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全3回に渡ってお届けする「第10回 居酒屋甲子園」の大会レポートもとうとう最終回。

今回大トリを務めた店舗のプレゼンレポに続き、表彰式の模様、さらには優勝者インタビューまでお伝えします!

【前編】【中編】とあわせてお読みください)

【プレゼン #5】 感動のもつ鍋処 陽はまたのぼる 竹田本店

大トリをつとめる「陽はまたのぼる 竹田本店」は、前回大会の優勝店舗である「陽はまたのぼる府内店」の姉妹店。

トレードマークのTシャツに身を包んだ一団はとにかく元気いっぱい! プログラム終盤の疲れを吹き飛ばし、会場は彼らの空気感にのまれていくようでした。

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まず、来場者の目に留まったのは、竹田市の人口構造。人口の40%を65歳以上の高齢者が占めるというデータからは、少子高齢化の一途をたどる日本の将来像が浮かび上がります。

そんな人口減少になやむ地域の「クールローカル」として、もつ鍋の宅配サービスや地元産食材の使用などが紹介されていくなか、特に印象的的だったのは行政との連携

実際、竹田市役所の方が登壇し直々にスピーチした時は、居酒屋甲子園の雰囲気が少し引き締まる感じがしました。行政も関わったメディアでの広報活動、陽はまたのぼるを通じたUターン、Iターン就職の活性化など、居酒屋と行政の助け合う姿には、居酒屋の新しい可能性を感じさせます。

さらに地方の強みとして特筆すべきはお店の家賃対比。陽はまたのぼるの家賃費は売り上げに対してたった2%ほど、繁忙期には1.2%にまで下がるといいます。これには会場から思わず「おおっ!!」という声が上がりました。

しかし、明るい話題ばかりではありません。2015年7月に彼らを見舞ったのは、姉妹店である「陽はまたのぼる 府内店」での火災。

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「お店を離れた1時間の間に起きた火災…あのときどうしてお店を離れたのか!」会場の雰囲気は一変し、急に重たい空気が会場を包みました。

火災のリスク、恐ろしさを会場が改めて認識する機会を与えてくれた陽はまたのぼる。

しかし、「苦しいとき、支えてくれたのはお客様、仲間、竹田市の皆さんでした」とプレゼンターが語ったとき、ひたむきなリスクマネジメントで困難を前向きに乗り切ることの重要性を会場全体に気づかせてくれました。

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 ▼ OMISE Labはこう見た!【陽はまたのぼる 竹田本店】

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「店づくりは町づくり」…地方からの期待に応え、一体感を共有することで仲間がついてくるという一貫したメッセージは飲食業を通じた地方創生のあり方を感じさせてくれました。「陽はまたのぼる」という店名に込められた竹田市への愛情が日本全国に広まる日は、決して遠くなさそうです。

いよいよ表彰式!気になる優勝者は…?

ファイナリストたちによる堂々たるプレゼンが終了した後は、来場者による投票タイム。

各来場者が「もっとも『学び』と『気づき』を与えてくれた」と思ったお店のバケツに、配られたコインを投入する投票システムです。

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会場では、全国優秀店長の表彰が。

居酒屋甲子園は第7回大会より「志と成果を残せる店長」を対象にした「店長認定制度」を発足。

今大会で表彰されたのは「ドリンク飲み放題、ソフトクリーム無料」と思い切ったKIDS会員サービスの実施により業績のV字回復を果たした「名古屋名物味噌とんちゃん屋 甚目寺ホルモン」の加藤秀太さん、

そして家族のようにスタッフを大切にし、「アルバイトスタッフの平均勤続年数4年」という驚異的な実績を作り出した稲毛海岸北口「串屋横丁」の渡辺真一さんのお二人でした。

さて、いよいよ表彰式。栄えある優勝店舗を決定する緊張の瞬間です。

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第10回居酒屋甲子園、優勝店舗に輝いたのは…

新潟市「燕三条イタリアン Bit」!!!

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地域の魅力を「五感」を通じてアピールする「食と職人技の融合」というユニークな施策と、「Think globally. Act locally.(グローバルに考え、ローカルに行動する)」という方針が評価されての表彰となりました。

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Bitの皆さん、本当におめでとうございます!!

優勝店舗インタビュー

大会終了後、見事優勝店舗に輝いた「燕三条 Bit」オーナーシェフの秋山 武士さんに囲み取材が行われました。

OMISE Lab編集部もこの機会に、「地域飲食業界での情報共有の取り組み」について質問を伺いました。

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秋山さん:「自分が加わっているわけではないのですが、新潟維新会という飲食を中心とした地域活性のためのグループがありまして、その先輩方と飲みに行きながら情報交換をしています。第9回大会に出場したサトシさん(Soi代表・山崎聡氏)など、錚々たる先輩たちに比べれば自分たちはまだまだ一方的に教わる立場ですが(笑)」

大会総評:敗者のいないステージ

秋山さんのインタビューにもあった通り、「クールローカル」という第10回大会のコンセプトは一つの店舗だけで成立するものではなく、地域の他飲食店や地元住民たちとの二人三脚の関係性があって始めて実現可能なもの。

「共に学び、共に成長し、共に勝つ」という居酒屋甲子園の理念は、ステージ上で切磋琢磨しあう大会出場店舗だけでなく、彼らの戦いを見守る私たち一人一人にも託されているのです。

私たちの日常とは切っても切れない飲食業界から、日本を元気に。この大会レポートがその一助を担えたことを、切に願ってやみません。

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magazine 編集部

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店舗BGMアプリ「モンスター・チャンネル」が運営する店舗運営情報magazineの編集責任者。