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近年、グローバル化の加速により、さまざまな国から観光目的でやってくる方が増えてきています。飲食店としては、ぜひそうしたお客様の集客も狙いたいところ。
しかし、外国人観光客の方々の集客を考えるのなら、外国語での接客や多言語メニューの作成はもちろん、文化や価値観の違いをしっかり理解し、対応しなければいけません。
たとえば、ベジタリアン/ヴィーガンもそのひとつ。健康や美容のためではなく、倫理的な理由や宗教的な観点からそうした食生活を選択している人もいます。そのため、間違った対応をとってしまうと、大きな問題になることも……。
そこで、今回はベジタリアン/ヴィーガンを中心に、食に対する価値観を学んでいきましょう。

ベジタリアン・ヴィーガン対応の必要性とは?

日本政府観光局(JNTO)の発表によれば、2019年の訪日外国人数は3188万2,000人。前年比2.2%増であり、統計を取り始めた1964年以降過去最高の数字を記録したことが明らかになりました。

さらに、日本政府は外国から訪れる人が増えるのは、宗教や価値観、ポリシーの違いから多様な食に対する価値観を持った人が来ることでもあります。

ただ、訪日外国人観光客からは「メニューから使われている食材などがわからず、注文をする際に困ってしまった」という声も聞かれており、早急にメニュー表示の対応が求められている状況であることも事実です。

日本ではベジタリアン/ヴィーガン向けのお店が少ないことも課題となっていますが、以前より健康食が豊富な国として世界から注目を集めています。その理由は、豆腐や大豆料理のほか、昆布や椎茸など動物性の食材以外でとれる出汁がベジタリアン/ヴィーガンにとって魅力となっている点にあるのでしょう。

今回は、そんなベジタリアン/ヴィーガンの方々に関する基礎知識をはじめ、嬉しいお店づくりのポイントなどを解説します。

※参考データ 日本政府観光局「訪日外客統計の集客・発表」

食べない基準は人それぞれのベジタリアン

自身の健康や価値観、そして途上国支援や環境問題……ベジタリアンの人々は、さまざまな理由で食べるものを選択しています。

基本的に草食主義のベジタリアンですが、それぞれの考え方によって、食べる/食べないの基準が分かれることも。事実、肉は食べないけど魚は食べる(イン・ミート・イーター)、卵は食べないけど乳製品は食べない(ラクト・ベジタリアン)といったように、細かな分類があるようです。

ポゥヨゥ・ベジタリアン=鶏肉のみ食べるが、その他のお肉は食べない。
イン・ミート・イーター=肉のみ食べないが、魚・乳製品はOK。
ラクト・オボ・ベジタリアン=肉・魚は食べないが、卵や乳製品はOK。
ラクト・ベジタリアン=肉・魚だけでなく、卵も食べない。

ベジタリアンの中には鶏卵を食べる方もいるものの、魚の腹を割いて取り出すことから魚卵は食べないケースも見られます。事前に魚卵に関して確認しておけば、トラブルを防ぐことも可能です。

ベジタリアン用のメニューは考えやすく、取り入れやすいので、飲食店としては狙いやすい集客ターゲットと考えられます。

絶対草食主義者のヴィーガン

もともとヴィーガン(Vegan)という単語は1944年のイギリスにおいて生まれた言葉であり、ベジタリアンよりも徹底した絶対草食主義者を指しています。

ヴィーガンの人々は、動物愛護の観点から生き物に苦しみを与えることを嫌い、動物の肉はもちろん、卵や乳製品を食べません。さらに本革や毛皮、ウールやシルクの洋服や動物実験を経て生産された化粧品など、動物由来の素材が使われる製品を身につけることも避けます。

ビーガンの人が食べないもの
・肉、魚
・卵、バターや牛乳などの乳製品
・はちみつ
・ゼラチンなど、動物由来の成分を使ったもの
……など

ある程度の個人差はあるものの、ベジタリアンとヴィーガンの大きな違いは「卵や乳製品を食べるかどうか」、「食事以外でも動物由来の素材の利用を避けるかどうか」を基準としても良いでしょう。

ヴィーガン向けレシピ・認証マークで集客

NPO法人ベジプロジェクトジャパンでは、一定の基準を満たす料理を提供する飲食店に対し、ベジタリアン・ヴィーガン認証マークを与えています。この認証マークの提示により、国内外を問わずベジタリアン/ヴィーガンの方々が安心して来店できるようになります。

肉や魚を使用しないメニューを考えるのは、難しく感じるかもしれません。そんなときは、ヴィーガンの方向けの食材を使ってみてはいかがでしょうか?

たとえば大豆から抽出したタンパク質をお肉のように加工した大豆ミートや、豆乳を利用した豆乳チーズをはじめ、年々さまざまな食材が専門ショップで広く取り扱われています。グルテンフリーの米粉などを利用すれば、一般のメニューと変わらないデザートを調理することもできるでしょう。

※参考サイト 菜食食材ショップ「かるなぁ」

イスラム教徒にも配慮を!ハラルフードについて

ベジタリアンやビーガンとは背景が変わってきますが、イスラム教徒に関することも知っておきましょう。

日本では馴染みが薄いイスラム教ですが、世界的に見るとキリスト教に次いで信仰者の多い宗教。

イスラム教徒には、宗教上の理由で禁止されている食材があります。ベジタリアン/ビーガンのように“食べない”のではなく、 “食べられない”のです。

たとえば、イスラム教徒は豚を食べたり、お酒を飲んだりすることが禁止されています。

また、地域や宗派によって多少の差はあるものの、「豚を食べないことはもちろん、それらのエキスなども口にしない」「屠殺はムスリムが行うこと」「血を食すことができないので、完全な血抜きが必要」「輸送時には豚が同乗してはならない」など、多くの決まりごとも……。

そうした戒律の中で食べられるものを、「ハラルフード」と呼びます。

イスラム教徒にも対応できれば良いですが、日本では欠かせない酒・みりん・醤油(保存料としてアルコールが添加されることあり)も使えず、材料の仕入れにも注意を払わなければならないため、できる調理方法やメニューは限られてきます。

ですが、ビーガンと同じく、イスラム教徒用のハラルフードを使えば、メニュー考案は不可能ではありません。通販サイトなどを参考に、いろいろ考えてみましょう。

※参考サイト ハラルフード専門店「SaidShop」

※もっと詳しく知りたい方はこちら→ハラルフードとは?適切な提供がインバウンド集客につながる

グローバルな時代だからこそ、多くのお客様に愛されるお店作りを

昨今の日本では、訪日旅行客だけではなく、海外から移住する人も増えてきています。

これまでは、ベジタリアン/ビーガンなど多様な食文化への意識が低かった日本。今後グローバル化が進み、国籍や宗教などさまざまな文化が増えれば、飲食店が提供する食事にもますます多様性が求められてくるでしょう。

さまざまな文化や宗教を正しく理解し、どんな方でも楽しめるように、柔軟に対応できる体制を作る。そうすれば、たくさんのお客様に喜ばれるお店に変身することができるはずです。

より多くの人に愛されるお店を目指していきましょう!

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店舗BGMアプリ「モンスター・チャンネル」が運営する店舗運営情報magazineの編集責任者。