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事業の成功率が高まり、資本や経験が乏しい人でも開業できるフランチャイズ。フランチャイズの安定性やノウハウの享受など、様々なメリットにひかれ、加盟を検討している店舗経営者も少なくありません。

もちろんメリットばかりではないため、加盟する上で注意するべき点もしっかりと把握しておきたいところ。

今回は、そんなフランチャイズについての基礎知識をはじめ、加盟のメリットや手順、注意点について解説します。

フランチャイズとは?今更聞けない基礎知識

フランチャイズの基礎

フランチャイズとは、ある事業で効率的に店舗拡大をおこなうための経営戦略であり、また、店舗を設置・運営していくために必要な知識やノウハウを仕組化したものです。具体的には、フランチャイザーと呼ばれる本部と、フランチャイジーと呼ばれる加盟店が契約を結び、フランチャイジーが加盟金「ロイヤリティ」をフランチャイザーに支払うことで、商標の使用や商品・サービスの販売が可能になるシステムをいいます。

企業が新店舗を出す際、新規にオーナーを募集して「はい、この店をお願いします」といきなりまかせても、ノウハウやオペレーションが浸透していなければ、すぐに結果を出すことはこんなんでしょう。そこで、あらかじめ仕組化された方法の通りに店舗運営を行い、開店後すぐに収益が得られるよう導いていくのがフランチャイズという戦略です。

フランチャイザーとしては、知識やノウハウを仕組化してオーナーへ提供することで、確かな方法で店舗運営をしてもらえる安心感がありますし、フランチャイジーとしては、貴重な知識やノウハウを教えてもらえるので、経験がなくとも比較的スムーズに店舗運営にあたることができます。

拡大するフランチャイズの市場規模

(日本フランチャイズチェーン協会「フランチャイズチェーン統計調査」を参考に作図)

2018年度、日本フランチャイズチェーン協会が公表した「フランチャイズチェーン統計調査」によると、コンビニエンスストアや外食業・サービス業を含む全てのフランチャイズチェーンの売上高は 26兆2,117億円となり、9年連続で成長しています。

また、国内のフランチャイズチェーン数は、11チェーン減少しているものの、そう店舗数は増加。インバウンドの増加による外食業の売上かくだい、国際的な日本食ブームによるグローバル展開、少子高齢化による介護・デイサービス系のフランチャイズ需要の増加など、今後もフランチャイズチェーンは成長が見込まれます。

フランチャイズの代表的な業種と特徴

フランチャイズの代表的な業種・特徴 フランチャイズといっても、多くの業種が存在します。多くの方はコンビニエンスストアを思い浮かべるかもしれませんが、その他外食業やエステ、介護まで、その幅は広範囲です。 ここでは、代表的なフランチャイズの業種とその特徴について紹介します。

コンビニエンスストアが誘引「小売業」

前項で紹介したフランチャイズチェーンの市場規模。そのうち小売業の売上は2018年で18兆5,825億円、中でもコンビニエンスストアの売上は11兆2,634億円にのぼります。

小売業のフランチャイズを導入している企業は大手チェーンも多く、過去の売上データを提供してもらえるなど、ノウハウ・オペレーションといった仕組みも充実しており、フランチャイジーとしては安心して店舗開業・運営ができるといえます。コンビニはそのブランド力も高いことから、これから小売業でフランチャイズを検討している方にはおすすめの分野です。

資格が必要?「飲食業」

飲食業もコンビニエンスストア同様に、全国に支店を抱える大手チェーン店が年間を通してフランチャイズ加盟を募集し、仕組みも充実していることから、初めての方でも開業しやすい業種といえます。

ただし飲食業の場合は、食品衛生責任者という資格が必要であったり、開業前に保健所への食品営業許可申請の提出が求められるため、事前の準備が欠かせません。また飲食業は開業しやすい業種でありながら、退去数も非常に多いです。フランチャイザーからのノウハウ・オペレーションを最大限に活用し、計画的な経営戦略や立地の検討など、積極的な店舗経営を心がけましょう。

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イニシャルコストをおさえた開業「サービス業」

エステや学習塾、介護・デイサービスなどのサービス業もフランチャイズ加盟を募集している企業は多くあります。小売業や飲食業とは異なり、商品の仕入れや設備費用などのイニシャルコストをおさえることができます。

エステサロン・ネイリストなど、場合によっては資格が必要なため、事前の準備が求められます。個人のスキルが店舗の売上に直結することもあるため、接客はもちろん、顧客への提供価値を日々高めましょう。

