【店舗経営者は必見】店舗の空間演出まとめ

店舗での空間演出は、取り扱っている商品やサービス以外で、顧客に対しインパクトや感動を与える重要な要因となります。インターネットの普及でモノが「いつでもどこでも」手に入る現代。消費者が実店舗に訪れる理由は、店舗にわざわざ足を運ばなければ得られない「居心地の良さ」などの雰囲気を「体験・経験」したいためです。つまり、店舗には空間演出によって他店舗との差別化を図り、個性を際立たせるような工夫が必要になります。

この記事では、空間演出のポイントや、確認しておきたい制度・法律、具体的な施策まで、店舗経営者が把握しておきたい空間演出のすべてを徹底解説します。

空間演出のポイント

空間演出のポイント

これから店舗を開業する方、すでに運営している方も、空間演出時には「照明」・「香り」・「温度」・「音響」の4つを意識しましょう。これらは視覚や嗅覚など、人間の五感に強い影響を与えるため、店舗への印象が頭だけでなく感情面でも記憶に残ります。つまり店舗の空間演出の際には、お客様に五感をフル活用してもらうことが最大のポイントになるのです。

照明

照明にはさまざまな性能があり、それらをうまく活用することで自店舗特有の空間を演出し、イメージも変えることができます。ランチ帯は明るくし楽しい空間を演出、ディナータイムには眩しさを抑えた低い光で食事の雰囲気を高めるなど、時間帯によって照明を使い分けることがサービスの向上につながります。
店舗経営者の皆さんであれば把握しておきたいのが、商業施設における「明るさ」にはJIS(日本工業規格)による基準が設けられていること。それぞれの業態によって基準の目安が変わるため注意しましょう。また、人が感じる明るさはJISが定める「照度」で表しますが、「色温度」や「演色性」にも影響されます。
【色温度】
色温度には赤みがかった低い光と、青みがかった高い光まで、そのバリエーションはさまざまです。例えば同じ生活空間においても、「だんらん」の場面では高照度で色温度のやや高い空間、「くつろぎ」の場面では低照度で色温度の低い空間といった具合に、シーンによって快適さを感じる光色が異なるため、照明の色温度から空間演出を見直すのもいいかもしれません。
【演色性】
一般に人は、太陽光のもとで見る色を「ナチュラル」だと感じ、そのナチュラルな色感覚との隔たりが小さい照明光を「演色性が高い」と評価します。飲食店であれば演色性の高さが美味しそうな見た目に直結します。演色性を表す数値は平均演色評価数(Ra)と呼ばれますが、接客業で満足度の高いサービスを目指すのであれば、演色性の高い「800-900Raのライト」が適切です。

時間帯・シーンに応じて照明を見直し、お客様の満足度を高めるサービスを目指しましょう。
※詳しくはこちら→業種やシーンで比較!店舗照明に最適な明るさを見直そう

香り

五感の中でも、人の脳に記憶としてもっとも残るのが嗅覚に影響する「香り」です。見た目でもなく味でもない、香りによって記憶が蘇ることを「プルースト効果」といい、飲食店やサロンにおいて重要な集客要素となります。また、記憶への定着はリピーターの拡大にもつながります。ただし裏を返せば、「香り」によって苦情等が発生する「臭気問題」もあります。飲食店の場合は調理時のにおい漏れ、排水溝のにおい、生ゴミなどに注意が必要です。
心地良い香りの空間であれば、利用者の滞在時間が長くなるという研究結果もあるため、「目に見えない心配り」の体感を、「目に見える商品・サービス」への期待感につなげましょう。

※詳しくはこちら→「香り」と「記憶」の不思議な関係。お店の臭気対策を一から見直そう
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温度

室内の設定温度によっても、お客様の行動様式は変わります。店舗によっては回転率を高めるためにわざと設定温度を寒くしたり暑くしたりといったケースもあります。つまり、温度への心配りが快適な店舗での過ごし方につながるのです。そこで気をつけたいのが「従業員の体感温度=最適な室温」ではないこと。火を扱う飲食店の場合、店内の温度を急に下げてしまうと、お客様と従業員とで「肌で感じる温度」に大きな隔たりが生まれてしまい、居心地の悪い空間となってしまいます。店内の構造を考慮し、天井にファンを設置するなど、室内温度のムラについても事前に把握しておきましょう。

