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今年で第10回目を迎えた居酒屋甲子園

居酒屋甲子園公式サイト

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【大会レポート前編】に続き、全国トップ5店舗による白熱のプレゼンテーションの様子をお伝えします!

【プレゼン #2】燕三条イタリアン Bit

ステージ上で、白と黒を基調としたさわやかな服に身を包んだスタッフがイタリア語で掛け声をあげます。始まったのは、新潟県新潟市中央区にお店をかまえる「燕三条イタリアン Bit」のプレゼンテーション。

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Bitの理念は「お客様を熱狂させること。燕三条を発信すること」

そのためのユニークな取り組みとして、Bitは「食と職人技の融合」を掲げ、これまでの居酒屋になかった付加価値を作り出しています。

「そもそも燕三条は金属洋食器の国内生産量90%以上を生産する一大産地で、そのクオリティーの高さは海外でも認められています」

そう語る表情には地元燕三条に対する誇りが感じられますが、Bitはその誇りを自店のサービスに地元産の洋食器を使用することだけでなく、店内3階にギャラリーを設けることによっても発信しています。

心を込めて作った食器が使われる職人の喜び、さらには地元の魅力を”旬の味覚”で伝える食材の生産者からの感謝…そのような地元関係者の気持ちを動かしながら、Bitは支持を拡大させていったのです。

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さて、どこか洗練された印象を与えるBitですが、そのコスモポリタン性を凝縮していたのが「Think globally. Act Locally.(グローバルに考え、ローカルに行動する)」というスローガン。

この理念は、彼らの人材育成制度にも反映されていたのです。特に驚いたのが、外国人客にも対応できるようにと、週に1度の講師を招いての英会話教室、さらにお客様に非日常の空間を味わってもらうため、スタッフ同士の会話はイタリア語を使っているということ。

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「Please enjoy your meal.」「Thank you!」これは実演された英語接客のワンシーンです。受付からオーダーまでの一連の流れ、とても流暢な英語で違和感を感じません。ここからもBitスタッフのプロフェッショナルな姿勢を強く感じました。

▼ OMISE Labはこう見た!【燕三条イタリアン Bit

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Bitの目指す「食と職人技の融合」には、飲食をつうじてローカル「熱狂」をクリエイトする創意工夫がみなぎっています。「燕三条を美食の町にしたい」…そう語る落ち着き払った表情と、さっぱりとスマートな制服とは裏腹に、地元と飲食業界へのアツい気持ちが感じられました。

【プレゼン #3】かわちどん 黒川本家

「こんにちは!かわちどんです!」

そう冒頭であいさつした彼女は、まだ学生なのではと思われる歳に見えました。

というより、かわちどんのプレゼンターには、いかにもな「居酒屋の大将」を思わせるメンバーはいません。みんな十代・二十代ではないかと思わせるさわやかさで、はつらつとしています。

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「かわちどんには、パワーアップミーティングという、7年以上続く、アルバイトが運営している全体ミーティングがあります。」

すると、スクリーンには「ラーニングピラミッド」についての情報が映し出されました。それによると、他人から一方的に仕事を教えられる場合の学習定着率が5%に留まるのに比べ、自分から声に出して人に教えるほうが、大きな成果(90%の学習定着率!)を得られるというのです。

「インプット」よりも「アウトプット」を重視したかわちどん独自のパワーアップミーティングは月に一度行われ、ディスカッションのテーマを設定するのもアルバイトスタッフ自身。

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彼らのごく普通のアルバイトとは全く違った、主体性や貫禄のようなものを育む秘密は、この徹底したアルバイトスタッフ育成の仕組みにあるのだと思いました。

さらにこのミーティングから、アルバイト発のアイデアが使われることも。

「余った食材で、ミニーちゃんのデコレーション!かわちどんが街をきれいにし、表彰されました!」と嬉しそうにアルバイトスタッフが語れば、「パワーアップミーティングでは、学生が語っている。本気で向き合うスタッフの姿を見て、ここには夢や希望で満ちていると感じました!」とまた別のスタッフが語ります。

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涙ながらに語る彼らの姿を見ていると、飲食業だからこそ経験できる「本当の成長」について痛感させられました。

▼ OMISE Labはこう見た!【かわちどん 黒川本家

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「学生が輝き、夢ある社会人に成長する」そんな地域貢献のあり方を提示したかわちどん。学習定着率というデータから人材育成を考える点、インプットよりアウトプットをしっかり仕組化している点は、来場者にとっても新しい気づきとなったのではないでしょうか。

【プレゼン #4】炭焼厨房 炎家

紺の制服にエプロン、額には丸めたはちまきをまいた身なりが印象的なのは、神奈川県の相模原市に店を持つ「炭焼厨房 炎家」の皆さん。「マチサガ」と呼ばれる町田・相模原エリアに28店舗を展開するキープウィルグループの創業店舗です。

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テーマパークのキャストのように、明るく軽快にプレゼンするスタッフたち。しかし、その中に込められていたのは、スタートしたばかりのころの初志を忘れず、自分たちのサービスをより良くするという熱い意欲でした。

「社員になることが期待されていたアルバイトが大手企業に就職、職を求めて都市へ流れる若者、、、居酒屋での仕事にもっと尊敬を持ってもらうにはどうすればよいのか。」そう語るプレゼンターの言葉に、居酒屋の抱える問題の一端を見た来場者は多かったのではないでしょうか。

この問題解決のために炎家が提示したアイデアは、ある意味もっともシンプルなもの。

「もっと働きやすい職場にするために、炎家は『プロ化』『労働時間の短縮』を実現します!」

プロフェッショナルな職業として居酒屋の価値向上を図るために、炎家が取り入れているのは「トライアングルフォーメーション」と呼ばれる分業制。そこで話される「仕組み作り」のための具体的施策に、会場全体がじっと耳を傾けます。

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料理人が切磋琢磨する場として「フードバトル」と呼ばれるコンテストを開催するほか、サーバーの育成にはスクール制度を取り入れ、店長はグループ横断で店長会を開きレベルアップを図るなど、分業制という仕組みをフルに活かした「知識の深化」のあり方には、OMISE Lab編集部も大いに唸らされました。

創業時には「技術なし、経験なし、金なし」の”ないないづくし”だったという炎家、過去には店舗存続の危機に立たされたこともあるといいます。その復活劇の背後には、地域をはじめ、周りの人の応援があったのです。

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「ひたむきにやっていると必ず周りが応援してくれる」その成長のドラマに、会場の参加者は引き込まれているようでした。

▼ OMISE Labはこう見た!【炭焼厨房 炎家】

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グループが大きくなっても、マニュアルが形骸化されないのは、スタッフ一人一人のひたむきさがあるから。「飲食業は、『誰にでもできる仕事』ではない」という強いプライドを感じさせるプレゼンテーションに、心からの拍手を!


さて、充実したプレゼンテーションも残すところあと一店舗。

大会レポート後編】では、ついに前回大会の覇者が登場します! そして今大会の優勝店舗は…?

お楽しみに!!

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店舗BGMアプリ「モンスター・チャンネル」が運営する店舗運営情報magazineの編集責任者。