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フランチャイズと直営店の違い

直営店は、フランチャイザーが出資をして開業した店舗のため、店舗運営も本部の社員が行います。フランチャイズはフランチャイズに加盟した個人や法人が契約を結び開業するため、あくまで独立した経営者であり、フランチャイザーに雇用されているわけではありません。

フランチャイズのメリットと注意点

フランチャイズのメリットと注意点

ここではフランチャイズのメリットと注意点について紹介します。

フランチャイズのメリット

信頼とブランド力

フランチャイズのメリットとして最も大きなことは、すでに出来上がっているブランド力を活用できることでしょう。それが何の店で、どういった特徴があるのかを多くの人が知っていて、信頼もよせられている状態であることは、店舗運営をはじめるにあたり好都合といえます。

イニシャルコストをおさえた開業

キャンペーンなどの販促も、基本的には本部が決定したものを実施することになるので、店舗運営により多くの時間をかけることが可能です。また、設備投資やコスト面でも、本部の規格化された設備やシステム、仕入れルートを利用できるので、初期投資や運用コストを大きく削減できます。

フランチャイザーからの恩恵とスキルアップ

フランチャイズのメリットはコスト面だけではありません。本部に蓄積された知識やノウハウを共有することができるので、未経験者でも店舗のオーナー業務が可能となり、一事業者としてスタートを切ることができます。店舗運営のノウハウやアドバイスを適宜本部からの指導を通じて得ることができるということは、スキルアップをしながら店舗運営という一事業にあたれるということ。これもまた、フランチャイズ加盟の大きなメリットです。

フランチャイズの注意点

フランチャイズ加盟後に最も多いトラブルは、契約に関することです。契約時に聞いた話とちがう、そんな話は聞いていないといった、本部と加盟側との認識のずれ、本部が契約時に説明責任を果たしていなかった、店舗側にロイヤリティの未払いが発生したなど、トラブルのケースはさまざまです。

契約に関するトラブルを防ぐには、フランチャイズの仕組みを可能な限り調べ、契約内容については時間をかけて読み込み、本部との認識のずれがないよう、疑問や不安点をつぶしておくことが何より大切です。

他にも、収益について、契約時に説明されていたような結果が出ないというトラブルもあります。本部から説明を受ける収益内容は、あくまで「収益モデル」であり、規模が違う、立地が違うなどの条件から収益は大きく変わります。できるだけ自店舗の条件に近い店舗の収益内容を説明してもらいましょう。

このようなトラブルが起こり、自身では解決できそうにない場合は、一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会(JFA)「フランチャイズ相談センター」へ相談することができるので、覚えておくと良いでしょう。

フランチャイズに加盟する手順

フランチャイズに加盟する手順

フランチャイズに加盟をして事業をはじめるまでには、いくつかのステップがあります。当たり前のことですが、まず最初はどの事業で始めるかを決めなくてはいけません。飲食なのか小売りなのか、業種や業態によって事業の中身が変わってきます。業種による違いは前項を参考にしながら、すでに資格等を取得している方は、自身のスキルを最大限発揮できる形で加盟店を選びましょう。

業種が決まれば、次はフランチャイズ本部をどこにするかを考えます。その際は、自身の希望(時間の自由や年収アップなど)から判断基準を明確にし、目的と希望に合った本部を選択することが大切です。本部が決まれば、いよいよ加盟契約。ここでは、今後の事業に影響する契約内容を細部まで把握し、納得できるまで話し合うことが何よりも重要です。契約締結後にこんなはずではなかったと後悔しないためにも、疑問や不安要素は消しておきましょう。

契約を無事結んだら、いよいよ店舗施工やオーナー研修、スタッフ採用など、店舗運営に向けて具体的に動きだすことになります。

開店後はフランチャイザーからさまざまな支援を受けられるとはいえ、独立した経営者であることは個人経営者と変わらないため、しっかり経営戦略を練り集客にも力を入れましょう。

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まとめ

未経験から事業をはじめることができ、高いブランド力と仕組化された店舗運営のノウハウも手に入れることができるフランチャイズ。豊富なメリットはとても魅力的ですが、一方で契約や収益についてのトラブルもついてまわります。

加盟を考えているならば、事前の徹底したリサーチで疑問・不安点をつぶしておき、信頼できる本部を探し当てることが、その後の事業運営に大きく影響するということをしっかり認識しておきましょう。

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店舗BGMアプリ「モンスター・チャンネル」が運営する店舗運営情報magazineの編集責任者。