※詳しくはこちら→温度で購買意欲は変化する? 今こそ見直したい店舗のエアコン設定温度

音響

和やかな店内、リラックスできる空間、といったムード演出の重要な要素として「心地よい音」があります。店舗等の商業施設では、音響がお客様に大きな影響を与えます。具体的に、音響には以下の4つの効果があるとされています。
【イメージ誘導効果】
音響の心理効果には、「音響心理学」という分野があるほど、年々研究が進んでいます。中でも、商業施設で使われている音響の心理効果の1つに「イメージ誘導効果」があります。文字通り、店内で流す音響によって店舗のイメージが左右されるのです。店舗のコンセプトに基づいた、高級感や明るい雰囲気など、演出したいイメージによって音響を使い分けましょう。
【感情誘導効果】
音響がお客様の感情に影響し、行動に移す効果もあります。飲食店では、スローテンポの曲になると回転率が落ち、逆にアップテンポの曲になると回転率が上がることがあります。リラックスした雰囲気を演出したい場合にはゆっくりとした落ち着く曲を選曲し、あえて激しめな曲を流すことでお客様の心理を刺激し購買心を煽るなど、目的や時間帯に合わせた選曲が重要です。
【マスキング効果】
ある周波数帯で音を流すことで、別の音を聞き取りにくくする効果をいいます。多くの商業施設では、雑音や騒音を消すために利用されています。周囲の会話が聞こえることで不快感やストレスを感じたり、立地環境によっては機械的な騒音の発生が考えられます。そういったとき、マスキング効果によってそれらの音を遮断できれば、人々にリラックス感を与えられるのです。逆に会話をする側も、音響でマスキング効果がある場所では周りに配慮する必要がなく、コミュニケーションの活性化といった効果を期待できます。カフェやレストランでは特に効果を発揮するでしょう。

空間演出で気をつけたい制度や法律は?

空間演出のために、店内で映像や音楽を流す際には、注意しなければならない制度・法律があります。個人店舗の場合、そういった制度・法律も全て自らの責任で把握しなければならないため注意が必要です。ここでは店舗経営者が気をつけたい3つの制度・法律を紹介します。

映像と著作権

「著作権」とは映画やテレビ番組を録画する権利である複製権、著作物を不特定多数の人に見せる権利である上映権などといった複数の権利の総称です。店舗によっては、テレビ放送やDVD上映などさまざまな形で映像を流すケースがありますが、こういった行為が著作権を侵害している可能性があるのです。営利を目的とした放送や私的利用の範囲を大きく超えたDVDの上映など、映像と著作権には細かな規定があります。「知らずに流していた」では済まされないため、店舗経営者は今一度、店内で流している映像について見直しましょう。

※詳しくはこちら→【著作権違反になるその前に】店舗で映像を流す場合の注意点。

演奏権とカラオケ

空間演出のために、カラオケを設置している店舗は少なくないはず。しかし私たちにとって馴染み深いカラオケも、楽曲の無断使用から「演奏権」が問われるケースがあります。演奏権とは著作権に含まれる権利であり、著作権者に断りのないまま、公衆に向けて楽曲を演奏することはできません。著作権者とは、作詞家・作曲家から著作権の管理委託を受けているJASRACのことを指しています。通常、著作者に対して許可を得る代わりとして使用料を支払うことが義務付けられており、その著作権使用料は楽曲の著作権を管理しているJASRACへと支払う必要がります。
カラオケが演奏権を侵害する危険性は「クラブキャッツアイ事件」などの事例からわかるため、店舗は事前に把握し利用許諾契約を結ぶ・利用料を支払うといった形できちんと手続きを済ませておきましょう。

※詳しくはこちら→カラオケにも著作権がある!?「演奏権」を侵害しないために知っておくべきこと。

受動喫煙防止法案

2020年の東京オリンピックを背景に、「受動喫煙」に関する議論が繰り返されています。世界保健機関(WHO)と国際オリンピック委員会(IOC)は「たばこのないオリンピック」を目指しており、近年のオリンピック開催地でも禁煙を実施。近年の開催都市では公共施設や飲食店が禁煙となったことからも、日本でも今後禁煙を規制する流れがますます強くなることが予想されます。とはいっても、店舗にとっては喫煙者の方も大事なお客様であることに変わりはないため、喫煙者・非喫煙者も気軽に来店しやすくなる環境作りが重要になります。近年普及している加熱式たばこにも細かい規定があるため、受動喫煙防止法案を正しく理解し、効果的な集客を目指しましょう。

