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店舗経営者であれば黒字経営を継続的に維持したいと思うのは自然なことでしょう。しかし現状赤字が続いている場合、その理由や赤字から抜け出す方法が分からないと悩む方も多いのではないでしょうか。

今回は、店舗の経営が悪化してしまう要因と、赤字経営から脱却する店舗の再生方法を紹介します。

そもそも赤字になる理由とは?

売上が少なければ赤字になる可能性が高いですが、売上が多いにもかかわらず赤字に陥ってしまう場合があります。売上が順調な店舗の赤字要因としてあげられるのが、経費の配分です。店舗の赤字の要因となる経費の特徴や、適切な経費配分について解説します。

FLコストが60%以上になっている

FLコストとはFood and Labor costの略で、材料費と人件費を合わせた数値のことです。材料費と人件費は店舗運営の中でも多くの割合を占める費用なので、可能な限り抑えることが黒字にするためのポイントです。また、FLコスト÷売上でFL比率を求めることができ、一般的にFL比率は60%が標準といわれています。

FL比率が60%を超える場合、飲食店であれば食材費、サロンであればカラーなど施術に使用した材料を削減するための工夫が求められるでしょう。ただし、材料費と人件費の抑え方によっては、サービスの低下や従業員の就業意欲の低下などが懸念されるため、削減方法には注意が必要です。

◎:【飲食店経営者必見!】“FLコスト”を意識して自店の売上を上げよう

固定費・変動費が適切でない

店舗の経営には材料費や人件費以外にもテナント料、設備のリース代などの固定費がかかります。固定費は売上の15~25%以内が適切とされているので、25%を超える場合、経費が増え利益の減少につながります。

アルバイトやパート従業員の多い店舗では、シフトによって給料が変わるため、人件費を変動費と見なす方が計算しやすいでしょう。また、原価の変動、繁忙期と閑散期で仕入れる材料数を変更するなどで材料費も変動するため、材料費も変動費に含まれます。

その他に光熱費、宣伝広告費、クレジットカード手数料などが変動費に該当します。売上に対する変動費の割合は60~70%が適切とされています。

固定費と変動費は合わせて売上の90%以内に収めることが理想です。ただし、高級さを売りにした店舗の場合、接客のプロを雇う、高品質の材料を使用したメニューを提供するなどでFLコストを削るのが難しいこともあるでしょう。

店舗の質を維持するために、まずは固定費を抑えることをおすすめします。固定費が抑えられれば、売上に関係なくかかる支出を抑えられるメリットがあります。

変動費も見直す必要があれば、光熱費や消耗品費の節約など、提供サービスと従業員への影響が小さい範囲で調整しましょう。

◎:最適な固定費と変動費とは? 店舗の経費を徹底解説

赤字転落を再生する方法

店舗が赤字の場合、まずは経費の削減で利益を増やすことが重要です。しかし、売上が少なければ経費削減にも限界があるため、売上を増やすことも求められます。赤字から黒字への再生につながる方法を、飲食店にスポットを当てご紹介します。

ターゲットの見直し

幅広い層のお客様から愛される店舗の経営は理想的ですが、年齢や性別、職業に関係なく全ての方が求める店舗を経営しようとすると、商品や店舗の雰囲気の特長を出すのが難しく、印象に残らない店舗となる可能性があります。店舗の特長がなければお客様から選ばれず、客足が減り、売上の伸び悩みや減少が懸念されます。

特長的な店舗をつくるためには、店舗のメインターゲットの選定が欠かせません。たとえば飲食店では、メインターゲットがサラリーマンかファミリーかで、メニューや店内のレイアウト、デザインは異なるでしょう。

店舗で売りにしたい商品や雰囲気を求めていそうな方の属性を分析していくと、メインとなるターゲット層が見えてきます。個人店舗の場合、店舗の周辺環境から来店を見込めそうな方、客単価の高いお客様やリピーターの属性を基にターゲット層を選定するのも良いでしょう。

