労働関係や店舗設計、そして著作権……。お店を運営する際には、さまざまな法律やルールを守らなければいけません。しかし、そうした法律やルールは複雑で難しく、知らず知らずのうちに勘違いしてしまっていることもあるでしょう。
ここでは、店舗経営者なら知っておくべき法律やルールをマルバツ形式で出題!さっそく、問題を解いて復習していきましょう。
【第1問】
従業員のまかないは無料で提供してもかまわない。
答え: ×
【解説】
一生懸命働いてくれる従業員に対し、「美味しいまかないを、無料でお腹いっぱい食べさせてあげたい!」と考える経営者の人も少なくないでしょう。
しかし、まかないは「現物給与」と見なされる恐れがあり、無償で提供するのは税務上で問題があります。場合によっては、税務署から指導を受けるだけでなく、差額分を追徴課税として支払いを求められる可能性もあるので注意しましょう。
守るべきポイント
(1) 役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること。 (2) まかないの金額が1か月当たり3,500円(税抜き)以下であること。 |
このポイントを守れば、まかないの提供はなんの問題もありません。あたたかいご飯で、従業員の満足度を高めていきましょう。
【第2問】
250円で仕入れたものを1000円で販売した場合の原価率は25%である。
答え: ◯
【解説】
原価率を求める式は、『原価率=売り上げの原価÷売上高×100』。この場合、250÷1000×100=25なので正解になります。
また、一般的な原価率の目安は25%〜30%。もし自店のメニューの原価率がこれより高い場合、今一度見直したほうがいいかもしれません。
【第3問】
調理師免許だけ取得していれば、カフェは開業できる。
答え: ×
【解説】
残念ながら、調理師免許だけでは、飲食店や食品販売店を開くことはできません。飲食店・食品販売店では、必ず1名以上の「食品衛生責任者」の資格取得者をおくことが定められています。
この資格は、各地域の保健所で行われる講習とテストを受けることで、取得できます。講習は1日で終わり、費用は10,000円程度です。
また、自店の収容人数が30人を超える場合は、「防火管理者」の資格も必要です。
こちらは、各地域の消防署の講習を受講することで取得可能です。店舗の規模によって、甲種と乙種どちらの講習を受けるが変わります。講習は1〜2日、費用は3,000円〜5,000円程度。
調理師免許は、必ずしも必要な資格ではありません。ですが、資格を通して学んだことは、飲食店を運営するうえで必ず役にたつ知識と技術。サービス向上に向けて、しっかり活用していきましょう。
【第4問】
飲食店を開業する際、店内の明るさは100ルクス以上と定められている。
答え: ◯
【解説】
飲食店の照明は、自然光を十分に取り入れることのできる構造とし、100ルクス以上の明るさが必要と定められています。
これは、照明から発せられている明るさではなく、照明によって照らされている場所の明るさ。部屋全体が暗ければ意味がありません。
現在では、ルクス数をはかるスマホアプリもあります。もし不安に思った方は、計測してみるのはいかがでしょうか。
【第5問】
店内に超特大のスクリーンを搬入し、スポーツの試合中継を流すのは問題ない。
答え: ×
【解説】
この問題のポイントは、超特大スクリーンで映像を流そうとした部分。家庭用のテレビで流すのには問題ありませんが、大きいサイズのスクリーンを使って試合中継を流すと、著作権違反となってしまいます。
もし、どうしてもパブリックビューイングを行いたい場合は、著作権を保有している団体(ワールドカップであればFIFA)に問い合わせてみましょう。許可を得ることができれば、巨大スクリーンでの放映も可能です。
【第6問】
最近流行りの音楽配信サービスは毎月定額料金を払っているため、店舗BGMとして使っても問題ない。
答え: ×
【解説】
現在ある音楽配信サービスの多くは、個人利用のみに限定されており、商用での利用は禁じられています。
「年額6,000〜50,000円を支払って、CDに頼るしかないのか…」、「自分で買ったCDしか流せないうえに、JASRACに著作権使用料を払うなんて…」とモヤモヤしている人もいるでしょう。
そんなお悩みを解決するのが、店舗向けBGMの配信サービス。サービスの利用料金に著作権使用料が含まれるため、JASRACに著作権使用の申請などを行う必要もありません!
ぜひ、導入を検討してみてはいかがでしょうか?
詳しくはこちら→Apple Music,Spotify,LINE MUSIC,AWA……今話題の音楽聴き放題アプリ、店舗でのBGM使用はダメって知ってた?
【第7問】
クーポンの割引額や内容は、店舗経営者が好きに決めていい。
答え: ×
【解説】
「1品サービス」といったクーポンの場合、適用されるのは景品表示法。支払いが1,000円以下であれば200円まで、1,000円以上になる場合は取引額の10分の2までが最高額です。
万が一違反していた場合は、消費者庁より事業者への事情聴取が実施されます。
一方、割引クーポンの場合に関しては、限度額が決まっていません。それぞれ利益とのバランスを考え、割引額を決めましょう。
【第8問】
現在、東京都の最低賃金は907円である。
答え: ×
【解説】
「907円」は、過去の東京都における最低賃金。平成28年10月1日に“最低賃金法”が改正され、東京都の現在の最低賃金は1,163円となりました。
もし、最低賃金以下の支払いしか行わなかった場合、店舗側に50万円以下の罰金が課せられます。もし、従業員が合意していたとしても、その契約は無効です。
金銭のトラブルは、信頼を失うことにも繋がります。もし、賃金の改定を知らなかった場合は、早急に対応しましょう。
【第9問】
これまでは居酒屋を経営していたが、カラオケを導入し、カラオケバーへと改装した。カラオケにはリース料を支払っているため、JASRACへ著作権料を支払う必要はない。
答え: ×
【解説】
店舗を運営する上で、多くの人の頭を悩ませる部分である著作権問題。カラオケには、著作権に含まれている「演奏権」がかかわってきます。
著作権侵害の場合は、10年以下の懲役もしくは1千万円以下の罰金、法人の場合は3億円以下の罰金となります。想像以上に重い刑を課せられるため、細心の注意が必要です。
ちなみに、民事上の請求の場合は、①侵害行為の差止請求、②損害賠償の請求、③不当利得の返還請求、④名誉回復などの措置の請求などが考えられます。
【第10問】
開業の際、税務署に提出する書類は「個人事業の開廃業等届出書」、「青色申告承認申請書」、「減価償却資産の償却方法/棚卸資産の評価方法」の3点である。
答え: ◯
【解説】
税務署に提出する書類は上記の3つで間違いありませんが、それぞれ期限が異なります。
例えば、「個人事業の開廃業等届出書」は、開業した日から“1ヶ月以内”に提出。「青色申告承認申請書」は、“2ヶ月以内”。
「減価償却資産の償却方法/棚卸資産の評価方法」に関しては、開業年分の確定申告期限までに、2項目を1枚の用紙に記入し、提出する必要があります。
提出期限がうっかり過ぎていた、なんてことがないように書類は前もって作成しておくのがおすすめです。
法律やルールを知ることは、自店を守ること。
10問、全部正解できたでしょうか?
法律やルールといった専門的なことを覚えるのは負担が多く、ついつい後回しにしてしまいがち。しかし、悪気がないといえども、違反は違反です。ある日突然連絡が来て、法的措置を取られることだってあります。
特にここ数年、著作権保護の声が高まっていることもあり、店舗BGMに関する問題はきちんと対策を考えておくのがベストです。
法律やルールをきちんと知ることは、自店を守ることにも繋がります。今回間違ってしまった問題がある場合は、きちんと把握し直しておきましょう。