもあります。なので、動画による指示伝達リストやマニュアルを作り込むという時点から、弊社の専門スタッフが店舗を訪問して支援させていただいているのです。」

つまり、ClipLineの導入には「どんなシーンで、どんな動画クリップを用意するか」に関するルール設定までがパッケージ化されているということ。企業とディスカッションを交わしながらルール設定を行った後は、通常2、3日を用いて撮影した数百本の動画クリップを、2週間後には編集された形でClipLineにセットして店舗に渡すという工程が続きます。

(写真左)映像技術担当として、撮影・編集法とデバイス研究開発を担っている遠藤倫生(えんどう みちお)氏。「探すのに5年かかった」と高橋氏が賞賛するその能力は、過去に世界トップ1パーセントの写真家に選出された経歴が裏付けています。

(写真左)映像技術担当として、撮影・編集とデバイス研究開発を担っている遠藤倫生(えんどう みちお)氏。「出会うのに5年かかった」と高橋氏が賞賛するその能力は、過去に世界トップ1パーセントの写真家に選出された経歴が裏付けています。

「正しいルール設定」でお店を動かす!

ClipLineのルール設計において重要な点は大きく二つに分けられると話す高橋氏。

高橋氏:

「一つ目はクリップ一覧の体系化ですね。飲食店のホールであれば、『お客様が店に入って来てから出ていくまで』が7つぐらいのプロセスに分かれていていますが、企業様と相談しながら弊社がそのプロセスごとにあるべき動画(クリップ)をセットします。

二つ目は”To Do”です。例えば、『新人は一週間以内にこれをやりましょう』とか『店長は月に一回これをやりましょう』という、”やらなくてはいけないこと”を提示します。」

ジェネックスソリューションズはそのような”To Doリスト”を汎用的な体系として備え持っており、それを使って各サービス業や各飲食店に適した形のルール作りを、クライアントと共に考えていきます。コンサルティングを行う約3ヶ月の期間で、経営者や教育担当者、営業部の責任者とコミュニケーションをとりながら最適な”To Doリスト”を作り上げていくのです。

「見える」チーム作りで仲間意識を高める

さらに重要なポイントとしては、ClipLine内におけるソーシャル機能の存在。この機能を通して店舗スタッフがお互いを知ることによって、仲間意識が育まれ、それが定着率の向上という結果を生み出しているのではないかと高橋氏は考えています。

高橋氏:

「24時間営業の吉野家さんだと朝・昼・夜と時間帯ごとにシフトが組まれており、同じ店舗で働いていてもまったく顔を合わせないケースもある。

シフトによっては普段会わないスタッフが、ClipLineを通してスタッフメンバーの顔写真を見たり、習得したスキルに関して「いいね」を押し合うことができるのです。」

このやりとりを通して、他のスタッフがトレーニングのどの段階まで達しているのか、チーム内で情報が共有されます。それが同じ店舗で働くメンバーにとって刺激となることで、モチベーション高く業務に携わることができるといいます。

「他にもクライアント側から出てきた工夫として、自己紹介動画の導入があります。新入りスタッフがどこの出身で、どんなことをしてきたかが見えれば職場の雰囲気も盛り上がりますし、これが定着率の向上に貢献している隠れた要素なのではないかと思っています。」

相次ぐ「バイトテロ」など、職場の関係性が企業にとって大きなリスクと化している昨今の接客業界。そのリスクの根底にあるのは「顔の見えない」コミュニケーション設計による帰属意識の低下であるという認識が広まっています。

そんな時代にあって、iPadの画面越しに職場の人間関係を充実させるClipLineの取り組みは、まさに「デジタルネイティブ」と呼ばれる今日のアルバイト世代に最適化された育成のありかたと言えるでしょう。

ClipLine、その「確かな実績」と「さらなる飛躍」

それでは、ClipLine導入後にクライアントや現場スタッフなどからどのような声が聞かれたのでしょうか。本部と現場の二つの視点から次のような喜びの声が上がったようです。

高橋氏:

「本部の意見では先にお伝えしたアルバイトの定着率とあわせ、『出店スピードが上がった』というのがありますね。一年間で店舗数を約二倍にした企業もあります。

ClipLine 導入後に店舗数を40から80店舗まで増やして、出店エリアを関西まで広げているケースもあります。」

これもまた驚異的なデータですが、ClipLineの導入に成功した企業は新店舗の「核」となるような熟練スタッフの確保・育成に要するコストを削減できているからこそ、このような成長曲線が描けるのでしょう。そのメリットは、現場レベルにもしっかり伝わっているといいます。

「現場の声ですと、教える側としては『動画では正解が分かるから理解しやすいし指導もしやすくなった』という声が一つ。

逆に教えられる側からは、正解がわかるだけでなく、それを”To Do”という形で学ぶべき順番までルール設計することが出来るので、『学ぶべき順番まで理解できて分かりやすい』というのがありますね。」

現在は、飲食産業を中心に、フィットネスクラブやマッサージ店など「身体のアクション」を伴う業種に採用されているというClipLine。その仕掛け人である高橋氏は、今後の展開としてなにを見据えているのでしょうか。

「インバウンド需要などで盛り上がりつつある飲食産業に関しては、現状では小規模なところで3店舗のラーメン屋さん、大規模では吉野家さんに採用していただいていますが、カバーする範囲をこれからも広めていきたいですね。飲食以外でも、業界を問わずコンサルタントとしての実績を活かして大規模な企業様にリーチしていきたいです。

 機能としては、『アルバイトのモチベーション向上』という強みをさらに発展させることと、スキル習得をより短期化することに関して継続的に注力していきたいと考えています。さらには外国人労働者の増加にあわせて外国語への対応を進めていきたいです。」


現場スタッフの「カラダ」と「ココロ」を動かし、本部とのやりとりをスムーズにする映像コミュニケーション。

そう遠くない未来には、全国展開するチェーン企業が軒並みClipLineを導入している…そんな将来の「標準」が浮かび上がったインタビューでした。

ますますの拡大・成長が見込まれるClipLine、今後もその動向に要注目です!

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店舗BGMアプリ「モンスター・チャンネル」が運営する店舗運営情報magazineの編集責任者。