※詳しくはこちら→飲食店こそ知っておきたい!「受動喫煙防止法案」の基礎知識。

すぐにできる空間演出の施策

上述した空間選出のポイントをもとに、ここでは明日からでも始められる空間演出の具体的な施策について、店舗で使用している「備品」の工夫について紹介します。また、これから開業を考えている方に向け、「内装」のポイントについても解説します。

備品の工夫

印象的な看板や興味をそそるPOP。実際にお客様が使用するグラスなどの備品も、店舗のイメージを反映できる重要な空間演出の要因となります。細部までのこだわりが店舗の独自性を演出し、集客・リピーターの増加につながるのです。

ブラックボードの活用
カフェやレストランで見かけることの多いブラックボード(黒板)は、用意する材料が少なく手軽に作ることができます。店舗で扱っている商品・サービスが一目でわかる案内看板、紙には書かれていない季節限定のメニューをアピールするメニューボード、店内の壁を黒板にして空間演出するなど、その活用方法は多岐に渡ります。店舗の外から中まで、手書きのブラックボードを活用することで、お客様の安心感と信頼感につながるおもてなしの効果が期待できるのです。

※詳しくはこちら→【カフェの看板からメニューリストまで】DIYでも作れる黒板のデザインを知ろう!

観葉植物
観葉植物には、リラックス効果や空気洗浄、ストレス軽減など多くのメリットがあります。人は本能的に緑のある自然空間を求めるという「バイオフィリア理論」からも、自然に溶け込むことが、健康と幸福度の向上につながるのです。特に普段緑に触れる機会が少ない都市部では、空間に少しでも緑があるだけで、その印象は大きく変わるでしょう。観葉植物は大きさも種類も多種多様なため、店舗空間との相性を考慮しながら、比較的安価でのイメージチェンジが可能です。下記の記事では管理に手間がかからない観葉植物を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

※詳しくはこちら→リラックスできる店舗作りに不可欠!観葉植物のメリットと育てやすい品種まとめ。

オーガニックアイテム
流木や貝殻、小枝や蓮の花托など、オーガニックアイテムは食品や美容アイテム以外にも、インテリアや雑貨と幅広くあります。自ら採集したものでも、それぞれの個性を活かし他のインテリアと組み合わせるなど、アレンジ次第でその魅力は何倍にもなります。こだわり溢れるカフェなどのお店では、その細部にもこだわりが見られます。0円〜お手軽に導入できますので、ちょっとした空間演出にもぴったりなアイテムとなるでしょう。

※詳しくはこちら→【貝殻・流木インテリア・ドライハーブ】カフェの内装に活かしたいオーガニックアイテムまとめ。

グラス
お酒を提供する店舗では、グラスにもこだわってみてはいかがでしょうか。人間の五感のうち、視覚が占める情報能力の割合は80%以上といわれています。一方で味覚が占める割合はなんと1%程度。つまり、いくらドリンクの質にこだわっても、食事の際には「目で楽しむ」部分が非常に大きいのです。香りの増幅効果や、ドリンクの温度変化の観点からも、グラスはお客様の満足度を高め、こだわりが伝わりやすいアイテムといえます。

※詳しくはこちら→飲食店に必要なグラスはこれだ!それぞれのお酒に合うグラスを一挙紹介。

内装の工夫

家具やインテリアは、設置によって店舗の印象を大きく変える要因となることは説明しましたが、これから開業を考えている方が最も注意したいのが「内装」です。特に壁や床、天井をどのような色にするかで、店舗の雰囲気が決まります。後からでも追加できる備品とは違い、なかなか変えることができない内装は、慎重に検討しなければなりません。
OMISE Labでは店舗の空間演出をサポートする「内装」に関するノウハウを紹介しています。店舗のサイズや色味、居心地のいいカウンター席の作り方など、詳しくはこちらを参考にしてみてください。

店内BGMはどうしていますか?

最後に、店舗の空間演出において欠かせない店内BGMについて紹介します。人の五感に訴えかける「音響」の効果は上述した通りですが、店舗で活用する際にはBGMによる音響演出がほとんどでしょう。多くの店舗で、店内が「無音」ということはないかと思います。感覚に直接作用し、記憶として残りやすいBGMだからこそ、店舗のイメージに合った選曲や、お客様が飽きないような種類の用意が求められます。しかし、店内BGM導入の際に注意しなければならないのが「著作権」。
OMISE Labを運営している「モンスター・チャンネル」であれば、お店に代わってJASRACに著作物使用料を支払っているので、直接JASRACに手続きする必要はありません。
クラシックやジャズ、POPSなどの音楽を使い分け、店舗の空間演出に活かしながらお客様の満足度向上を目指しましょう。