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onakasuita株式会社/mannaka株式会社と2つの会社を経営する柴田雄平さん。ヨーロッパでの旅を経て、食品に関するマーケティングもこなしていく上で、従来の働き方に疑問を持った柴田さんは、自身の企業である取り組みを行っています。

みなさんがイメージする、「飲食店での働き方」を一転させてしまうようなその働き方とは、どのようなものなのでしょうか?

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食×マーティングで幸せをつくる!柴田雄平氏が提案する、新しい飲食店のカタチ【前編】

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柴田雄平インタビュー

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全員が経営者だから、自分の働き方は自分で決めることができる

─ ヨーロッパの旅で、家族との時間を大切にしながらも仕事をプロフェッショナルに行うという、現地の人たちの働き方を見たと言っていましたが、それを実現させるために行っている取り組みはありますか?

飲食店で働くというと、ものすごく大変なイメージがあると思うんです。労働時間も長いし、休みも少ないし、給料も安い、という。僕はそれを変えたいんです。

だから、僕の会社は、土日祝日はすべて休みにしています。もちろん、店舗も休業日です。それに加えて、給料も能力給+固定給+インセンティブ制、という形にしています。

昇給の基準がないので、店舗の売上げを上げれば上げるほど、給料があがる仕組みになっているんです。

さらに言うと、朝の出勤時間も決まっていないんです。店舗は11時半にオープンしますが、「オープンした時間にお客様が来て、そのお客様を100%満足させられればOK」ということにしています。だから、11時29分に出勤して、1分で準備が間に合うのならそれでもOKなんです。

柴田雄平インタビュー

それから、うちの会社の店舗には店長がいません。全員が責任者、ひとりひとりが経営者、という考え方です。そうすると、自分たちが事業を回している感覚が出てくるし、がんばったらがんばったぶんだけ給料になるし、時間も自分で決めることができます。

また、ランチタイムが終わったあとに、夜の時間まで3時間の空き時間があるのですが、その時間に自分のビジネスをやってもいいよ、ということにしています。みんなその間の時間をうまく使って、いろいろなことに取り組んでいるようです。

今いるスタッフがしていることだと、ノベルティを作りたくてアパレル企業へ営業をしに行ったり、プランニングの練習をするために僕の指導を受けたり、レシピの開発をしたくて料理の相談してきたり、といった例がありますね。

─ 従業員の方も、独立志向は強いのでしょうか?

僕の会社では、自分の店舗を持ちたいと思ったら、うちの会社のお金を使えばいいよ、と言っています。飲食店を開けようとしたら、どんなに小さいお店でも1000万円くらいはかかってしまうんです。そのために自分のお金を使うのって、もったいないと思いませんか?

きちんと利益が出るお店をつくってくれたら、会社が投資してあげてもいいと思うんです。だから、僕はそれを実現させようと思っています。

─ 飲食店で土日休みという店舗は、ほとんどないと思います。でも、土日が休みだと思えば、働きたいと思える人も増えるかもしれませんね。

月火休みだったら、会社勤めをしている友達と予定が合わないでしょう。せめて有給制度をつくってあげて、どんどんみんなが働きやすい環境をつくるっていうのが僕の目標なんです。

でも、仕事以外でも必要な時間だったら、僕は惜しまずに使います。実は、今日も朝8時から飲食の外食事業部のメンバーと、築地に行ってきました。みんなが魚の勉強をしたいって言うから、一緒に行ったんです。課外授業のようなものです。

週に一度のミーティングで、お互いのビジョンを認識し合う

─ お話を伺っていると、スタッフ同士の仲がとても良いようです。そのような職場環境をつくるために、心がけていることはあるのでしょうか?

毎週火曜日に、1時間だけみんなでミーティングする時間をつくっているのですが、その1時間をものすごく重要視しています。その日しかないから、全員がきちんと準備もしてくるし、プランニングもしてくるから、とても濃い時間になるんです。

▼ 青空の下で合同ミーティングを行う、「おはし」と「おわん」のメンバーたち
柴田雄平インタビュー

それから、僕のことを社長と呼ぶメンバーもひとりもいなくて、アルバイトの子も僕のことを呼び捨てで呼んでいます。

僕とスタッフのあいだには「お店を良くする」という価値だけがあればいいと思っています。だから、例えばアルバイトに皿洗いや雑用を指示されたとしても、それでお店が良くなるのなら僕もやりますよ。

お店を良くする、という共通の価値を作って、僕たちはお客様からお金をいただいているんです。上下関係という概念も一切ありません。店長がいないのも、同じような考え方からです。

例えば、お客様の立場から見て、スタッフの中で誰が一番偉いかなんて、わからないですよね。もしもクレームがあったとしても、店舗のスタッフ全員で謝ればいいと思っています。

お客様は店長にお金を払っているわけじゃない、お店にお金を払っているんです。だから、僕の店舗では全員でクレーム対応をすることにしています。全員に責任があるし、全員でそれが起きちゃった理由を考えればいい。

でも、実はクレームがきたことが今まで一度もなくて、全員で謝りにいったこともまだないんですよね。

─ 全員が責任者、という意識で働いているから、結果としてクレームが起こらないのかもしれませんね。

企画するということは、価値を生み出すということ

柴田雄平インタビュー

─ さまざまな企業や業種で、「企画する」という場面はいろいろあると思います。柴田さんが考える、企画するということのおもしろさや、醍醐味はありますか?

例えば1つの企画で、そのとき限りで終わってしまうものもあれば、長く続くものもあります。僕は長く続くものがおもしろいと思ってて、それが流行りとかトレンドになっていくのが好きなんです。

より多くの人に愛される、日本人全員に愛される仕掛けってなかなかありません。どんなことしたら実現できるのかな、と常に考えています。

僕は、企画とは価値だと思っています。自分がやった企画でおもしろいとか楽しんでくれる人がいればそれで良くて、それは企業でも同じです。企業は価値をお金に変えればいいわけだし、コミュニティだったら価値を共有できればいい。

僕は人と共有してつくる価値というのをものすごく大事にしています。企画を、誰かとつくるということです。それから、恩返しをすること。僕の生き方はすごくシンプルで、価値をつくるということ、恩返しをすることの2つだけです。

いっしょに価値をつくった人にはもちろん、価値を使ってくれた人にもお金を払った分の価値を与える。いろいろな人たちに価値をつくる。そんなことばかり考えてる。それは、どんな企業で仕事をしても、いっしょだなと思うんです。

さまざまな価値の与え方はあるけれど、食はいちばん身近だし、わかりやすい。それで、絶対になくならない。「ごはんを食べるのが好き」。結局、そのような思いでずっと食に関わって行きたい、と思うんですよね。

インタビューを終えて

経営者という立場でもあり、日々忙しく働く雄平さん。しかし、雄平さんは「仕事」というよりも、純粋に食事をすること、人と関わること、そして関わった人たちと素晴らしい「価値」を生み出すことを心から楽しんでいると、お話から感じることができました。

今後もどんなおもしろい企画を生み出してくれるのか、楽しみにしています。ありがとうございました!

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magazine 編集部

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店舗BGMアプリ「モンスター・チャンネル」が運営する店舗運営情報magazineの編集責任者。