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シェアリングエコノミーという言葉を聞いたことがある方もいるかもしれません。シェアリングエコノミーとは、 モノ・サービス・場所などを、多くの人と共有・交換して利用する仕組みのこと。主なシェアリングエコノミーには、UberやAirbnbなどがあります。その中でも「ecbo cloak(エクボクローク)」は、空いたスペースを荷物預かり所にできる今大注目のサービスです。

ecbo cloakはどのようなサービスで、今後どんな展開を計画しているのか。また、シェアリングエコノミーの将来はどうなるのか。今回、ecbo株式会社執行役員の井坂陽氏に聞きました。
 


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お店の「空きスペース」をシェアして集客&副収入。ecbo cloakのサービスとは

――ecbo cloakのサービスについて教えて下さい。

井坂陽氏(以下・井坂氏):ecbo cloakとは、「荷物を預けたい人」と「荷物を預かるスペースを持つお店」をつなぐシェアリングサービスです。カフェや美容室、郵便局、一部駅構内などといったお店や施設の空きスペースに荷物を預けることができます。利用方法はアプリまたはウェブから荷物を預けたい店舗を探し、荷物を預ける「チェックイン」、荷物を引き取る「チェックアウト」の日時、荷物の数を指定して予約します。チェックイン日は荷物を預けるだけです。チェックアウトの時も、指定した時刻に荷物を引き取るだけになっています。料金に関しては、最大辺45cm未満のバッグサイズであれば1日300円、最大辺が45cm以上のスーツケースサイズであれば1日600円で預けることが可能です。

導入するお店側のメリットは、無料でオーナー登録ができ、荷物を預かるだけで副収入や、「ついで利用」による集客が期待できる点です。万が一紛失や破損、盗難があっても最大20万円まで補償するという保険も整備されています。またサービスがシンプルで多言語対応もしているため、コミュニケーション面でも心配することなく、導入していただけます。

――ecbo cloakができたきっかけを教えて下さい。

井坂氏:2016年の夏のある日、代表の工藤(慎一)が渋谷駅を歩いていた際、外国人観光客に声を掛けられたそうです。その外国人はコインロッカーに大型のスーツケースを預けたかったが見つからず困っており、工藤も実際に一緒になって探しましたが、結局どこも埋まっていて、40分探し回っても預ける場所を見つけることができませんでした。不便さを感じた工藤氏は、この経験からコインロッカー不足の課題に気づき、ecbo cloakの構想を思いついたのです。

――実体験をヒントに、サービスを立ち上げたのですね。サービスの立ち上げに際し、どのように加盟店を開拓していったのでしょうか?

井坂氏:記念すべき最初の一店舗は、渋谷のカフェから始まっています。実は、このカフェと提携した時は、まだプロダクトが無かったのです(笑) そのため、資料で「私たちはこういうサービスをしようとしていて、こういう世界観を作りたい」というビジョンと想いを伝え、賛同いただけたことで提携に至りました。

そういう経緯があるので、最初の頃は個人営業や美容室の加盟店が多かったですね。美容室はカットに来るお客様の荷物をもともと預かっていたりもするので、スペースもある。受付の方もオペレーション自体は問題なくできるのです。

――誰でもecbo cloakを導入できるのでしょうか?

井坂氏:基本的にはお店や施設であること、「荷物を預かるスペース」と「タブレット端末」があり、スタッフが常駐していることなど、ecboが設ける審査基準さえ満たしていればすぐにecbo cloakを導入いただけます。個人で利用できない理由としては、ecbo cloakが「営業時間」という概念を大事にしているからです。急に予約が入ったときに、自宅に誰もいないという可能性もあります。営業時間があるということは、必ず誰かスタッフがいるということですから、事故やトラブルが起きにくいですよね。また、加盟店情報としてHPに住所と電話番号も表示され、誰でもページにアクセスできますので、プライバシー保護の意味でもご遠慮いただいています。

単なる荷物預かりにとどまらない、ecbo cloakの今後の展開

――実際にecbo cloakを利用して得られるデータなどの活用については?

井坂氏:活用方法は今後も様々あるかと思いますが、例えば利用されやすい店舗や時間帯、ユーザー特性の分析から、より利便性と質の高いサービスを、より多くの方に提供できるよう、日々の改善と開発に繋げています。

――例えば同じ店舗でリピート利用したらクーポンを発行する、というようなことも考えていますか?

