お店を始めることは多くのお金や場所が必要になり、なかなか気軽に実行することはできません。しかし、「自宅でお店を始める」と思うともう少し気軽に感じ、やってみようと思う人も多いことでしょう。
「会社勤めをやめて、自分の好きなお店を開きたい!」
「子育ての合間に、自宅の一室を使ってお店を始めたい!」
そんなふとしたきっかけで、自宅での店舗開業を考えている人もいるのではないでしょうか?
いざ思い立っても、いったい何から始めていいのか、本当にはじめても大丈夫なのか……と、不安はたくさんあるはず。こちらの記事では、自宅開業のメリット・デメリット、開業届や確定申告の申請方法などについて詳しく解説していきます。
自宅開業のメリットとデメリット
自宅開業のメリット
自宅開業のメリットは、何と言っても初期費用が大きくかからない点にあります。
店舗を借りることになれば、物件を借りるための時間もお金も必要になりますし、飲食店や雑貨店などの設備を要する商売を始めるのであれば、これに加えて什器や調理設備も必要になります。
自宅開業ならこれらのコストが大きく抑えられるほか、経営が失敗したときの負担も小さく済みます。
また、自分の時間が確保しやすいのも大きなメリットです。家と店舗の距離がゼロのため、家事なども空き時間にすることができます。
自宅開業のデメリット
店舗の種類にもよりますが、第一に場所の確保が難しいことがあげられます。飲食店や雑貨店などはあまり多くの席数を用意できないことも、ネックになるでしょう。美容院やマッサージサロンなどを運営するときも、ある程度空間にゆとりが必要になってきます。
また、集客における難点も存在します。住宅街にある場合、近所の人たち以外の人通りはほぼありません。また、自宅の住所を公開することになってしまうため、場所を堂々と宣伝することも難しくなってしまいます。
自宅にさまざまなお客様を招くことになるため、近隣に住む人たちや家族の理解も必要です。仕事とプライベートが混同しがちにならないために、自分自身の気持ちの切り替えをしっかりと行う必要があります。
集客時のポイントについて
どうやってお客さんを集めればいいの?
住宅街で人目につきにくい立地にあったり、住所の公開に抵抗があったりと、集客にはデメリットが多い自宅開業。ここをクリアするためには、普通のお店以上に努力が必要です。
大切なのは、何よりもお店を知ってもらうこと。そこで、自分の業種のお店があつまるイベントなどに、積極的に参加するようにしましょう。
イベントに出店して、そこで出会ったお客さんだけにチラシやパンフレットを配れば、必要以上に情報が拡散する心配もありません。また、そこで自分のお店のサービスを受けた人が、口コミを広げてくれることもあります。
そうすればお店に興味のある人の間だけで情報が広がっていくので、いたずらで住所が利用される可能性も低くなります。
ご近所との付き合い方はどうすればいい?
マンションやアパートなどで開業する場合、トラブルになりやすいのが近所付き合いです。
大型ショップのように1日何百人と出入りするわけではありませんが、建物に関係のない人間の出入りや、話し声、騒音が増えることに違いはありません。
そのため、まず行わなくてはいけないのは管理者への確認・相談です。せっかく開業をしたのにも関わらず、他の住民からの苦情で管理者から廃業勧告を受けてしまう場合もあります。
一軒家の場合でも、規定によっては開業できない場合があるため、あらかじめ管理者に確認しておく必要があります。
業種にもよりますが、人の声やBGMなどの騒音、セキュリティ面での不安感など、配慮すべき点がたくさんあります。住民だけでなく、お客さんにも不快な思いをさせてしまう可能性もあります。
そうならないためにも、事前に近隣住民には開業時はもちろん、その後も定期的に挨拶をし、理解を得てもらう必要があります。
開業届について
開業届を提出するメリット
次に開業届についてみていきましょう。開業届とは、個人事業の開業を税務署に知らせるための届出で、事業開始から1か月以内の提出が推奨されています。
提出しなくても罰則等はありませんが、確定申告を節税効果の高い「青色」でする場合には提出が必須となります。また、屋号(お店の名前や事務所名)で銀行口座が作れるのもメリットのひとつです。
開業届の出し方
開業届は所轄の税務署へ提出します。通常2部(提出用と控え用)を作成し、税務署で控え用に受付印が押されて返却されます。届出書には屋号を記入する欄もありますが、なければ省略しても問題ありません。
また、税務署に開業届を提出する際に本人確認書類の提示が必要な場合がありますので、マイナンバーカードを持っている場合はそのカードを、通知カードしか持っていない場合は、免許証やパスポートなどを持参しましょう。
確定申告について
確定申告をする理由とは?
店舗経営に限らず、個人事業を始めるときに避けては通れないのが税金の問題です。法律では所得の金額が20万円以上になった時点で、税務署に対して申告を行わなくてはいけません。
さまざまな制度により、一定額までは無税で済みますが、その場合でも所得が20万円を超えていれば申告義務があります。義務を怠れば加算税などのペナルティのほか、最悪の場合は刑事罰が科される場合もあります。
税理士についてもらったり、税務署に出向いて相談に乗ってもらったりし、対策をとりましょう。
白色申告・青色申告の違い
確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2通りの申告方法があります。
白色申告は、所得税や法人税の確定申告の際、青色申告の申請を行なっていない方が選択することになる申告方法です。簡単な記帳による収支内訳書の提出のみで済むので、青色申告よりも作業負担を減らすことができますが、節税の恩恵を受けにくいのが特徴です。
一方で、青色申告は複式簿記による記録と貸借対照表と損益計算書の添付が求められるものの、税金の面で有利な特典を受けやすいため、多くの事業者がこちらの方式で確定申告をしています。
確定申告の流れ
確定申告の基本的な流れは以下の通りです。
- 確定申告書・収支内訳書・青色申告決算書など必要書類を揃える
- 帳簿の整理
- 確定申告書類の作成
- 書類の提出
- 納税
詳しくは「国税庁」のホームページに情報が掲載されているので、必要書類などとともにチェックしながら進めてください。また、クラウド会計ソフト「freee」や「MoneyForwardクラウド」など、無料で使用できる確定申告用のフリーソフトもあるので、あわせて活用することでスムーズに申告を行うことができるはずです。
おわりに
気軽に始めることができそうで、自宅で好きな商売をすることができる自宅での店舗開業。しかし、メリットだけでなくデメリットもしっかりと理解し、周りの人のことも考えたうえで開業を決めましょう。
自宅開業の場合も、業種によっては店舗スペースと生活スペースをしっかりと分けるよう、定められている場合もあります。保健所や各市町村の申請内容や基準をきちんと確認しましょう。
しっかり計画を立て、周囲の人に配慮しながら開業計画を立てれば、自宅での店舗開業はメリットがたくさんあります。趣味や特技を活かして、お店を始めてみてはいかがでしょうか?