メニューの見直し

店舗で安定した売上を出す上で、リピーターは重要です。リピーターを獲得するために、メニューを定期的に変えることをおすすめします。メインターゲットのお客様から人気の高いメニューは定番メニューとして、店舗の特長となるメニューは看板メニューとして残しながら、注文数の少ないメニューを変えることがメニュー見直しのポイントです。

注文数が少なく定番メニューにも使用しない材料があると材料費がかさむため、メニューを無くすことも検討してみましょう。ただし、メニューを無くすだけではメニュー数が少なくなり、お客様がメニューを選ぶ楽しみや店舗再訪のきっかけがなくなることが懸念されるため、追加注文やリピートにつながるメニューの設定が大切です。

たとえば、日替わりや週替わりメニューは、店舗再訪のきっかけとなるでしょう。また、季節限定メニューは今しか楽しめない特別感から、追加注文につながる可能性が高いです。

◎:“旬の食材”を使って、お客様の心を掴む新メニューを開発しよう
◎:そのメニュー名で大丈夫?思わず注文したくなるメニュー名の秘密とは。

外装のリニューアル

魅力的な商品やメニューを提供していても、どのような店舗か伝わらなければ、お客様の来店意欲をかき立てるのは難しいでしょう。お客様にどのような店舗か知ってもらい、来店したいと思ってもらうためには、外装がポイントです。提供している商品・サービスのジャンルが伝わる、メインターゲットが喜びそうなデザインの外観や看板は集客に効果的です。

ただし、外観も看板も目立たせることに注力し過ぎると、周囲から悪目立ちして入りにくい店舗という印象を与える可能性があるので、周囲との調和を考えながら店舗の存在やコンセプトが伝わるものを心がけましょう。

また、看板は人の目に入らなければ店舗の宣伝効果がなくなるので、歩きながらでも目につく位置に設置する、見やすい大きさ・デザインのものにすることがポイントです。

◎:通勤者は見た!ふらっと立ち寄りたくなるニュースな「立て看板」集めました
◎:レタリングとは?店頭POP制作への活用も紹介

集客手段を増やす

看板は店舗周辺にいる方の集客には効果的ですが、商圏外のお客様を増やすには店舗の近くにいない方にも店舗を知ってもらうことが必要です。

消費者は店舗を探す際、インターネットやSNS検索を利用することが多いので、店舗のHPやブログ、SNSアカウントで店舗の商品・メニューや内外の雰囲気、コンセプトの発信が集客につながると期待できます。SNSなどは店舗を気に入ったお客様が店舗の発信を共有することで、口コミのように店舗情報が拡散されるメリットもあります。

インターネットを活用した集客として「O2O」という方法があります。O2OとはOnline to Offlineの略で、インターネット上から実店舗への来店・購買意欲を高める集客方法です。たとえば、店舗で利用できる割引クーポン、ノベルティプレゼントや1杯サービスといったクーポンを、HPやSNSで配布するなどが考えられます。

個人経営の店舗は、チェーン店のように全国どこにでも店舗があるわけではないので、インターネット上で店舗を知ってもらっても、来店できる方が限られることが考えられます。店舗の周辺地域の方の集客に注力したい場合、チラシやポスティングが効果的です。

他の店舗では体験できないメニューやオリジナリティの高い内装の提供、花見やクリスマスといった季節限定のイベントを用意するなど、足を運びたいと思ってもらえる店舗づくりも集客方法の一つです。魅力的で選んでもらえる店舗にしながら、メインターゲットにしたい消費者が目にする機会の多い複数の方法を活用することで、効果的に集客できるでしょう。

◎:SNSを活用したインバウンド集客。特徴と事例を紹介!
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まとめ

赤字店舗からの再生には、まずは無駄な経費がないか見直すことが欠かせません。適切な経費の管理だけでも店舗の利益には大きく貢献しますが、過度なFLコストの削減は店舗の質低下が懸念されます。店舗の質を保ちながら黒字回復するためにも、適度にコストカットしつつ、メインターゲットの設定、店舗のメニューや外装の変更、集客方法の見直しなど、売上拡大につながる方法をとることが重要です。

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店舗BGMアプリ「モンスター・チャンネル」が運営する店舗運営情報magazineの編集責任者。