井坂氏:考えています。例えばecbo cloakを利用してカラオケ店舗に荷物を預ければ、「30分無料券」がもらえるとします。カラオケ店舗側にしてみれば、まず30分でも歌い始めて延長してもらえれば嬉しいですよね。

――特にインバウンドの人にとっては、無料券は嬉しいですよね。

井坂氏:これは利用者側の心情だと思いますが、例えばカフェでecbo cloakを利用する場合、コーヒー一杯とか、せっかくだから夕ご飯を食べていこうとか、ついでにそのお店を利用してくれる場合が結構あるのです。ecbo cloak加盟店のあるおにぎり屋さんの例をあげると、インバウンドの方にとっておにぎりは「日本のソウルフード」ということで、荷物を預けたついでに商品を買って帰る方も多いようです。

――資金調達などもされたと伺っています。

井坂氏:はい、直近ではJR東日本、西日本、メルカリ、それからプロサッカー選手の本田圭佑氏などから資金調達をしています。サービスの可能性や新規性、代表の工藤の人柄、熱意に共感し、出資していただいています。

――今後の展開についても教えていただけますか?

井坂氏:現在は飲食店など、あるスペースに荷物を預ける「一時的な荷物預かり」サービスのみ行なっていますが、将来的には、預かった荷物を空港等へ配送するなどのecbo cloakをさらに発展させたサービスも需要に応じて検討していきたいと思っています。また、日本国内に止まらず、世界500都市へのグローバル展開も目指しています。

そのためにも、まずは、国内の需要に対しての供給を確保し、オペレーションを確立させなくてはと思っています。

「半径500m以内に預けられる店舗がある」を目指して

――渋谷・恵比寿近辺でも、利用できる店舗がたくさんありますね。

井坂氏:ユーザー様に安心して使っていただくには、日本全国どこでアプリを開いても「半径500m以内」に預けられる店舗があるという状況を作ることが必要です。お陰様でサービスを利用したいという店舗様が増えてきています。

『ワールドビジネスサテライト(テレビ東京)』や『news zero(日本テレビ)』をはじめ、多数のメディアにも取り上げられているので、メディアをみて店舗オーナーの方からお問い合わせをいただくことももちろんありますが、基本的には私たちから営業をして加盟いただくほうが多いですね。

――全国的に、どのくらいの店舗と提携しているのでしょうか? ある程度カバーできているのでしょうか?

井坂氏:全然足りないと感じています。なぜなら、まだまだコインロッカーの供給に追いついていないからです。全国のコインロッカーの数は約22万個なのに対して、需要を満たすためにはまだあと30万個足りないと言われています。ecboでは、現在店舗としては、1000店舗以上の加盟店がありますが、まだ供給は足りていません。そのため、今も引き続き加盟店の開拓に力を入れています。

――2025年までに500都市を目指すということですが、海外も視野に入れているということでしょうか?

井坂氏:その通りです。今は日本のみで展開しているサービスですが、私たちはUberやAirbnbのような世界で使えるシェアリングサービスを目指しています。ユーザーからも「このサービスを海外でも使いたい」という声をいただきます。

需要のあるところにはどんどん展開をして、世界中で使えるようなプラットフォームを、そして「世界中どこにいても、自分が必要とするモノにアクセスできる世界」を作っていきたいと考えています。

将来、シェアリングエコノミーは日本に浸透していくのか

――将来、ecbo cloakをはじめ、シェアリングエコノミーは日本に浸透していくのでしょうか?

井坂氏:日本でこそ、どんどん浸透していくと思います。シェアリングエコノミーの考え方自体は、日本に古くから存在する「おすそわけ」を、テクノロジーと掛け合わせて現代的に進化させたものだと思っています。本来は、日本人の精神性に合っているはずなのです。

実際に、「メルカリ」などは日本人にとっては、どんどん当たり前のものになってきています。私たちを含めてシェアリング事業者にとって重要なことは、「やってみる」というハードルを極限まで引き下げることだと思います。そうすれば、その利便性を実感することができ、日本人の精神と相まって、浸透が進んでいくと考えています。

ecbo cloak(エクボクローク)

 


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店舗BGMアプリ「モンスター・チャンネル」が運営する店舗運営情報magazineの編集責任者。